55 / 79
不安
しおりを挟む朝から星2ダンジョンの1階層を攻略して、昼には7階層まで来たので昼休憩をする。
「あ、僕、お弁当作ってきたんです」
「お、マジか?ありがとうな」
と渡してくるので開けるとウインナーや卵焼きと家庭的で普通の弁当だ。
何年振りだろうか、人の手作り弁当なんてな。
「美味いな!料理得意なのか?」
「はい、お母さんに習ってますから」
「そうか、ありがとな」
と2人で弁当を食って一休みしたら10階層まであと一息だな。
「てぇい!!」
ハンマーを軽々と振り回すシオンは、やはり鍛冶士のスキルで槌術が使えるようになってから戦力としても十分だ。
まだ15時なのに10階層に到着した俺らは休憩してから扉の中に入る。
ナツメとマー坊と来たのが懐かしいな。
普通の扉だからゴルアークだ。
「ガォォォオォォ」
とサーベルタイガーのような見た目のモンスターが目の前で吠える。
「いきます!」
「よし、フォローはする」
「はい!おりゃぁぁぁ!!」
とやはり横から振り抜くが、そう簡単にはいかない。ゴルアークはハンマーを避け、後ろに下がると突進してくる。
ハンマーはやはり大振りになるので隙ができるからな。
「おりゃぁぁぁ!」
フォローしに行こうとしたが、ハンマーの重さを利用して回転を速める。
“バゴンッ!”
とハンマーはゴルアークの頭にめり込むと回転して床に頭から落ちる。
そのまま消えて行くとドロップの牙と魔石がそこに落ちていた。
「あ、あははは!やるな!シオン」
「はい!やってやりました!」
とハイタッチでシオンと喜び、ドロップを拾う。
「宝箱だ。罠はないから開けてみろ」
「はい」
開けると中には金貨が10枚と召喚コインが入っていた。
「これは?これだけ違いますね」
「金貨とは違うぞ?召喚コインはそこに載ってるゴルアークを召喚できるコインだ。いざという時のために持っておくと良い」
「へぇ、そうなんですね。大切にします」
とマジックバッグに入れる。
「金貨は一枚10万だから、それだけで100万だな」
「え、ええー!大金じゃないですか!」
「やったな!親孝行すればいいさ」
「はい!」
と嬉しそうなシオンとモノリスを使ってギルドに戻る。
換金して100万は現金で貰うシオン。
親に渡すのだろう。
着替えて合流すると、
「たまには家でゆっくり食べな?」
「はい!分かりました。ありがとうございます」
「おう、それじゃあ送っていってやるよ」
「あ、はい!」
と車で送ってやる。
ギルドから歩いて30分はかかるだろう住宅街に家があるらしくそこで下ろす。
「ありがとうございました」
「おう、じゃあまた明日な!」
「はい!」
ともう赤く染まる空を見て、これから親に報告するんだろうと思うと俺の顔もニヤけてしまう。
帰り道にコンビニに寄ると、ミズノと出会う。
「私はパーティー組みました!絶対あなたより上に行ってみせる!」
「あはは、そっか、良かったな」
「く、くそ!バカにして!」
と走って行ってしまう。
馬鹿にした気はないが、アイツの持ってる袋には大量の飲み物が入っていたみたいだし……大丈夫か?
「何事もなければいいけどな」
少し不安になるが、いい大人だ。
俺が気にすることではない……よな。
俺はコンビニで買い物してから新宿までいくと『Monica』で革鎧とブーツを買っておく。
流石にあのくたびれた革鎧と市販のブーツじゃこれからが大変だからな。
マンションに帰るとカグヤから電話だ。
「よぉ、昨日はなんか怒ってたな?」
『はぁ、まず話すのがそれ?』
「あはは、昨日シオンと定食屋で見てしまったからな」
とビールを開けてソファーに座る。
『最近、特に酷いのよ。まぁ気にしてたら疲れるだけだしね』
「まぁな、で?どうした?」
『シオンはどう?ちゃんとやれてる?』
やはり気になるようだな。
「あぁ、今日は星2ダンジョンのーー」
と30分ほど喋り、問題ないことを伝えて電話を切る。
「ふぅ、カグヤも心配しすぎだな」
まぁ、生産職だからってのもあるだろうけど、鍛冶士は槌術を使えるようになれば自分でレベルアップできるみたいだし……って、そこまで1人では行けないのか。
なんとも言えない気持ちになるな。
とは言え、生産職全般がそうとは限らないわけだが、どれだけの職があるんだ?
ネットで検索してみると、数え切れないな。
鍛冶士も枝分かれしているようだし、それ以外も多種多様だな。
シオンは鍛冶士と言う職で良かったな。
「鍛冶は鍛冶でまとめてくれよな」
神様も細分化しなくてもいいのにな。
スマホは置いて合成部屋に行くと、今日買ったものを『合成』していく。
俺の手の届く範囲で、もし頑張ってる奴がいたら手を貸してやってもいいな。
たかが知れてるが、そんな風に思ってもいいだろ。
もう暗くなった空を見ながらふと思う。
ミズノに今度あったら話をしてみよう。
アイツもアイツなりに頑張っているみたいだけど、危なっかしいからな。
「ふぅ、何事もなければいいが」
コンビニで見た後ろ姿が不安にさせる。
ベッドに横になる。
寝付きが悪いが潜り込んで目を閉じる。
結局、朝までうつらうつらしてベッドからリビングに行き、ブラックコーヒーで目を覚ます。
テレビをつけるとニュースで探索者学校の生徒が重症で犯人は捕まっていないと報道していた。
すぐに次の話題になり、冬のイルミネーションの特集に変わると、ぼんやり見ていた俺はそんな報道のことは忘れてクリスマスかぁ、と思考がそちらに移ってしまう。
さて、目が覚めてきたとこで、コーヒーを飲み干してシャワーを浴びるために立ち上がる。
その日からミズノを見ることはなかった。
84
あなたにおすすめの小説
ハーレムキング
チドリ正明@不労所得発売中!!
ファンタジー
っ転生特典——ハーレムキング。
効果:対女の子特攻強制発動。誰もが目を奪われる肉体美と容姿を獲得。それなりに優れた話術を獲得。※ただし、女性を堕とすには努力が必要。
日本で事故死した大学2年生の青年(彼女いない歴=年齢)は、未練を抱えすぎたあまり神様からの転生特典として【ハーレムキング】を手に入れた。
青年は今日も女の子を口説き回る。
「ふははははっ! 君は美しい! 名前を教えてくれ!」
「変な人!」
※2025/6/6 完結。
異世界ラーメン屋台~俺が作るラーメンを食べるとバフがかかるらしい~
橘まさと
ファンタジー
脱サラしてラーメンのキッチンカーをはじめたアラフォー、平和島剛士は夜の営業先に向けて移動していると霧につつまれて気づけばダンジョンの中に辿りついていた。
最下層攻略を目指していた女性だらけのAランク冒険者パーティ『夜鴉』にラーメンを奢る。
ラーメンを食べた夜鴉のメンバー達はいつも以上の力を発揮して、ダンジョンの最下層を攻略することができた。
このことが噂になり、異世界で空前絶後のラーメンブームが巻き起こるのだった。
勇者パーティのサポートをする代わりに姉の様なアラサーの粗雑な女闘士を貰いました。
石のやっさん
ファンタジー
年上の女性が好きな俺には勇者パーティの中に好みのタイプの女性は居ません
俺の名前はリヒト、ジムナ村に生まれ、15歳になった時にスキルを貰う儀式で上級剣士のジョブを貰った。
本来なら素晴らしいジョブなのだが、今年はジョブが豊作だったらしく、幼馴染はもっと凄いジョブばかりだった。
幼馴染のカイトは勇者、マリアは聖女、リタは剣聖、そしてリアは賢者だった。
そんな訳で充分に上位職の上級剣士だが、四職が出た事で影が薄れた。
彼等は色々と問題があるので、俺にサポーターとしてついて行って欲しいと頼まれたのだが…ハーレムパーティに俺は要らないし面倒くさいから断ったのだが…しつこく頼むので、条件を飲んでくれればと条件をつけた。
それは『27歳の女闘志レイラを借金の権利ごと無償で貰う事』
今度もまた年上ヒロインです。
セルフレイティングは、話しの中でそう言った描写を書いたら追加します。
カクヨムにも投稿中です
外れスキルと言われたスキルツリーは地球の知識ではチートでした
盾乃あに
ファンタジー
人との関係に疲れ果てた主人公(31歳)が死んでしまうと輪廻の輪から外れると言われ、別の世界の別の人物に乗り替わると言う。
乗り替わった相手は公爵の息子、ルシェール(18歳)。外れスキルと言うことで弟に殺されたばかりの身体に乗り移った。まぁ、死んだことにして俺は自由に生きてみようと思う。
ステータス画面がバグったのでとりあえず叩きます!!
カタナヅキ
ファンタジー
ステータ画面は防御魔法?あらゆる攻撃を画面で防ぐ異色の魔術師の物語!!
祖父の遺言で魔女が暮らす森に訪れた少年「ナオ」は一冊の魔導書を渡される。その魔導書はかつて異界から訪れたという人間が書き記した代物であり、ナオは魔導書を読み解くと視界に「ステータス画面」なる物が現れた。だが、何故か画面に表示されている文字は無茶苦茶な羅列で解読ができず、折角覚えた魔法なのに使い道に悩んだナオはある方法を思いつく。
「よし、とりあえず叩いてみよう!!」
ステータス画面を掴んでナオは悪党や魔物を相手に叩き付け、時には攻撃を防ぐ防具として利用する。世界でただ一人の「ステータス画面」の誤った使い方で彼は成り上がる。
※ステータスウィンドウで殴る、防ぐ、空を飛ぶ異色のファンタジー!!
仮想戦記:蒼穹のレブナント ~ 如何にして空襲を免れるか
サクラ近衛将監
ファンタジー
レブナントとは、フランス語で「帰る」、「戻る」、「再び来る」という意味のレヴニール(Revenir)に由来し、ここでは「死から戻って来たりし者」のこと。
昭和11年、広島市内で瀬戸物店を営む中年のオヤジが、唐突に転生者の記憶を呼び覚ます。
記憶のひとつは、百年も未来の科学者であり、無謀な者が引き起こした自動車事故により唐突に三十代の半ばで死んだ男の記憶だが、今ひとつは、その未来の男が異世界屈指の錬金術師に転生して百有余年を生きた記憶だった。
二つの記憶は、中年男の中で覚醒し、自分の住む日本が、この町が、空襲に遭って焦土に変わる未来を知っってしまった。
男はその未来を変えるべく立ち上がる。
この物語は、戦前に生きたオヤジが自ら持つ知識と能力を最大限に駆使して、焦土と化す未来を変えようとする物語である。
この物語は飽くまで仮想戦記であり、登場する人物や団体・組織によく似た人物や団体が過去にあったにしても、当該実在の人物もしくは団体とは関りが無いことをご承知おきください。
投稿は不定期ですが、一応毎週火曜日午後8時を予定しており、「アルファポリス」様、「カクヨム」様、「小説を読もう」様に同時投稿します。
女神の白刃
玉椿 沢
ファンタジー
どこかの世界の、いつかの時代。
その世界の戦争は、ある遺跡群から出現した剣により、大きく姿を変えた。
女の身体を鞘とする剣は、魔力を収束、発振する兵器。
剣は瞬く間に戦を大戦へ進歩させた。数々の大戦を経た世界は、権威を西の皇帝が、権力を東の大帝が握る世になり、終息した。
大戦より数年後、まだ治まったとはいえない世界で、未だ剣士は剣を求め、奪い合っていた。
魔物が出ようと、町も村も知った事かと剣を求める愚かな世界で、赤茶けた大地を畑や町に、煤けた顔を笑顔に変えたいという脳天気な一団が現れる。
*表紙絵は五月七日ヤマネコさん(@yamanekolynx_2)の作品です*
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる