29 / 79
『氷剣姫』
しおりを挟むツネに連絡して今から行くと伝え、車を走らせる。
到着するとツネが出て来た。
「今日も暑いな!早く中入ろうぜ」
「だな」
と喋りながら中に入ると賑わっている。
お目当ては氷属性の剣が中央のショーケースに飾られている。
「へぇ、他のはどうしたんだ?」
「とりあえず2本はうちが確保して、残りを海外に渡したぞ。もう一本あるが、あれが売れたら取り替えるつもりだ」
予備を持っているのか、なら安心だな。
いつもの商談スペースに行くと、
「今日はなんだ?もしかして防具か?」
「当たりだ!」
と革鎧を出すと、
「おぉ、革鎧か!……ブラックオーガの革で、しかも付与がエゲツないな」
「だろ?まだあるぞ」
スーツ型防具を出す。
「すげぇ!これは映えるな!」
「これは3つある」
「お!流石だな!」
「最後はブーツだが一足だけだ」
出してやると、
「ほぉー、これもいいね!」
「だろ?革鎧とセットだな」
「だな、防具の事は社長にも言ってある。あくまでも武器屋だからとりあえずどんなものか見てみたいと言われた」
「そっか、まぁ、大量に作れないからな」
防具はデカいし数作るにも在庫が無くなるからな。
とりあえずスーツ型防具は20億、革鎧は10億、ブーツが3億になった。
「多分これの倍はすると思うから社長の値付けが終わってから残りを払うから」
「あぁ、いいぞ」
と喋っていると急に店内が騒がしくなる。
「店長!『氷剣姫』が来店なさいました」
「なに?悪い、俺が対応しないと」
そうだな、有名人の対応はツネがやらないとな。
「おう、もう終わったから帰るよ」
「悪いな!気をつけて帰れよ」
ツネは急ぎながらも優雅に歩いて向かう。
へぇ、店長になると肝が座るんだな。
「俺も帰るか」
と立ち上がり店員にお礼を言われるのを会釈で返して店内を回って見ると『氷剣姫』と目があってしまう。
そそくさと駐車場に出ると車に乗り込み、
「ふぅ、焦ったぁー」
と言ってエンジンをかけて発進する。
マンションの部屋に戻りビールを飲みながらテレビをつけると、さっき見た場面が映ったのでビールを喉に引っ掛け咽せる。
「ゴホゴホッ!」
なんてタイミングだ。
氷属性の剣を買ったらしく、それを嬉しそうにしている姿が映っている。
俺の事はツネは言わないだろうからいいとして、ギルドが言ってたらダンジョンに行きづらいな。
まぁ、星5の人間が星3に来る事はないと思うが、ちょっと注意しとこう。
翌日はダンジョンに行くため、車で派出所に向かう。
夏本番で暑い中サッサと派出所に入って更衣室で着替えると、受付に行く。
「少々お待ちください」
「は?」
この展開はまさかまたエクストラポーションか?在庫殆どないぞ?
「やぁ、待ってたよ」
「あ?俺は待ってないし、邪魔されるのが嫌いだ」
と言うとギルドマスターはでかい身体で慌て出す。
「い、いや、これはだな。『氷剣姫』がお礼を言いたいと来てるのだよ」
「は?お前は俺の名前を出したのか?守秘義務があるんじゃないのか?」
「す、すまない。でも上層部に話さないわけにもいかなくて」
「はぁ、もういい、俺はダンジョンに行く」
「ま、待ってくれ、一度だけでいいから、とにかく会ってくれないか?」
はぁ、面倒ごとの気配しかしないのだが、
「……別のギルドに移る」
「そ、そんな!勘弁してくれ!」
泣きつかれてもしるかよ!
「あら、ギルマスを泣かせてはいけないわ」
と『氷剣姫』が下りて来た。
白髪の髪が糸のように靡く。
少し冷たそうな瞳が笑う。
薄い唇から白い歯が見え、俺は待つしかなかった。
「はぁ、とりあえず上に行こう。ここじゃうるさくて敵わんからな」
「そうね、ギルマスも行きますよ?」
「はい!どうぞ」
と俺を先に行かせる。
はぁ、面倒な事にならなければいいが。
ギルマスの部屋に入ると俺より背は低いのに存在感がすごいな。
ソファーに対面で座り、ギルマスは『氷剣姫』の横にでかい身体でちょこんと座る。
「貴方がエクストラポーションを作ってくださったのですね?この度はありがとうございました」
「ん?俺は売っただけでその後誰が使おうと知らないからお礼はギルマスにでもしてくれ」
と言うと笑いながら、
「そうですか、ギルマスもありがとうございます」
「いえ、私は」
「一度お会いしましたね?『tortie』で」
「あれは会ったと言うより見かけたって言うのが正解だろ?」
「あははは、そうですね。久しぶりに対等に喋ってくれる人に会いましたわ」
と言って笑っている。コーヒーが運ばれてきて口をつける。
「貴方の事を調べさせてもらいました」
「あ?守秘義務があるだろ?」
「ウフフ、私はギルド側の人間ですので」
「はぁ、で?何が言いたい?」
「この『合成師』と言うジョブは生産職ですね?それでもソロでやっているのには訳があるんですか?」
「まぁ、素材が必要だし、面倒だろ?レベル上げなら1人でもできるしな」
「そうですか、私とパーティーを組みませんか?」
ゲッ!なんで星5のやつとパーティー組まなきゃならんのだ。しかも有名人と。
「お断りだ。星5だろ?」
「えぇ、でもリハビリがてら星3からスタートする事にしましたの」
「なぜ俺なんだ?」
「気に入ったからです。素材はもちろんそちらが取ればいいですし、嫌ならギルドで一度鑑定してもらった額の半分を払ってもらう形なら問題ないのでは?」
手強いと言うか絶対に逃さない気だな?
面倒だな。
132
あなたにおすすめの小説
ハーレムキング
チドリ正明@不労所得発売中!!
ファンタジー
っ転生特典——ハーレムキング。
効果:対女の子特攻強制発動。誰もが目を奪われる肉体美と容姿を獲得。それなりに優れた話術を獲得。※ただし、女性を堕とすには努力が必要。
日本で事故死した大学2年生の青年(彼女いない歴=年齢)は、未練を抱えすぎたあまり神様からの転生特典として【ハーレムキング】を手に入れた。
青年は今日も女の子を口説き回る。
「ふははははっ! 君は美しい! 名前を教えてくれ!」
「変な人!」
※2025/6/6 完結。
異世界ラーメン屋台~俺が作るラーメンを食べるとバフがかかるらしい~
橘まさと
ファンタジー
脱サラしてラーメンのキッチンカーをはじめたアラフォー、平和島剛士は夜の営業先に向けて移動していると霧につつまれて気づけばダンジョンの中に辿りついていた。
最下層攻略を目指していた女性だらけのAランク冒険者パーティ『夜鴉』にラーメンを奢る。
ラーメンを食べた夜鴉のメンバー達はいつも以上の力を発揮して、ダンジョンの最下層を攻略することができた。
このことが噂になり、異世界で空前絶後のラーメンブームが巻き起こるのだった。
勇者パーティのサポートをする代わりに姉の様なアラサーの粗雑な女闘士を貰いました。
石のやっさん
ファンタジー
年上の女性が好きな俺には勇者パーティの中に好みのタイプの女性は居ません
俺の名前はリヒト、ジムナ村に生まれ、15歳になった時にスキルを貰う儀式で上級剣士のジョブを貰った。
本来なら素晴らしいジョブなのだが、今年はジョブが豊作だったらしく、幼馴染はもっと凄いジョブばかりだった。
幼馴染のカイトは勇者、マリアは聖女、リタは剣聖、そしてリアは賢者だった。
そんな訳で充分に上位職の上級剣士だが、四職が出た事で影が薄れた。
彼等は色々と問題があるので、俺にサポーターとしてついて行って欲しいと頼まれたのだが…ハーレムパーティに俺は要らないし面倒くさいから断ったのだが…しつこく頼むので、条件を飲んでくれればと条件をつけた。
それは『27歳の女闘志レイラを借金の権利ごと無償で貰う事』
今度もまた年上ヒロインです。
セルフレイティングは、話しの中でそう言った描写を書いたら追加します。
カクヨムにも投稿中です
外れスキルと言われたスキルツリーは地球の知識ではチートでした
盾乃あに
ファンタジー
人との関係に疲れ果てた主人公(31歳)が死んでしまうと輪廻の輪から外れると言われ、別の世界の別の人物に乗り替わると言う。
乗り替わった相手は公爵の息子、ルシェール(18歳)。外れスキルと言うことで弟に殺されたばかりの身体に乗り移った。まぁ、死んだことにして俺は自由に生きてみようと思う。
ステータス画面がバグったのでとりあえず叩きます!!
カタナヅキ
ファンタジー
ステータ画面は防御魔法?あらゆる攻撃を画面で防ぐ異色の魔術師の物語!!
祖父の遺言で魔女が暮らす森に訪れた少年「ナオ」は一冊の魔導書を渡される。その魔導書はかつて異界から訪れたという人間が書き記した代物であり、ナオは魔導書を読み解くと視界に「ステータス画面」なる物が現れた。だが、何故か画面に表示されている文字は無茶苦茶な羅列で解読ができず、折角覚えた魔法なのに使い道に悩んだナオはある方法を思いつく。
「よし、とりあえず叩いてみよう!!」
ステータス画面を掴んでナオは悪党や魔物を相手に叩き付け、時には攻撃を防ぐ防具として利用する。世界でただ一人の「ステータス画面」の誤った使い方で彼は成り上がる。
※ステータスウィンドウで殴る、防ぐ、空を飛ぶ異色のファンタジー!!
仮想戦記:蒼穹のレブナント ~ 如何にして空襲を免れるか
サクラ近衛将監
ファンタジー
レブナントとは、フランス語で「帰る」、「戻る」、「再び来る」という意味のレヴニール(Revenir)に由来し、ここでは「死から戻って来たりし者」のこと。
昭和11年、広島市内で瀬戸物店を営む中年のオヤジが、唐突に転生者の記憶を呼び覚ます。
記憶のひとつは、百年も未来の科学者であり、無謀な者が引き起こした自動車事故により唐突に三十代の半ばで死んだ男の記憶だが、今ひとつは、その未来の男が異世界屈指の錬金術師に転生して百有余年を生きた記憶だった。
二つの記憶は、中年男の中で覚醒し、自分の住む日本が、この町が、空襲に遭って焦土に変わる未来を知っってしまった。
男はその未来を変えるべく立ち上がる。
この物語は、戦前に生きたオヤジが自ら持つ知識と能力を最大限に駆使して、焦土と化す未来を変えようとする物語である。
この物語は飽くまで仮想戦記であり、登場する人物や団体・組織によく似た人物や団体が過去にあったにしても、当該実在の人物もしくは団体とは関りが無いことをご承知おきください。
投稿は不定期ですが、一応毎週火曜日午後8時を予定しており、「アルファポリス」様、「カクヨム」様、「小説を読もう」様に同時投稿します。
女神の白刃
玉椿 沢
ファンタジー
どこかの世界の、いつかの時代。
その世界の戦争は、ある遺跡群から出現した剣により、大きく姿を変えた。
女の身体を鞘とする剣は、魔力を収束、発振する兵器。
剣は瞬く間に戦を大戦へ進歩させた。数々の大戦を経た世界は、権威を西の皇帝が、権力を東の大帝が握る世になり、終息した。
大戦より数年後、まだ治まったとはいえない世界で、未だ剣士は剣を求め、奪い合っていた。
魔物が出ようと、町も村も知った事かと剣を求める愚かな世界で、赤茶けた大地を畑や町に、煤けた顔を笑顔に変えたいという脳天気な一団が現れる。
*表紙絵は五月七日ヤマネコさん(@yamanekolynx_2)の作品です*
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる