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誕生日
しおりを挟む『良いぞー』
と、遠くから聞こえる?
「ふぅ、やっとかよ」
と青蘭がため息をつく。
「なんだ?」
俺の肩に手を置いて、
「よしいくぞ!」
「ん!おぉ」
『プライド』の中に近づいていくといつもと雰囲気が違うな。
中に入ると、
「「「「ハッピーバースデーヤト!!」」」」
とクラッカーが鳴り響く!
みんないる?カレンやシオン、ミライやメグミも?なんで?って今日は、
「お、お、おお!俺の誕生日か!」
とフラフラのテンが寄ってくると、
『ニャーも疲れたにゃ』
「あー、だからか」
「私なんてまだ禿げてませんからね?」
「だよな?でも気にしてんのかな?ってさ」
城島さんが笑っている。
カレンが手を引いて、
「ほら真ん中に立って!」
「ほい!あざっす!」
バースデーソングに合わせて蝋燭を吹き消す。
「ピュウイッ!!」
「「「「おめでとう!」」」」
「おう!ありがとう!」
と『プライド』の従業員まで祝ってくれている。
こんなこと初めてだな。
「あははは。やっぱ忘れてたけど嬉しいな!」
孤児だったから誕生日なんてないのと変わらないし、大人になってからも祝ってもらった記憶はない。
遠い昔にはあったのだろうな!
プレゼントをもらうのも初めてだ!
「私からは、はい」
「ありがとう!」
と渡されたプレゼント、
「あはは、バカラのビールグラスね」
バカラのグラスなんていつ使うんだよ。
でもビールグラスか、使おうじゃないか!!
「高いんじゃないか?ありがとう」
「私はこれ」
「ん?香水?」
「たまにはつけてみてよ」
「分かった!」
とシオンが言う。
「俺はこれだ」
カエデからのプレゼントは茶碗と箸のセット?
「食う事しか頭になかったからな」
「あはは、カエデらしいな!」
アーシャが近づくと、
「これ」
「おっ!アーシャもくれるのか?」
「当たり前でしょ」
開けてみるとブレスレットだった。
「加工して属性つけても良いから」
「ありがとう!つけるよ!」
「あぁ!ひとりだけそんなの!」
「いいでしょ!買ったもの勝ちよ!」
とカレンと揉めている。
「わ、私はこれです」
「ん?なんだ?」
「こっちに耳を」
「なに?」
「ちゅっ!」
とネオはほっぺにキスだった。
「「ああーー!!」」
「私お金持ってなくて」
「あはは、ありがとうな!」
「ちょっときなさい!」
「え?なんですか?」
とカレン達に連れて行かれるネオ。
「俺はこれ」
開けると図鑑だな。
「ん?世界の武具?」
「参考になるかなってさ」
「おう!ありがとう」
モクレンは考えてくれてるな!
その後も次々とプレゼントが渡される。
青蘭達からは、
「俺たちからはスーツだ!」
わざわざ仕立ててくれたのか、
「あはは。ありがとう」
着る機会はあまりないけど持ってて損はないからな。
あとはネクタイやネクタイピン、テンからはビールだった。
そこにあるものだが。有り難く開けて飲んだ。
みんなで飲み食いしてふと外を見ると綺麗な月の出ている夜の空だ。
「ヤトの名前みたいに綺麗な空ね!」
とカレンが横に立っていってくれる。
「あはは、名前負けしそうな夜だよ」
みんなで空を見ると、
『ニャーに黄昏てんにゃ!』
とテンがパンチしてくる。
「ウプっ!…テン!このやろう!」
「あはははは…
全てが終わって帰る。青蘭達はこの日のために集まったらしい。ありがたいことだ。
夜の道を歩いて自宅に戻る。
モクレンは今日は俺の部屋に泊まる。
シオンはカレン達の部屋だ。
部屋に上がってビールをまた飲むと、
「あはは、よかったね!誕生日!」
「おう、ありがとな!」
「内緒にするのキツかったぁ」
「そんなにか?」
「普通の人は自分の誕生日忘れませんからね?」
そうか、そうなんだな。
「だからサプライズできるのは限られた人だけです!」
まぁ、いままで俺の誕生を祝ってくれた人なんていなかったからな。
いや、昔はいたんだろう。
忘れてしまっただけだよな。
「これからは普通に誕生日ですからね?」
「そうだな、これは忘れられそうにないからな!」
『ニャーにも感謝するにゃ!辛かったにゃ』
「ああ、ありがとな!テン!」
悪魔に祝われるのもどうなんだ?
悪魔族だからいいのか?
「いや、みんなにありがとうだな」
みんなの笑顔が浮かんでくる。
「パーティーの企画は如月さんですよ?」
「まじか?」
「カードの誕生日覚えてて、カレンに言ったのがことの発端らしいですね!」
「やっぱりカレンは絡んでくるんだな」
『プライド』は明日は休みらしい。
まぁ、片付けがあるからな。
「そうか、誕生日は忘れられそうにないな」
これで忘れたらすごいな。
もう記憶にないけどさ、父さん母さん、
産んでくれてありがとう。
「よし!飲むぞぉー!!」
「何急に元気になってんすか!」
『ニャーもニャーも飲むにゃ』
次の日は二日酔いで3人ともダウンした。
「うー、頭痛い」
「飲みすぎた」
『ニャーもニャー』
低級ポーションを3人とも飲んで復活する。
「こんな贅沢していいの?」
「俺が作ってるからな」
『ニャーも手伝ってるからにゃ』
にしても昨日は飲んだな。
あんな楽しい酒は初めてだった。
誕生日ってこんな日なんだな。
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