合成師

盾乃あに

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パーティー

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 ダンジョンから戻ってきた俺らはまた2階のギルマスの部屋でソファーに対面で座っている。
「私はパーティー失格ですね」
「ん?なんでだ?」
「え、だって最後に」
 まぁ最後の突っ込むところは危なかったけど、パーティーメンバーとしては頼もしいからな。

「はぁ、危なっかしいんだよ。『鑑定』持ってたから良かったが、いきなり突っ込むのは今後なしで頼むぞ?」
「え!それでは」
「仕方ねぇだろ?」
「は、はい!」
 と言う事で『氷剣姫』ことカグヤとパーティーを組む事になった。

「パチパチパチパチ、いやぁ、良かったですね」
「あ?あんたの事、俺は許してないからな?」
「え!そ、そんなぁ」
 と項垂れるギルマスを笑っているカグヤ。
 まぁ、いずれパーティーを組むかもとは思ってたが、こんな有名人と組むとはな。
「よろしくお願いしますね、ルカ」
「おう、こちらこそ」
 スマホの番号を交換してようやく帰れると思ったら、
「ルカ、ご飯に行きましょう!」
「ん?まぁ、いいが」
「やった!打ち上げですね!」
 んじゃやっぱり居酒屋だな。
「そう言えばカグヤは幾つだ?」
「女に年齢を聞くのはマナー違反ですよ?」
「いや、酒は飲めるのか?」
「まぁ嗜む程度に」
「そっか、じゃあどこに行くかな?」
 とスマホで検索すると近くに『居酒屋ボブ』と言うとこがあるので予約する。
「とりあえず車を置いてくるから、カグヤも汗かいたんだからシャワーでも浴びてこい」
「そうですね、一旦帰ります」
「居酒屋だからドレスなんて着てくるなよ!」
「分かってます!」
 と言って別れて、俺はマンションに帰り、シャワーを浴びて着替えてギルドまでタクシーで向かうと、ギルド前にカグヤがカジュアルなファッションでジーンズを履き、帽子を被って待っていた。
「悪いな、遅れて」
「今さっき来たとこです」
「んじゃ乗ってくれ」
「はい、失礼します」
 とタクシーに乗り近くの居酒屋前で降りる。

 カードで支払い、降りるとカグヤは珍しいのかキョロキョロしている。
「居酒屋始めてか?」
「はい、こんな感じなんですね」
「まぁ入るぞ」
 と中に入り名前を言うとボックス席に通される。
「とりあえず生と?」
「私もビールで」
「じゃあ生二つに串盛り一つ」
 と頼む。
「なんか楽しそうな雰囲気ですね!」
「だろ?まぁ好きなの頼みなよ」
 とメニューを渡すと真剣に選び出す。
 直ぐに生とお通しが来て。
「「カンパーイ」」
 とグラスを合わせる。
「プハァッ!あー、美味い」
「ッハァ、美味しいですね!」
 と美味そうに飲むな。
「決まったらタッチパネルで頼めばいいからな?」
「はい!」
 とゆっくり飲みながら頼んだものが来るたびに楽しそうにしている。
 
「カグヤはパーティーを組んだことはあるんだろ?」
「……はい、まぁ」
「ん?なんかあったのか?」
「私はーー」

 話を聞くと、覚醒して探索者学校に通っていたが、氷戦姫と言うジョブが強すぎた為に、自分と組む者がいなくなってしまって孤立したそうだ。
 その時の最終試験も星2ダンジョンの10階層攻略で、まだ慣れていないカグヤは1人でレベルを上げ挑戦するしかなかったらしい。
 その時はギリギリの戦いで怪我を負ったカグヤは後遺症で左手首の神経損傷。
 卒業後も治らずに庇いながらダンジョンを攻略していき、星5になって有名になる頃、星5ダンジョンで大怪我をしてなんとか逃げ帰り命は無事だったが、両手の神経断裂で上手く箸も握れない程だったらしい。
 2年経ち、諦めかけていた時にエクストラポーションが手に入ったと父親から言われ、飲んでみると昔の古傷も癒されて両手を自由に使えることに泣いて喜んだそうだ。

「へぇ、お嬢様なのか」
「まぁ、ただの会社社長ですよ」
「お嬢様だな」
「まぁ、そんなことないですよ」
 と楽しく飲んでとりあえず今後の事を話す。

「俺は毎日ダンジョンにはいかないぞ?」
「私もテレビや雑誌の仕事もまだありますし、ダンジョンに集中はできませんね」
「ならカグヤのスケジュールに合わせるよ、おれも『tortie』に卸したり色々あるからな」
「お手数おかけします」
「まぁ、俺は比較的自由だからな」
 と言って腹も膨れ、いい気分になったのでお会計をしてタクシーを呼ぶ。
 
「んじゃ、またな」
「はい、今日はありがとうございました」
 と言って別れ、俺は歩いて帰る。途中コンビニで雑誌とつまみ、菓子パンなどを買う。
 律儀にメールでも『今日はありがとうございます』と言ってくるお嬢様に気にするなとメールを入れ、部屋まで帰ってビールを開けてソファーに座る。

 一応、スマホで検索してみると。早くも『氷剣姫!謎の男とダンジョンに!』と言う記事があり、見るとバッチリ写っているな。

「これだから嫌だったんだよな」
 俺はツネみたいにイケメンでも、マー坊みたいに美丈夫でもない普通のモブだしな。
「まぁ、愚痴ってもしょうがないか、今更だしな」

 とスマホを閉じてビールを飲みながら雑誌を読むとやはりここにも『氷剣姫』が特集されていた。
 父親は東京電子工業の取締役社長でって、俺も知ってる大きな会社の社長かよ。
 お嬢様はやはりお嬢様だな。

「はぁ、先が思いやられるな」
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