159 / 170
貴族
しおりを挟むシャワーを浴びてスッキリしたところでまた王都の街を散策する。
どこを見ても絵になるような作りでこれはこれで風情があるな。
アーシャは写真を撮りまくってはしゃいでいる。
「ヤト、ここに連れて来てくれてありがとう!」
「ハハッ、いつでも連れてくるさ」
「うん!」
夕陽をバックにアーシャが笑う。
思わず笑ってシャッターを切った。
一週間は滞在して次の街に向かう。
シャーディカと言う街にたどり着いた。
ここも城下町とさほど変わらないな。
宿を見つけて入ると部屋に案内される。
まぁ、2人部屋でこの作りなら妥当な値段だろ。
テントを出してその中でくつろぐ。
「外に行かないの?」
「ん?ああ。ちょっと運転に疲れたからな」
「じゃあ、私行ってくるよ?」
「分かった、テンも連れて行ってくれるか?少し寝るよ」
夜通し運転してきたからちょっと眠いのだ。
「分かった。行こうか?テンちゃん」
『にゃー!いくにゃ!』
流石に疲れたとウトウトしていると、
『ニャー!大変にゃ!アーシャが!』
「な!お前がついてただろ!」
『ちょっと目を話した隙ににゃ』
テンも悪そうにしているので、
「行くぞ!」
『こっちにゃ!』
大通りを抜けて路地裏に入ると応戦しているアーシャがいた。
「アーシャ!」
「こっちは大丈夫、この子達を!」
「お前ら生きて帰れると思うなよ?」
盗賊まがいに、貴族のような男が1人。
「やれ。この女は俺の奴隷にぴったりだ」
とほざく貴族を初めに斬りつけ後の奴等を斬りつけていく。
「イタッ!お前!私を誰だと思っているんだ?」
「そんなのしるか!」
「私はグハッ!」
貴族は血を吐く。
「あー、毒だからな?」
「坊ちゃん!解毒剤を!」
「ングッ!」
一応は貴族、解毒剤をもっていたらしいが、
「わ、私はここの領主の!イタッ」
「ほら、早く飲みなよ」
「爺!解毒剤を!」
爺とやらは毒で倒れている。
他の男達も毒で一緒に倒れているのでもう解毒剤はないようだな。
「わ、私に解毒剤を渡せ!グフッ!」
「誰が渡すか。死ね」
結局苦しんで死んでいった。
『ニャー、全員無事かにゃ?』
「ヤト、この子達」
「ん、奴隷の首輪か」
2人の子供に奴隷の首輪がつけられている。
「じっとしていろ」
インベントリに首輪を入れる。
「これでお前らも奴隷じゃなくなったな」
「あいあとざいます」
「ありがとーございます」
とお礼を言えるいい子達だがまだ3歳くらいか?
「帰るところはあるのか?」
「ない」
「あたしたち、くちべらしでうられた」
こんな小さな子供をか……しょうがないなぁ。
アーシャも助けたそうに見ているので助けてやるか。
「それじゃあデニス達のいるブライの街にでもいってみるか?」
『ニャー!それはいいにゃ』
「子供2人くらいならなんとかしてくれるだろ」
路地裏から出ようとするとあいつらの仲間なのか、出てきて通せんぼしている?
「お、お前がいくら強くても領主様の息子に手を出したんだ!逃すわけにはいかねぇ!」
「……こっちは今機嫌が悪い、通さないと殺す」
「ひ、そ、そんなこと言っても無駄だ!もうすぐ領主様の騎士達がやってくる」
遠くから馬が走ってくる蹄の音が聞こえる。
「や、やっときた!こっちです!」
「はぁ、やるしかないか」
細い路地裏に騎士甲冑の奴らが入ってくる。
“トス”
有無を言わさずアーシャの矢が騎士の顔面に刺さり倒れる騎士。
「だ、団長!」
「手が早いぞ?アーシャ」
「どうせなら早く片付ける」
「そうだが」
とあっちは剣を抜いているのでこちらから攻撃する。
騎士甲冑の隙間に蠱毒の短剣を突き刺していく。
数分で騎士達は倒れると血を吐いて死んでしまった。
「さぁ、他にはいないか?」
「ひ、ひいぃ」
邪魔な騎士達をインベントリに入れて甲冑だけとると大通りにだす。
「よし、早いうちにこの街を出よう」
『ニャー!』
「うん」
車を出して大通りを走ると、門兵が門を閉じようとしていたのでそのまま突っ込む。
“ドンッ”
と門を破壊しながら車は進み、ある程度行ったところで車から降りて草原で飯にする。
『映画みたいだったにゃ』
「だな。門破りなんかできると思ってなかったよ」
「ほら、食べて」
「ムグムグ」
「アムアム」
子供達はよほど腹が減っていたようで思ったより食べる。
子供だが、1人の人間だ。奴隷にする方が悪い。
遠目に見える街は静かなもんだが、中は騒がしくなっているだろうな。
自業自得だ。
俺のアーシャに手を出そうとしたんだからな。
「さて、お腹は膨れたか?」
「「はい!」」
「んじゃ、ナビよろしくな!テン」
『任せるにゃ』
車は草原から、畦道に入って道沿いに走って行く。
「揺れるから気をつけろよ?」
「あい!」
テンのナビ通りに走り森を抜けて畑が見えてくる。
『もうすぐにゃ』
ブライの街に到着する前に車を降りてゆっくりと歩いて行く。
門を通り中に入るとそれなりに豊かそうな街だ。
野菜も売ってるし、人も多い。
とりあえず宿にチェックインして冒険者ギルドでデニスを探してもらう。
「さて、ここに孤児院があればいいが」
128
あなたにおすすめの小説
俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~
シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。
目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。
『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。
カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。
ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。
ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。
アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ
高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。
タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。
ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。
本編完結済み。
外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる