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『覚醒』のモノリス
しおりを挟む夕方になり、如月が1トン近くの鉄屑を集めてきてくれた。
「ありがとう」
「ここからですね」
「そうだな。はぁ、地獄のような錬金だな」
「一気には行かないんですか?」
「無理だな、練金釜が対応してないからな。まぁ、地道にやってみるよ」
「はい、頑張って下さい」
と言って帰っていった。
さて、明日からにするか。
部屋に行くとテンとネオがいた。
「ん?どうした?」
『ニャーも手伝うにゃ!』
「私も微力ながら手伝います」
「あはは、ありがとう。じゃあ、飯でも食うか」
『にゃっ!もうそんな時間かにゃ』
と言って冷蔵庫に飛んでいくテン。
俺もインベントリからピザを出して夕飯にする。
テレビを見ながら3人で駄弁る。
「鉄屑からオリハルコンにするんですか?」
「そうだ、なかなか大変なんだよ、時間がかかる」
『錬金術師は大変だにゃ』
「そうだな、でもやるしかないか」
「はい!」
翌日から入るだけ練金釜に入れて錬金していく。
昼まで休みなく続けて約半分をオリハルコンに変えた。
テンとネオには運ぶのを手伝ってもらっていたので、
『疲れたにゃ』
「そうですね」
「まぁ、そうだよな。なかなか進まないな」
『でも頑張るにゃ』
「そうですよ!頑張りましょう!」
「ありがとな」
昼飯をヤトベースで食ってから少し休憩してまた鉄屑からオリハルコンに変える作業をしていく。
夕方になり全ての鉄屑をオリハルコンに変えた。
『やったにゃ!』
「なんとかなるもんだな!」
「頑張りましたね!」
ネオはシャワーを浴びにミライのところに戻り、俺とテンもシャワーを浴びて湯船に浸かる。
『足りるかにゃ?』
「いや。足りないな」
『そうか、じゃーまたやるにゃよ』
と風呂から上がるテンの体を拭いてやりドライヤーで乾かしている。
そうだな、俺しかできないからな。
夜になってビールを飲んでいると如月が来てヤトベースに降りる。
再覚醒のポーションを売り出すようだ。
一個15万、再覚醒だからだそうだ。
客の中に欲しがる人がいたらしいので如月に渡す。
また鉄屑を集めてきてくれたようで山盛りの鉄屑が置かれる。
「これでどれくらいできますか?」
「2、30ってとこかな?」
「じゃあまた集めてきますね!」
「よろしくな!」
と別れて、部屋に戻ると、
『明日もにゃね』
「そうだな。頼むぞ」
『任せるにゃ』
3日続けてようやく足りそうだな。
錬金術もレベルが上がり、作れるものが増えた。
・オートマーター…魔石(大)+素体
新しく生命をつくりだすのはやめとこう。
いまでも仲間がいるからな。
今日も鉄屑を持ってきた如月、
「どこから集めてんだ?」
「あはは、壊れた武器なんかですよ?普通の鍛治職人の作った武器はやはり脆いですからね」
と如月は言う。
「再覚醒ポーションは売れてるのか?」
「まあまあですね。やはり人気職の剣士や戦士になりたいと願う人がいるみたいです」
そうか、それならばいいがな。
「『覚醒のモノリス』はどうなりそうですか?」
「作るよ。こうなりゃ意地でも作ってやる」
「100個ですよね?またオークションですか?」
「198だな、今じゃ倍作れるようになった。それで、できるだけいろんな国の人に届けたいからなぁ」
「198!?ふぅ…驚かされますね。では個数制限決めて売るしかないですかね?」
「そうだな。そうしようか」
「はい、なら準備しておきますね」
「おう!よろしくな」
これで作らないといけなくなったな!
如月が『プライド』に行ったのでまたテンとネオが手伝う。
夕方までかかりようやく全ての鉄屑をオリハルコンに変えた。
あとは特製練金釜で作れば198個できる!
残りは明日作ることにして油まみれの服を着替えて風呂に入る。
『ニャーも働いたにゃ』
「だな、テンとネオがいないと心が折れてたな」
『ニャー!大丈夫にゃ!』
「上がってビールでも飲むか!」
『にゃー!』
と上がってブルブルと水を切ると、自分でタオルドライしてくれるのは助かるな。
まぁそのあとのドライヤーは俺だが、
『気持ちいいにゃー』
「あはは、普通は怖がるんだぞ?」
『ニャーは怖くないにゃ』
と言ってドライヤーの風で毛を乾かしている。
ビールを飲んでるとネオが来る。
「よ!今日もお疲れ!こっちにきて飲めばいいよ」
「はい!ありがとうございます」
テンにネオも加わり飯を食べる。
「美味しいです!」
お好み焼きを食べて感動するネオ。
「そりゃ良かった。大阪のが残ってたからな!」
インベントリは本当に便利だな。
『ニャーはたこ焼きの方が好きだにゃ』
そうやって飯を食いネオをミライのとこに帰す。
「うー、食ったな」
『もう食べれないにゃ』
と言ってベッドに潜り寝てしまう。
起きて歯を磨いてるとフラフラのテンがパタパタと飛んできて肩に乗って顔を舐める。
「おはよ」
『おはにゃ』
朝のコーヒーを飲みながら過ごしていると、パタパタと入ってくるネオ、
「おはようございます」
「はよ」
「おはにゃ」
でコーヒーを淹れてあげると、
「あちち」
と言いながら飲む。
最近朝はこんな調子だ。
「さて、仕事すっか」
『ニャー』
「はい!」
俺が『覚醒のモノリス』を作ると、テンとネオが運んでいく。
これを繰り返し昼になると飯を食いに外に出る。
ミライとメグミも一緒に久しぶりの外食だ。
「えっ!じゃあ『覚醒のモノリス』を作ってるんですか?」
『そうにゃ、いっぱいにゃ』
「全部で198作る予定だよ」
「じゃあ、全国に?」
「まさか、世界に回すよ」
「ですよね、また総理が」
総理がか、
「ミライ達は聞かなかったことにしといてね」
「「はい」」
ミライ達は国の関係だからなぁ。言わなければ良かったな。
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