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配信
しおりを挟む「おー、配信は大盛況だねー」
「あんなレベル上げが?」
「『お手本』になるみたいで再生数が伸びてるよ?それにレアルも可愛いしね」
とモクレンが言う。
「『黒い宝石』や『ブルーオーシャン』も配信始めたみたいです。『黄金騎士』もそうですが一部の熱狂的なファンがついてるみたいですよ?」
ゼロがコーヒーを置いてそう言う。
まぁ、自分で行けない奴はやはりダンジョンの最奥が気になるんだな。
「今変なこと考えてません?S級パーティーを応援したい人が見てるんですからね?」
「そっか、なら『ルベル』も配信すれば?」
「もう配信してますって。これでもだいぶ人気なんですよ?」
「へぇ、そうなんだな。見てる人は見てるんだな」
とヤトベースで話をしている。
「いまダンジョンに行く人間は配信中心でD-tuberって呼ばれてますね」
とミライが言う。
ほぉ、知らなかった。
「まぁ、このままレアルはレベル上げしていくから、『ルベル』は普通に活動すればいいよ」
「はい、明日からまたダンジョンですからね」
モクレンはそういうとコーヒーを飲み干す。
マネージャーがいなくなり芸能事務所も潰れたみたいだし、のびのびやればいいさ。
翌日はあいにくの雨だが、俺は変わらずレアルを連れてダンジョンに行く。
「今日はレベル20まであげようか」
「はい!」
おっと撮影もしないとな。
15階層でレアルのレベル上げを行い、レベルが20まで上がったところで休憩して、20階層のボスを倒して今日は上がりだ!
「大丈夫か?」
「はい!問題ありません」
とやる気を見せるレアル。
まぁ、オートマーターは魔力を主人からもらっているので疲れたりはしないらしいが、
「今日は終わりだから何か食って帰るか?」
「テンが怒りますよ?」
「……だな、帰るか」
こう言う時のためにスマホを持たせたいな。
明日はスマホでも買いに行くか。レアルにも持たせたいしな。
『やったニャー!スマホにゃー!』
「これをこうして……」
スマホを喜んでるテンに、使い方を学ぶレアル。
まぁ、使うことは、
『もしもし、テンにゃ』
“ゴッ”
『痛いにゃ』
「無闇に使わない、ゲームでもしてなさい」
『分かったにゃ』
とテンはいいとして、レアルは説明書を読んでるな。
まぁ……いいけど。
「読み終わりました。これでスマホは大丈夫です」
「そうか、ならよかった。何があれば連絡するように」
「はい!」
レアルはやっぱりなんか硬いんだよなぁ、もうちょっと柔らかくなってもいいんだがな。
時間がかかりそうだなぁ。
ヤトベースで錬金をする。
『インベントリ』と『鑑定』のスキルボールだ。
レアルに使ってもらい、覚えてもらう。
「これで採取もできるな」
「はい!」
「……レアルは何かやりたいことはないのか?」
「ヤト様の命じたことをやりたいです」
「……そうか」
オートマーターとはこう言うものなのか?
「まだ、赤ん坊と一緒さね。そのうち自我がでてくるから気長に待つさねぇ」
「はぁ、わかったよ」
ガーナに言われ、育児をしてるような気がしてきたな。
本を与えて読んでもらうか。
本屋に行きレアルに選んでもらう。
ファッション雑誌や政治経済、などいろんな本を買ってしまったな。
まぁダンジョンに行くまでの合間にでも読んでもらうか。
夜になると如月が来たのでヤトベースに降りていくと、
「夜分遅くすいません」
「いや、別にいいけどどうした?」
「レアルの防具と武器を売ってくれませんか?」
「レアルのはただのレザーアーマーにミスリルの剣だぞ?」
誰が欲しがるんだ?
「問い合わせが来てまして、レアルと同じ防具でダンジョンを始めたいそうです」
「……レアルの人気がそんなにあるのか」
「です!初心者のマストバイって冒険者雑誌にも書かれたみたいで」
雑誌に載ってたら欲しくなるか。
「分かったけど似せたものになるかもしれないぞ?皮がある分は作れるけどな」
「はい!それで構いません!色違いなんかも出来たら欲しいですしね」
と言うことで俺はレアルの防具を魔法鍛治で作り、ミスリルソードも作っていく。
十五着分は出来たので部屋に帰りビールを飲む。
「プハぁぁ、いやぁ、レアルの人気はすごいみたいだな」
『ニャンにゃ?知らにゃいのか?SNSじゃ女神みたいに崇拝されてるにゃ」
スマホをいじるテン。
「そうかぁ、まぁ、本人はわかってないだろうけどな」
と本を読んでいるレアルをみると、夢中で脳にインプット中である。
「また、レベル上げにもいかないとなぁ」
『ニャーもレベル上げるにゃ!』
「ん?別に無理しなくていいぞ?」
『ニャーもチヤホヤされたいにゃ』
「動機が不純だからダメだ」
『ニャー……」
と俺の横で泣き真似をするテン。
なんだかんだでレベル高いんだから大人しくしておけばいい。
俺もレアルの画像に映らないようにしてるからな。
映ったらまた言われるだろうしな。
世知辛い世の中だな。
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