ガチャから始まる錬金ライフ

あに

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予兆

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「スタンピートの予兆?」
 カレンがそう言ってくるのはいつものダンジョンだ。
「そう、最近ダンジョンが揺れることが多いのよ」
「外は地震は起きてないみたいだけどね」
「それは他のところも?」
「ううん、いつも言ってるダンジョンだけなの」
 それは心配だな、『プライド』も近いし『ここ』も近いからな。
「しょうがない、見に行くか!」
「やった!ありがとう!」

 カレンの言う通りだとスタンピートが起きてもおかしくないからな。

 ゼロやモクレン達も呼んでダンジョンに入る。
 25階層でゆっくりしている時にやはり地震のような横揺れを感じる。
「今のか?」
「そう、地震みたいで嫌なのよね」
「そうだな、何もなければいいが」
 何もないなんてことはないと思うが調べた方がいいな。

 奥に行くほど揺れは大きくなる。
 ダンジョンでもフィールド型ならいいが、迷宮型だから周りが見えないのが怖いな。

 49階層で休憩するがやはり揺れはたまに来るな。
「ここからは罠もあるし、危険だな」
「か、帰らないわよ?」
「わかってる、一緒に行くんだろ?」
「そ、そうよ!」
 出来れば帰って欲しいが無理だろうな。
「注意して進むぞ?」
「「「「おう」」」」

「ここまで来ると何かを殴ってるのか?音がするな」
 70階層を超えると“ズガンッ!”と音がするな。何故か壁を殴ってるような音だ。

「誰か暴れてるのかもな」
「地響きがするほど?」
「だろうな」
 …地響きがするほど暴れてるってのは強いんだろうな。
 また本気を出さないといけないのか?

「ここからは慎重にいくぞ」
「「「「はい」」」」

 80階層ボス部屋。
 扉の前で小休憩をとっていると、
この扉の奥から音がするな!」
「ちょっと怖いかも」
「帰還札はあるな?もし無理そうだったらすぐに使え!」
「「「はい」」」
「行くぞ!」
 扉を開けるとボスのブラックミノタウルスが消えていくところだった。
「お!ちょうど良かった!ここから出られないんだがどうすればいい?」
 とツノの生えたロン毛の男が言う。

「ん?ちょっと待てよ?」
 『鑑定』すると魔王の卵グラムとなっている。
「ん?何かしたのか?」
「うん、お前魔王だからダンジョンから出られないだろ?」
 男は慌てる。
「は?いや?え?なんで?俺は魔人国でまったりしてただけなのに?だ、ダンジョン?」
「お主はダンジョンに選ばれたみたいじゃな」
「あ!魔王様?え?なんでここに?」

 話を聞くとグラムは仕事をサボってのんびりしていた。だが、気づいたらここの最下層にいて、びっくりして上に登ってきたそうだ。

「いやだ!魔王?ふざけるな!そんな大役俺ができるわけないだろ!」
 と壁を殴ると“ズガン”と横揺れがする。
「はぁ、横揺れの原因はグラムだったのかよ」
「お、俺はどうすれば」
「んー、戻せるかな?」
「どうじゃろう?試してみたらどうじゃ?」
「んじゃ返還!」
 返還の魔法陣はでるが、グラムには効かないみたいだ。

「じゃあ、ちょっくら倒してみるのじゃ」
 とツクヨが魔法を使おうとする。

「え?!い、嫌ですよ!痛いのは勘弁してください」

 と情けなくこちらを見つめるので、
「んじゃ俺と契約してみるか?」
「ん?契約?するする!ここから出たい!」
 俺は召喚の魔法陣を呼び出すとグラムを呼び出す。
「おお!少し違う気がするぞ!」
「んじゃ、グラムな?」
「おう!」
 召喚の魔法陣が光り、グラムと繋がったような感覚がある。
「これで返還できるかな?」
「え!魔王様がこっちにいるのはなんでだ?」
「そ、それはじゃな!か、関係ないじゃろ!」
 明らかに動揺しているツクヨ。
「いや、こっちの方が楽しいんじゃないか?そこのピクシーキャットもそうなんだろ?」
『にゃ、にゃんのことにゃ?テンはヤトの相棒にゃからにゃ!』

 まぁ、返還できるか試してないしな。
「んじゃまぁ、返還」
「ぬ、ぬおぉ!まっ、待ってくれよオォォ!」
 とグラムは返還されていった。

 まぁ、また今度召喚してやればいいだろ。
「と言うか魔王って多くない?」
「そ、そんなことないのじゃ!あやつも魔王の卵だったのじゃ!」
「まぁ、そう書いてあったけどさ」
「そう、魔王はツクヨ一人なのじゃ!」
 とない胸を張ってツクヨが言う。

「でも魔人国と繋がってるのかな?それともランダム?」
「たぶんランダムじゃろうな。前回の魔王騒ぎの時は知らんタイプの魔人じゃったからな」

『それじゃー、ニャー達の国からも来る可能性があるのにゃ』
「そうだな、でも『魔王の心臓』とやらは俺がインベントリに保管してるから魔王になることはないな」
 また全世界スタンピートなんてあってたまるか!

「よし、んじゃ100階層まで行って帰ろうか」
「だね。ボスもグラムが倒したみたいだしね」
 とゆっくり下に降りていき、100階層から10階層に戻る。
 宝箱やドロップはそのままだったのでありがたくもらっておいた。

 まぁ、グラムも悪いやつじゃなさそうだし呼んでやってもいいかもな。
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