ガチャから始まる錬金ライフ

あに

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「待って、罠よ」
「分かってる、だからこんな隊列なんだよ」
 RPGのように一列に並んで歩いている。
「ダサい」
「これが一番楽だろ?」
「そうだけど」
 モンスターが来たが罠を踏んで自滅している。
「こう言う効果もある」
「ふぅ、分かったわよ」
 とマリアも隊列に入り、並びながら先へと進む。
 98階層でテントを張ると、
「後2階層でしょ?いくべきよ!」
「いーや、ここで休む。セーフティーゾーンがこれ以降にあるかわからんからな」
 ここで休んでしっかりした状態でいくのがベストだ。
「随分と消極的ね」
「俺は戦うのは嫌いだ」
 マリアは驚いた顔をして、
「は?うそでしょ?それなのにこんなダンジョンの最下層まで来てるの?」
「悪いか?まぁ、これが最後になるかもだしな!」
 俺は別にS級じゃなくてもいいんだ。
「ヤト?S級に上がってもダンジョンはいくわよ?」
 とカレンがいうが、
「俺は錬金術師だ。今欲しい素材もないし行く必要がない」
「でも」
「でもじゃない!そこまで付き合ってられない」
「…バカ!」
「カレン!」
 モクレンが追いかけていく。
「そう言うことだ。俺は別にダンジョンに行く気はないからな?」
「分かったけどもう少し言葉選んだら?」
 シオンの言う通りだが、
「これ以上必要のない冒険はしない」

 これが俺だ、悪いが変える気はない。

 翌日は言葉数も少なく99階層に進む。
 100階層、ボス部屋前で小休憩だ。
「行くぞ」
 と扉を開き中に入ると白竜だった。
 初っ端からブレス攻撃をしてきて逃げ遅れたカレンとモクレンが大怪我をする。
 上級ポーションを投げると二人ともそれを掴んで回復する。
「やばいからさっさとやるぞ」

「え!?」
 俺は素早く白竜の前に行くと、
「サンダーバースト!」
 と魔法を放ちそのまま白竜を登って転移蠱毒刀で肩羽を切り落とす。
『ゴアァァァァァァ!!』
「まぁ、そう喚くな」
 首の下から口を貫き、降りる際に転移蠱毒刀を手元に出して腹を掻っ捌く。
 降りると光になって消える白竜。
「…すっご」
「…ヤト」
「な、なによ!あの動き!バケモノじゃない!」

 俺はドロップをインベントリに入れる。
 魔石と皮と角だった。
 奥にダンジョンコアが見える。
「よし、100階層までのようだな」
「ちょ、ちょっと待ってよ!ヤトは今まで隠してたの?」
「は?隠す?お前らに任せてただけだろ?」
「そ、そんな、じゃあヤトは一人でも」
「まぁ、ダンジョンは攻略できたかもな」
『にゃにを今更、MPがバケモノ並みだにゃ?他も上がってるにゃよ』
 とテンが言う。

「私達に合わせてたの?」
「ちがう、俺は見てただけだろ?」
「あぁ」
「それは違うだろ!ヤト!パーティーでやってきたんだろ?」
 モクレンが言う。
「だから一緒にいただろ?」
「クッ!そうじゃないだろ!ちゃんと教えろよ!」
「俺の強さをか?それは秘密だろ?」
「そ。そうかもしれないけど」
 と言う仲間達に、
「じゃあなにか?俺は一人でも余裕だから行かないとか言えって言うのか?」
「ち、ちがう。ごめん。そうじゃない」
「本気を見せなかったのは危なくなかったからだ。今回は違っただろ」
 俺の言ってることは間違っているのか?
「はぁ、大人なんじゃ。別に怒ることなかろう」
「はぁ、だが…いや。別に怒ることもないか」
 ツクヨの言う通りだな。

「ごめんなさい。私てっきり同じくらいだと思ってた」
「べつに人それぞれだろ?」
「うん、ヤトは強かった。思ってる何倍も」
「俺もごめん」
「さ、もういいさ!さっさと素材集めてS級になろうか!」
 S級になれば晴れてお役御免だ。

「私は辞退するよ」
「俺もだ」
「は?何でだよ?」
 カレンもモクレンもS級だぞ?
「あのね、私達みんなで倒したならS級って言えるけど、今回は最後ヤト一人で倒したでしょ?」
「あぁ」
「だから私達は次のダンジョンで上がるよ!」
 はぁ、意味わからんな。
「…分かったよ」
「さ、みんなで素材を集めようか!」
 とカレンが言う。

「は!パーティーって言ってもバラバラじゃないさ!錬金術師がバケモノ並みに強いとはね!」
「マリア」
「私はこのチームから抜けるよ、仲良しこよしは好きにすればいい」
「…あぁ、お前も好きに動けばいいさ」
「グァッ!!」
 俺はマリアの首を掴むと、
「だがな、侮辱する発言はやめてもらおうか?」
 俺の手に力が入る。
「わ、…悪かった」
「ふん!」
「ゴホッゴホッ」
 はぁ、さっさとここを出て家に帰ろう。

 素材を集め終わってギルドで攻略の報告をする。
 攻略者は俺一人だ。
 
 俺は一人。S級冒険者になったのだ。

「本当に良かったのか?」
「うん!私達もヤトに負けないように頑張るよ!」
「だな!まぁ、時間かかるかも知んねーけど」
「そうだな」
 と『ルベル』はまとまったようだな。
「じゃーね、私は私の道を行くわ」
 と言ってマリアはギルドから出ていく。

 まぁ。これで良かったのかもしれないな。
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