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礼拝堂の宝箱
しおりを挟むガーナがやってきて、
「素材を取りに行きたいんだがねぇ」
「元の世界にか?」
「そうだねぇ、連れてってくれるかぃ?」
「分かった、テンも行くか?」
『行くにゃ』
となるとツクヨとネオは、
「行くのじゃ!」
「行きます!」
と言うことでツクヨ達を返還して『転移』で異世界に行くことになった。
店はミライとメグミに任せておく。
『転移』
「おぉ、久しぶりな気がするな」
「ヤトー!」
と返還したツクヨが呼んでいる。
「おう!ツクヨも行くのか?」
「我はたまった仕事があるのじゃ」
「ならテンとネオは行くか」
『にゃー!』
「はい!」
四人でガーナの案内で森に入って行く。
そこは素材の宝庫で蟠桃や知識の種など、たくさの素材が生えていた。
「うおぉ!凄いところだな」
「必要な分だけ取るのがコツさ、そうしたらまた生えてくるからね」
「あぁ、こう言う場所があっちにもあったらよかったのに」
「ないのかい?」
「ダンジョンの奥くらいかな?」
「そうかい、んじゃ、必要なものはとっていいさね」
「あはは、取りすぎないようにするよ」
と素材を集めていく。
途中でンジャコングと言う動物に出会ったが、何もしないと去っていった。
「動物は怒らせなきゃ大丈夫さね」
「だな、剣を抜くとこだったよ」
と言って素材回収に戻る。
「幽霊茸はないのか?」
「あれは墓地や寂れた礼拝堂にあるけど、モンスターがいるよ?」
「それなら明日取りに行こうか?」
「いいけどわたしゃ戦力にならないよ?」
「あぁ、俺がいるから大丈夫だろ」
とあらかた素材は集まったので魔王城に行く。
ガーナは自分の店に帰っていった。
「寂れた礼拝堂って西にある礼拝堂か?あそこはモンスターの巣じゃぞ!」
「まぁ、どうにもならなかったら帰ってくるさ」
と飯を食いながらツクヨとしゃべる。
「われも仕事さえなければ」
「いけません!ちゃんと目を通して下さい」
「分かっとるわ!」
とお供のモンスターに釘を刺されると、
「まぁ、あそこの敵は聖なる気があれば簡単じゃろ」
「へぇ、やっぱ死霊系なのか」
「ちゃんと呪い対策もしていくんじゃよ?」
「分かったよ」
と飯が終わると風呂に入る。
テンと入っていたらネオとツクヨが入ってきた。
「だぁー!なんで入ってくんだよ!」
「良いではないか!」
「そうです、ヤト様の背中を流すんです!」
と裸のネオはちと刺激が強すぎるな。
「わ、わかったから」
と四人で風呂に浸かる。
この状況はどうしたもんかな。
出るに出れない状況だ。素数でも数えるか。
「ヤト様、お背中を」
「わ、わかったから、んじゃ上がるぞ」
と股間を押さえながら外に飛び出して椅子に座る。
「では、お背中お流しいたします」
「は、はいどーぞ」
優しく背中を洗ってもらい、
「じゃあ、前も」
「前は自分でするから!やめてくれ!」
「えー、わかりました」
っとに、油断も隙もないな。
サッサと洗い、退散する。
「あ、ヤト様!」
「これ、それ以上は嫌われるじゃろ」
「うー…」
ナイスツクヨだ!
あとでアイスでもあげよう。
熱った体にビールが美味いな。
『クハァ…美味いにゃ』
「だな。でもさっきはまいったな」
『別に交尾していいんじゃにゃいか?』
「そう言うわけにいかないの!」
『そうかにゃ』
猫と人間は違うのだ。
翌日は西の礼拝堂へと空飛ぶ絨毯で向かう。
上から見てもゾンビやスケルトンが動いてるのがわかるな。
新聖水は昨日作ったんで上から巻いてみるとゾンビやスケルトンが溶けて消えて行く。
「こりゃ、楽だねぇ」
「だな。聖水があれば戦わなくて済むな」
と思っていたがあらかた片付けたらリッチが出てきた!
聖水はあまり効き目がないようだな!
「っと、んじゃ『ホーリーバースト』」
『クォォォォォォォ!!』
やっぱり効くみたいだ!
体が半分無くなり光になって消える。
さっさと素材を取って逃げようと。全員で素材をとる。
まぁ、そんなに使うことはないが。錬金術師なら一度は作っておかないとなあ。
・幽体離脱薬…恕霊茸+幽霊茸+聖水
ドロップ品も落ちていたので拾って帰る。
呪われたアーマーや司祭の杖などだった。
奥に行くと宝箱が置いてあって開けると金銀財宝があった。
「おぉう。まじでか?」
「凄いねぇ、でも呪われてるねぇ」
「新聖水ぶっかけてみるかな」
とぶっかけると、
『オオォオォォォオ』
と邪気が祓われて普通の金銀財宝になった。
インベントリにいれて、
「よし!帰ろうか!」
『にゃ。結構楽だったにゃ』
「そりゃあんなに聖水振り撒けばねぇ」
と空飛ぶ絨毯に乗り礼拝堂を後にする。
帰りは遠回りして人間国を見て回る。
やはり奴隷がいなくなって自分達だけで生きているので辛そうだが、それが普通だと魔王城に帰る。
「よかったのじゃ!問題はなかったか?」
「おう!これがあったぞ」
と金銀財宝を出すと、
「ウヒョー!凄いのじゃ」
「魔人国の財政は?」
「そ、それはヤトが見つけたものじゃ「不安定にございます」宰相!!」
「だろうな、これがあったら建て直せるか?」
「いただけるのであれば必ず!」
と宰相は頭を下げる。
「よし!これは魔人国に貸すから立て直して見せてくれ!」
「分かりました!」
と宰相は言う。
「だ、ダメじゃ!ヤトに、主人に借りるなんて」
「別にいいんじゃない?貰うわけじゃないんだろう?」
ツクヨはまだ納得していない。
「そうだ、貸す。利子はつけない。無期限だが、これより悪くなったら取り立てる!」
「ヤト…ありがとう」
「俺は別に損してないからな?貸すだけだし」
「うん!さぁ、宰相!やるぞ!」
「はい!まずはどれくらいあるかですね!」
と宝箱をひっくり返す。
金貨、銀貨、インゴットに宝石なんかもあり、結構な額になりそうだな。
「それにしてもなんであんなところにこんな財宝があったんだ?」
「一説によると、あの街の礼拝堂に聖女が来て街の皆が持ち寄った財宝をお布施として奪い、聖女が偽物だと気付いた神官が聖女を殺したことで街が呪いにかかったと言うことです」
「あー、だからリッチはこれを守ってたのか」
なんだかやるせないなぁ。
「ですが人間、やることは表裏一体。裏切りと正義を繰り返すのですよ」
「…そうかもな」
宰相は財宝を数え終わると宝物庫に収めて、
「これから作るドワーフの街とエルフの街、それにつながる道の整備に使って行きます」
「そうじゃ!この街はもう人がいっぱいじゃからのう」
「と言うことで魔王様も指示をお願いしますね」
「分かったのじゃ!だから我を呼ぶ時は慎重にな!ヤト!」
「分かった、頑張れよ?」
「頑張るのじゃ!」
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