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小金井2
しおりを挟む♦︎♢♦︎
「く、クソッ!低級ポーションしか出来ないなんて!なぜなんだ!」
小金井は焦っていた。せっかく錬金術師のジョブになったのに作れるのは低級ポーションだけだ。
だが低級ポーションを作り続ければレベルも上がり他のものもできるのを小金井は知らない。
「とうすれば…やはりあの男に聞きに行くしかないのか…」
♢♦︎♢
「いやぁ、美味かったぜ!」
「ほんと!体が軽くなったみたい!」
「みんなそう言うね。ステータスが上がってるのかもね」
「そりゃ竜の肉なんか贅沢品じゃからな」
とみんなで後片付けをする。
みんなお腹いっぱいになったようでよかった。
『頼もうぅ!!』
玄関の方から声がする。
「この声聞いたことあるぞ?」
「まさかな」
『頼もうぅ!!』
もう一度声がする。
「はぁ、十中八九あいつの気がするけど、出てくるわ」
「分かった!何かあった時はすぐ呼べよ?」
俺は扉を開けて出ていくと、
「あ!先日はすいませんでした!!あれから心を入れ替えましたので弟子にしてください」
「結構です」
扉を閉めようとするが無理やり足を入れてくる。
「お、お願いします!このままじゃ、低級ポーションしか作れないんですよ!」
こいつそれなりに力あるのか?
「て、低級ポーションを作ってレベルを上げなきゃ他のは作れないだろ!低級ポーションつくってろ!」
扉は閉まり、
「そ、そうなんですか!ありがとうございます!」
と言ってすぐに戻っていった。
「なんだって?」
「弟子にしてくれって頼んできたけど、低級ポーションを作ってレベルを上げなきゃいけないって言ったら帰っていった」
「なんだそりゃ、誰でもわかることだろ?」
「まぁ、初めてのジョブだからわからなかったんじゃないか?」
とジャブジャブとプレートを洗っている青蘭。
「まぁ、さっさと退散してくれたからよかったよ」
「だな!ああ言うやつは人を見るからな!」
「ああ、一番嫌いなタイプだな」
「同感だ!」
とみんなで笑い合う。
「みんな帰ったな、テンはまだ飲むか?」
『飲むにゃ!』
と二人でビールを飲む。
ソファーでテレビを観ているとやはり出てくる小金井。
テレビ受けはいいらしく、まぁ、別にブサイクではないのでそれなりに人気が出るのもわかるな。
まぁ、俺の知るとこじゃないし、頑張ってくれればそれでいいかな?
夏もそろそろ終わりだな。
うるさかった蝉の声から小さな鈴虫の音に変わるような季節だ。
今日は雨が降っているので家でゴロゴロしている。
ようやく中級ポーションが作れるようになったらしい小金井はいつものようにテレビに出ている。
今日は青蘭達と一緒だな。
『俺のレベルが上がれば守銭奴はいらなくなる!』
『それはいつだ?まだまだ先の話だろ?ヒヨッコ』
『な、なんだと!これでも毎日レベルを上げてるんだ!すぐに追いつく!』
『無理だな、あいつはお前の100倍、いや1000倍は作ってるからなぁ』
『く、くそ!なんなんだよ!『ブルーオーシャン』にはポーションはやらないからな!』
『あぁ、お前のポーションなんか誰が使うか!』
…あーぁ、テレビでケンカはダメだろ?
それから事あるごとに『ブルーオーシャン』と小金井は一緒の番組に出るようになったが、『ブルーオーシャン』側が嫌がって一緒に出ることはNGになったらしい。
まぁ、あれだけ喧嘩してればそりゃそうなるよな。
こちらはポーションを毎日大量に作っていたので錬金術師のレベルが35まで上がっていた。
・帰還石…転移石+魔石+帰還札(回数制限有り)
・ダンジョンツルハシ…ミスリル+ダンジョン石(ダンジョンの壁を掘ることができる)
・身代わりのミサンガ…人面草+生命のツタ
・魔眼…目玉石+魔石+各種の種
・魔導銃…オリハルコン+ヒヒイロカネ
・魔導弾…各種魔石+火炎草
が作れるようになったな。
帰還石は作ろう。
ダンジョンツルハシもいいかもな!素材が取れそうだ。
身代わりのミサンガがようやく作れるようになったな!『ルベル』のみんなはつけてるからあとは『ブルーオーシャン』なんかにもいいな!
あとは、うーん作らなくてもいいかもな。
それにしても錬金術の書『禁書』に書いてあるのは危ないのばかりだな。
・転生の薬
・生命の薬(死んだ者を生き返らせる)
・不死の薬
・賢者の石
となんとも作ろうと思えない薬ばかりだな。
賢者の石はいずれ作ろうとは思う。
錬金術の最高峰だからな。
『にゃーにを難しい顔してるにゃ』
俺は本をインベントリにいれて、
「別に、テンは何か作って欲しいものはないのか?」
『ニャーか?うーんムキムキになる薬?』
「それは無理だな、テンの可愛さがなくなってしまう」
『ニャハハ、そうにゃったらウケるにゃ』
「ウケ狙いでやるもんじゃないだろ」
と笑いながらビールをやめて布団に入る。
テンも自分のベッドに入って、
「『おやすみ」』
と言って寝る。
翌日は晴れて洗濯などをして外に出る。
インベントリの中の食い物が減ってきたので買い出しだ。
『ニャーはお菓子が食べたいにゃ!』
「チョールじゃダメなのか?」
『チョールも美味いから買うにゃ、あと高級缶詰』
「あはは、チョールも酒肴品だろ?」
『まぁいいじゃにゃいか!』
とペット用品なども買ってつまみやら和菓子やら買って回る。
和菓子はたまに食いたくなるんだよな。
自炊もするが。最近物価が高いので出来合いのものが得のような気がするな。
まぁ。食にこだわりはないから食えるものならなんでも買う。
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