94 / 170
帰国
しおりを挟む「おいおい泣くなよな?」
とエマの頭を撫でる。
「泣いてないでーす!ほんとバカにして!」
「少しくらい泣いていいぞ?」
「あはは、またね、ヤト!」
「おう、またな!」
とエマと別れる。
そう、今日ロサンゼルス国際空港から日本へ帰還する。
「何事もなく帰れそうだな」
「ですね!ほんと嬉しい限りです」
本当に普通に帰れたな。
ゆったりとした空の旅も終わり、日本へ帰国。
「はぁ、帰ってきたな」
「ですね!店の方が気になってしょうがないですよ」
「悪かったな、付き合わせてしまって」
「いや。久しぶりに休ませてもらいましたよ」
と車に向かい歩いていく。
車に乗るとゆっくりと空港から出て東京に向かう。
途中休憩もなしで『プライド』に着くと、
「「「「おかえりなさいませ!」」」」
「ただいま。変わったことはない?」
「はい!順調に売り上げはありましたので」
「それは良かった」
と俺まで一安心した。
「ここに荷物置くからな!」
「はい。河地様もありがとうございます」
「こちらこそありがとう!じゃあな!」
「あ。送って行きますよ!」
「いいよ、歩きたい気分だから」
と歩いて帰る。
「さあて、出てこいよ?」
「ハハ、バレてたの?痛いことしないでね?」
と電柱の影から男が一人。
「なんでつけてきた?」
「あ、あはは、しがない探偵です」
「探偵がなんで?」
「頼まれたので、弱みを握れと」
「へぇ、弱みねぇ?探偵は簡単に喋るのか?」
「はぁ、馬鹿らしい、弱いふりしてるのも疲れる」
と男は刃物を取り出すと、
「死んで欲しいんだとさ」
とまあまあの速さで懐に潜り込むが、バックステップで避けると、
「な!?」
逆に短剣を出して相手の喉元に突きつける。
「あ、」
「しゃべるな!」
男は喋らない。
「指一本でイエス、2本でノーだ」
指一本。
「総理に頼まれた」
指一本。
「はぁ、またかよ」
俺は短剣を下ろすと男を自由にさせる。
「は、はぁ、はぁ、はぁ」
「んじゃ逆に殺される覚悟ができてるようだな」
俺は走って消えると、
「か、敵うわけないだろ…あんな化け物」
♦︎♢♦︎
「ようやくあいつが死ぬな」
「誰が死ぬって?」
剣先が喉を突くと血が流れる。
「…」
「よくあんな弱いのに俺を殺せと命令したな?」
「す、」
「喋るな」
総理は漏らしてしまう。
「へぇ、情けない。殺される覚悟はあるだろ?」
「な」
「喋るなと言ったのがわからないのか?」
ガタガタと震えている。
「俺にもう関わるな?次はないぞ?」
「分かっギャアァァァァ!!」
指を二、三本切り落とす。
「じゃあな!」
と消えるように帰る。
「だ、だれか!誰か来い!」
「は、はい、キャアァァァァ!!」
「医者を!すぐに医者だ!」
♢♦︎♢
「召喚っと」
『ニャー!』
「ふふ!日本ですか?」
と二人は伸びをする。
「どうした?いいことでもあったのか?」
「私の服を褒められました!」
『ニャーの知り合いが呼んで欲しいっていってたにゃ』
「あはは、そんな簡単に呼べないだろ?」
『ニャーが手伝えば呼べるけどまだいっかにゃ』
「だな、さて、家に帰ろう」
『ニャー』
「はい!」
と3人で歩いて帰る。
久しぶりの家にたどり着くと、
「おかえり!長かったね!」
「おかえりなさい」
とカレンとアーシャが飛び出してくる。
「今日帰るっていってたろ?」
「そうだっけ?あはは、お土産は?」
「その前に中に入る」
と手を引かれてカレンたちの部屋に入るとシンプルと可愛いがごっちゃになってるな。
「ミライとメグミは?」
「国の命令で出て行ったよ」
「じゃあ、空き部屋?」
とカレンとアーシャが目を輝かせる。
「そうだが?」
「「じゃーんけーん」」
「まだ開けておくぞ?もしかしたら帰ってくるかもしれないからな?」
「えー!!」
ミライとメグミはどうなんだろうな。
「土産だ、好きなの選んでいいぞ?」
「なにこれ?お菓子ばっかじゃん」
「センスゼロ」
そこまで言うか?
「ならやらないからな!」
「嘘嘘もらうよ!」
「私これ」
「あ!GODIVA!」
「他には、あ。これ可愛い」
とシュガーフィナを取るカレン。
あとはインベントリに入れる。
「ほい、ビール!」
カレンがビールを渡してくる。
「お!気がきくな!」
「私の…」
アーシャのだったのかよ。
「まぁいいじゃん!」
とカレンが言う。
「さて部屋に戻るか」
「ういーすっ!お邪魔する!」
「来るのか?何もないぞ?」
「ハンバーガーは?あっちの?」
「…なんでわかるんだ?」
「やっぱり買ってきてた!」
なぜバレる。
「ほら行こ行こ!」
と背中を押されて階段を登る。
部屋に入って窓を開け放ち換気をする。
ふぅ、だいぶ暖かくなってきたな。
コートをかけてビールを取り出しテンとアーシャに渡して、
「「「カンパーイ」」」
ソファーではカレンが待っているのでアメリカのハンバーガーを出してやる。
「へぇ!ボリュームがすごいね!」
とスマホで撮ると齧り付くカレン。
「うまっ!こりゃ太るわ!」
「あはは!食え食え!」
と笑っているとチャイムが鳴る。
「はい」
「あの」
聞いたことのある声だ。
「ハハ!やっぱりな!おかえり二人とも」
とドアを開ける。
「や、辞めてきちゃいました」
「わ、私も」
「おう!部屋はそのままだからな!」
「「…あ、ありがとうございます」」
と二人とも泣きながら抱きついてくる。
「ハハ、気にするな!帰ってくると思ってたよ」
ミライとメグミが帰ってきたんだ、これで元通りだな。
222
あなたにおすすめの小説
俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~
シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。
目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。
『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。
カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。
ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。
ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。
アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ
高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。
タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。
ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。
本編完結済み。
外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる