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マリア
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「あんなことする必要なかったじゃない!」
「ん?キスのことか?」
「そ、そうよ!」
「ありゃ応急処置だ、キスには入らないさ」
顔を赤くしたカレンとアーシャが文句を言う。
そして俺はマリアを置いていくことにした。
結局連れ帰っても死ぬだけだからな。
最後にアーシャが何か書いていたが、知らぬふりをしてセーフティーゾーンに残していく。
「よかったの?」
と聞くアーシャ。
「まぁ、女が死ぬところも殺すことも見たくはないんでね」
「くだらない」
「どうとでも言え!」
俺たちは60階層を突破してテントを張る。
♦︎♢♦︎
「ん、…ん。あはは、ボロ負けね」
マリアは座ったまま泣いていた。
これじゃ今死んでも何も残せないし、生きて帰っても死んだことにされる。
「なんて残酷な人」
自分にはもう何も残っていない。
あの錬金術師を殺すまでは。
「無理だわ、殺せないじゃない」
私もアーシャと同じね。
結局コマはコマにしかなれない。
父だと思ったことはなかったけど…それにしても私も同じようなものね。
とアーシャからの手紙を見つける。
「…はぁ、これからどうしようかな」
♢♦︎♢
「オラァ!」
とに、俺が何で殺されなくちゃならないんだよ!
「荒れてるねぇ」
ゼロが寄ってくる。
「まあな!」
と目の前のモンスターを斬り裂く。
「俺はヤトに感謝してる、俺みたいな敵を受け入れてくれてな」
「チッ!お前も死んだ方が良かったか?」
「一回死んだ。俺はゼロだ」
「フンッ!そうかよ!」
モンスターを倒してるのは俺だけだ。
「落ち着こうぜ兄弟?マリアは戻ってくるさ」
「はぁ、別にそんなことは気にしていないぞ?」
「そんな風に見えないけどな?」
「おちょくってるのか?」
「まさか?お前のことを心配してんだよ!」
ゼロがモンスターを倒す。
「まぁ、気にせずゆっくり行こうぜ?」
「はぁぁ、まぁ、そうだな」
と二人で最前列の敵を倒していく。
「アーシャ?」
「ん?」
「お姉さんなんでしょ?いいの?」
カレンが聞くが、
「会うこと自体がなかった姉さんだからなんとも?」
と言って弓を射る。
「それも不思議ね?なんでロシアではそうしてたのかしら?」
「情がうつるからでしょ?まぁ、会ってなくても噂には聞いてたしね」
「そっか」
とカレンも魔法を放つ。
ロシアからの刺客はもうこないことを祈る。
「俺の体が持たないよ」
「何だって?」
「何でもない」
70階層ボス部屋。
一つ目の大型巨人、サイクロプスだ。
他のダンジョンでも出てきたが色が違うしでかいな。
氷の槍を前方に作り出して撃ってくる。
鑑定するとアイスサイクロプスというやつらしい。
「ちゃんと避けろよー!」
「だっ!分かってるって!」
とカエデが斬りかかるが氷の盾を出してガードする。
「かぁ!かってぇな!」
「後ろに下がって!ファイヤーピラー」
「サイクロン」
カレンとネオが魔法を放つと、サイクロプスは炎の竜巻に吸い込まれていく。
っとにそればっかりじゃないか!
「サンダーバースト!!」
左腕がちぎれて無くなる。
だが、蹴られてシオン達に攻撃されると前線が崩される。
「カエデ!シオン!」
「大丈夫!ポーション飲んだ!」
それが大丈夫じゃないんだよ!
『ステルスキル』で毒を付与する。
「よし!動きが止まった!」
ばか、止めたんだって!
「オラァァァアァ!!」
と右腕を斬りつけそのまま回転して首元に剣が突き刺さる。
剣を抜いてカエデが後ろに退がるとようやくサイクロプスは倒れて消えていく。
後に残ったのは魔石と皮だ。
言いたいことは山ほどあるが、それはあとだな。
宝箱からは氷輪丸という綺麗な剣が入っていた。
カエデは奪っていく。
「本当に現金だな」
『まぁ、無事だからいいにゃ』
「まぁな。それにしても結構強かったな」
素材を取りながら少し休憩している。
「はぁ我まで使いおって!」
「ツクヨはモクレンに引っ付いてただけだろ?それよりようやく素材は取り終えたけど、お前はどうすんだ!」
と柱に隠れてるマリアに声をかける。
「…出ていくタイミングくらい選ばせなさいよ!」
と柱の影からマリアが出てくる。
「あいにく、またつけられるのもうんざりなんでな」
「いつの間に…」
「さっき扉が開いただろ?気づかなかったのか?」
「全然ー!」
カエデに聞いた俺がバカだったな。
「…仲間に入れてくんない?」
「今度は後ろからなんて卑怯な真似するなよ?」
「もうしないわよ!」
「んじゃ俺らの仲間でいいんだな」
「ヤトの愛人でもいいわよ?」
「「ふざけるな」」
カレンとアーシャが言うと、
「はいはーい!んじゃよろしくねアーシャ」
「姉さん?」
「まぁ、慣れるまでかかるわよね」
「別に、姉さんがいたことは知ってたしね」
「あはは、ロシア組にようこそだ」
ゼロが手を差し出すと、
「はぁ、こんなに明るく慣れるかしら?」
と手を払われる。
まぁ、ロシアも本気になれば戦争だろうが俺一人のために戦争はしないだろ。
「のう、ロシア?というのは敵か?潰すか?」
「魔王が言うと怖いな。敵だが敵じゃない…何て言えばいいか分からんが、手出し無用だな」
「なーんじゃ、我の出番かと思ったのにのぉ」
『にゃんでそう言う物騒なことになるにゃ!これはアーシャとマリアの姉妹が仲良くなるとこにゃ』
「うるさい猫の分際で!」
と戯れているツクヨとテンはほっといて先に進むか。
何階層まであるんだ?
ここで70か、100で終わればいいけどな。
「ん?キスのことか?」
「そ、そうよ!」
「ありゃ応急処置だ、キスには入らないさ」
顔を赤くしたカレンとアーシャが文句を言う。
そして俺はマリアを置いていくことにした。
結局連れ帰っても死ぬだけだからな。
最後にアーシャが何か書いていたが、知らぬふりをしてセーフティーゾーンに残していく。
「よかったの?」
と聞くアーシャ。
「まぁ、女が死ぬところも殺すことも見たくはないんでね」
「くだらない」
「どうとでも言え!」
俺たちは60階層を突破してテントを張る。
♦︎♢♦︎
「ん、…ん。あはは、ボロ負けね」
マリアは座ったまま泣いていた。
これじゃ今死んでも何も残せないし、生きて帰っても死んだことにされる。
「なんて残酷な人」
自分にはもう何も残っていない。
あの錬金術師を殺すまでは。
「無理だわ、殺せないじゃない」
私もアーシャと同じね。
結局コマはコマにしかなれない。
父だと思ったことはなかったけど…それにしても私も同じようなものね。
とアーシャからの手紙を見つける。
「…はぁ、これからどうしようかな」
♢♦︎♢
「オラァ!」
とに、俺が何で殺されなくちゃならないんだよ!
「荒れてるねぇ」
ゼロが寄ってくる。
「まあな!」
と目の前のモンスターを斬り裂く。
「俺はヤトに感謝してる、俺みたいな敵を受け入れてくれてな」
「チッ!お前も死んだ方が良かったか?」
「一回死んだ。俺はゼロだ」
「フンッ!そうかよ!」
モンスターを倒してるのは俺だけだ。
「落ち着こうぜ兄弟?マリアは戻ってくるさ」
「はぁ、別にそんなことは気にしていないぞ?」
「そんな風に見えないけどな?」
「おちょくってるのか?」
「まさか?お前のことを心配してんだよ!」
ゼロがモンスターを倒す。
「まぁ、気にせずゆっくり行こうぜ?」
「はぁぁ、まぁ、そうだな」
と二人で最前列の敵を倒していく。
「アーシャ?」
「ん?」
「お姉さんなんでしょ?いいの?」
カレンが聞くが、
「会うこと自体がなかった姉さんだからなんとも?」
と言って弓を射る。
「それも不思議ね?なんでロシアではそうしてたのかしら?」
「情がうつるからでしょ?まぁ、会ってなくても噂には聞いてたしね」
「そっか」
とカレンも魔法を放つ。
ロシアからの刺客はもうこないことを祈る。
「俺の体が持たないよ」
「何だって?」
「何でもない」
70階層ボス部屋。
一つ目の大型巨人、サイクロプスだ。
他のダンジョンでも出てきたが色が違うしでかいな。
氷の槍を前方に作り出して撃ってくる。
鑑定するとアイスサイクロプスというやつらしい。
「ちゃんと避けろよー!」
「だっ!分かってるって!」
とカエデが斬りかかるが氷の盾を出してガードする。
「かぁ!かってぇな!」
「後ろに下がって!ファイヤーピラー」
「サイクロン」
カレンとネオが魔法を放つと、サイクロプスは炎の竜巻に吸い込まれていく。
っとにそればっかりじゃないか!
「サンダーバースト!!」
左腕がちぎれて無くなる。
だが、蹴られてシオン達に攻撃されると前線が崩される。
「カエデ!シオン!」
「大丈夫!ポーション飲んだ!」
それが大丈夫じゃないんだよ!
『ステルスキル』で毒を付与する。
「よし!動きが止まった!」
ばか、止めたんだって!
「オラァァァアァ!!」
と右腕を斬りつけそのまま回転して首元に剣が突き刺さる。
剣を抜いてカエデが後ろに退がるとようやくサイクロプスは倒れて消えていく。
後に残ったのは魔石と皮だ。
言いたいことは山ほどあるが、それはあとだな。
宝箱からは氷輪丸という綺麗な剣が入っていた。
カエデは奪っていく。
「本当に現金だな」
『まぁ、無事だからいいにゃ』
「まぁな。それにしても結構強かったな」
素材を取りながら少し休憩している。
「はぁ我まで使いおって!」
「ツクヨはモクレンに引っ付いてただけだろ?それよりようやく素材は取り終えたけど、お前はどうすんだ!」
と柱に隠れてるマリアに声をかける。
「…出ていくタイミングくらい選ばせなさいよ!」
と柱の影からマリアが出てくる。
「あいにく、またつけられるのもうんざりなんでな」
「いつの間に…」
「さっき扉が開いただろ?気づかなかったのか?」
「全然ー!」
カエデに聞いた俺がバカだったな。
「…仲間に入れてくんない?」
「今度は後ろからなんて卑怯な真似するなよ?」
「もうしないわよ!」
「んじゃ俺らの仲間でいいんだな」
「ヤトの愛人でもいいわよ?」
「「ふざけるな」」
カレンとアーシャが言うと、
「はいはーい!んじゃよろしくねアーシャ」
「姉さん?」
「まぁ、慣れるまでかかるわよね」
「別に、姉さんがいたことは知ってたしね」
「あはは、ロシア組にようこそだ」
ゼロが手を差し出すと、
「はぁ、こんなに明るく慣れるかしら?」
と手を払われる。
まぁ、ロシアも本気になれば戦争だろうが俺一人のために戦争はしないだろ。
「のう、ロシア?というのは敵か?潰すか?」
「魔王が言うと怖いな。敵だが敵じゃない…何て言えばいいか分からんが、手出し無用だな」
「なーんじゃ、我の出番かと思ったのにのぉ」
『にゃんでそう言う物騒なことになるにゃ!これはアーシャとマリアの姉妹が仲良くなるとこにゃ』
「うるさい猫の分際で!」
と戯れているツクヨとテンはほっといて先に進むか。
何階層まであるんだ?
ここで70か、100で終わればいいけどな。
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