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着服
しおりを挟む「美味かったのじゃ!これ気に入ったのじゃ」
「あー、私の服汚して!気に入ってるの!ヤト!」
カレンが俺に言うので、
「はいはい、クリーン」
「なぬ!ヤトは生活魔法も使えるのか?」
「おう、まぁな。それよりどこか服を買いに行くか」
とタクシーに乗ってウニクロへ。
結局、いつも通りみんな買い物しているな。
「どうじゃ?可愛いかや?」
「おう、可愛くなったな!」
「えへへ、褒められたのじゃ」
『ニャーは知らにゃいにゃ』
「何でだよ?お前の友達じゃないのか?」
『ニャーの国の王様を友達に持った覚えはないのにゃ』
「あー、魔王って言ってるからな。名前は?」
「つけてくれぬかの?」
『ダメにゃ!MPがゴッソリ持ってかれるにゃ!今のヤトが使うと死ぬにゃ!」
MPはさっき見てだいぶ減ってたからな。
「んー、MPが増えればいいんだが」
「錬金術師にMP錠を作らせるのじゃ!」
と言ってる間にお会計を済ませ、外に出る。
「俺が錬金術師だから後で作ってみるか」
「そうだったのか?ご主人凄いのだな!」
「そうか?あはは」
『あはは…じゃないにゃ!はぁ、今頃魔王城はやばいことになってるにゃ』
だよなぁ。王様不在はダメだよな?
「と言うことで返還」
「ま、ま、待て!嫌じゃぁ!く!いずれ…」
と返還の魔法陣に吸い込まれていった。
『ニャハハハハ!魔王もかたなしにゃ!』
「良かった、ご主人様も大丈夫ですか?」
「ん?俺は何ともないが、MPがだいぶ減ったな」
『それは休めば治るにゃ』
へぇ、そう言うものなんだな。
でどこのダンジョンなんだろう?
「カレン?」
「ダンジョンは天大橋にあるわよ」
「へぇ、あのでかい川のとこか」
「でも今日は行かない、明日にしましょ」
「だな。俺もMPが減ってるしな」
と言うわけで黒豚のトンカツを食べに出かける。
「さっきラーメン食ったばっかだろ?」
「いいの!歩いて行きましょ!」
「えぇー!めんどくさいなぁ」
「うるっさい!歩くの!」
と腕を組まれる。
「あ!カレン?」
「べーだ!」
「うおっと!」
もう片方の腕にはアーシャが引っ付く。
「はぁ、歩きにくいなぁ」
「「うるさい」」
本当にわからんもんだよ。
モクレンとゼロは笑っているし、ネオが背中を狙っているので怖いなぁ。
「ヤァっ!」
「グヘッ!」
やはり背中にひっついてきた。
「何やってんのよ!」
「そうです降りなさい」
「私が1番です!」
「ダァー!お前ら離れろ!苦しいだろうが!」
「「「はい」」」
「っとに。あ、ここじゃないのか?」
とトンカツ屋に着いたようだな。
トンカツを食って、
「うまぁいい!」
「あ、からしが!?」
「柔らかいねぇ」
と仲良くなる3人。
食い物のことになると同じらしい。
食い終わると街をぶらつき、寂れた商店街など趣があったな。
ホテルに帰って食い過ぎで寝ているが、
「何で魔王がついてきたんだ?」
『ニャハハハハ、それはニャーの毛並みが良くなってるのと、ネオが着ているものが珍しいからにゃ!魔王は珍しいものに目がないにゃ』
「そうか?なら今度来たら色々連れて行けば」
『ダメにゃ!ヤトも少しだったからいいけど魔王を連れ歩くのは危険にゃ!』
「そうか、それならまた今度だな」
『そうにゃ、触らぬ神ににゃ』
あれが魔王なら平和そうだな。
翌日はあいにくの雨だが、ダンジョンは関係ないのでタクシーで天大橋まで向かう。
ギルド内に入り着替える。久しぶりに袖を通すレザーアーマーとレザーブーツに感動さえしてしまうな。
「ヤト?大丈夫?」
「おう、久しぶりだなぁと思ってな」
「そうですね、ヤトは久しぶりのダンジョンだから気を抜かないでください」
「おう!ゼロに言われてしまったな!」
と笑いながら受付前の椅子で待ってると、
「お待たせ!」
とカレン達がようやく登場する。
「んじゃ行くか!」
「おう!」
「だな」
『ニャー!!』
とダンジョンに入っていくと、
「おぉ!フィールド型だな!」
「そうよ、ちゃんと調べてきたのよ!」
「よし!素材はねーかな?」
「あはは、ここら辺は薬草くらいだろ?」
「もっと奥に行きましょう!」
ということでどんどん進んでいく。
敵はゴブリンやスライム。
「ん?」
「どうしました?」
「いや、あの子スライムに手こずってるから」
「あぁ、どうしたんですかね?」
「んー、鑑定…やっぱりジョブ無しか」
昔の俺を見てるみたいだな。
「おい。こうやって倒すんだ」
と横から入って倒すと、
「わ、わかってる!」
「何故ジョブがないんだ?」
「クッ…しょうがないだろ!ウチはビンボーだから行けなかったんだよ!」
「義務で国からお金は出てるはずだが?」
中学で金は出ているはず!
「それはおかしいな。どこの中学だ?」
「み、未来中」
「よし、んじゃいくか!」
「えっ!?嘘でしょ?」
「仕方ないだろ?こんなことが許されるわけがないんだ」
さっさと外に出ると市役所に行く。
「市長はいるか?」
「は、はい、市長室に」
俺たちは市長室に入っていくとビックリしたおっさんがいた。
「あんたが市長か?」
「な、なんだ?お前らは!」
「とりあえずこいつの話を聞いてやれ!」
「な、なんだ?」
と少年が前に出ると聞く体制になる。
「未来中の三年の進藤です。僕の家はび、ビンボーだからジョブを取りに行けませんでした」
「は?な?は?!そ、それはほんとうかね!!今すぐ未来中に連絡を!!」
と言って秘書に連絡させると、
「何をしているんだ!!いますぐ行かせなさい!!」
「あ、いいよ、ここにあるから。それより着服だろ?どうすんだ?」
「そうだ!着服だな!今から警察をよぶから覚悟しろ!!」
と電話を切ると、
「すまなかったね。これはこちらに落ち度がある。悪かった!」
と謝る市長。
「よし。これを触れ」
「え!?これって?」
「覚醒のモノリスだ。いいジョブならいいな!」
「う、うん!」
触ると光り、ジョブが覚醒したようだ。
「『剣士』だった!やった!」
と喜ぶ進藤くん。
「ほ、本物かね?わ、わしも触らせてもらえんか?」
「いいよ!」
市長も触ると覚醒したようで、
「わ、わしは武士じゃった!」
二人とも良かったですね。
「ついでだ、秘書さんも触れば?」
「は、はい」
「私は薬師でした!」
「ハハッ!まぁ、ポーションの作り方を教えてあげるよ」
「あ、ありがとうございます」
「君は噂の錬金術師かね?」
「まぁ、そう言うことですね」
「そうか。進藤君には悪いことをしたな。義務教育なのに辛い思いをさせたな」
「まぁ、ちゃんと対応してくれて助かったよ」
「いや、まだわしの目の黒いウチはそんなことさせんからな!こんどからちゃんと調べよう」
「お願いしますよ?」
進藤君にはギルドに戻って剣とカバーを買ってあげた。これで少しでも稼ぐことができれば生活も楽になるだろう。
「あ、ありがとうございます」
「んじゃな!」
「んー…てい!!んじゃなじゃない!今から潜るわよ!」
と、カレンがチョップしてくる。
「えっ!いい感じで別れるところじゃない?」
「うるさい!進藤君も頑張ってね!じゃ!」
「おいおい!まじかよ!」
背中を押されて中に入っていく。
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