22 / 49
第3章 両親への挨拶
3-8 感謝の言葉
しおりを挟む
「正直に答えてください」
「環境を変えて欲しいかなとは考えていたけど、なかったことにはしないわよ! だって、私が弟子である利点があるんでしょう? それを変えたらあなたが困っちゃうじゃない」
「じゃあ、何を考えていたんですか?」
「前世の私を期待して、あんな風にどこかの貴族のお嬢様みたいに丁重に扱っているのかと思ったから申し訳なかったのよね。だから、私が使用人や召使いみたいにお手伝いしながらマルクの屋敷でお世話になるなら、お互いに気兼ねなく付き合えるんじゃないのかなって考えていたの」
私の前世のとき、マルクが私の身の回りのことを全部していたからね。
今度は私がお世話する番かなって思ったの。
「はぁ」
マルクは呆れたような目を私に向けてきた。
「べ、別に悪くない案でしょ?」
「いえ、あなたがそんな下働きや家のことができるくらい器用でしたら、家事は全滅と他人にまで言われなかったんじゃないですか?」
「あう」
そう言われれば、そうだった。
どうせ魔導以外は役立たずだよ。
一瞬でしょげた私の顔を見て、マルクは心底可笑しそうに噴き出した。
「私はあなたが家に来るのを楽しみにしていたんですよ」
「ありがとう。でも、あの服は多すぎだと思う。私にお金をあんなにかける必要ないわ。もったいないわよ」
そう指摘すると、彼はまた残念そうな目を向けてきた。
「そんなことないですよ。あなたの衣服は前世でも私が管理していましたが、あのくらい持っていましたよ。それに、あなたの莫大な遺産、覚えてないんですか?」
「え?」
「相続人としてあなたが私の名前を書いていたんですよ。あなたが死んだあと、何も知らなかったから大変驚いたんですよ」
「えっそうだったの? ごめんね。書いた覚えがなかったけど、書いてあったとしたら、多分マルクしか頼める人がいなかったからだと思う」
前世の私は、開発した魔導の権利や報酬などで有り余るほど金を持っていた。
でも管理が面倒くさくって、マルクに丸投げをしていた。
でも、それで何も困ってなかったから、何かお金関係で書類を提出するように言われたとき、何も考えずにマルクの名前を書いてしまった気がする。
「じゃあ、私の名前以外にも、一言書いたのも覚えていないんですね?」
「うん……」
一体、何を書いたんだろう。全然覚えていない。
不安そうな顔をした私にマルクは優しく微笑む。
「いつもありがとう、と書かれていたんですよ。最期に優しい言葉を残すなんて、狡い人だと笑ってしまいましたよ」
彼は目を伏せて、深く息を吐く。
口調は冗談めいていたけど、その切なそうな仕草から、彼の辛い悲しみの片鱗に触れた気がした。
それが自分のせいだったと思うと、申し訳なさでいっぱいになる。
「だから、お金は元はあなたのものですから、気にしないでください」
「……うん。金銭面でマルクの負担になってなかったのなら、良かったわ」
「負担どころか、あなたに会えて、日々が喜びに満ちているんですよ。それを忘れないでくださいね」
彼はそう言って、ずっと握っていた私の左手を両手で包み込む。
「う、うん」
改めてそんな風にはっきり言われると、なんだか照れ臭かった。
多分、遺書に感謝の気持ちを書いたとき、そんなに深い意味はなかったと思う。
最初は嫌々ながら引き受けた弟子だった。
でも、一緒にいるうちに彼がいるのが当たり前になって、そういう日常もまんざらでもなくて。
元々、基本的に他人を信用していなかったから、期待することもなかった。
使用人もあまり雇い入れなかったのも、いちいち雇い主である私に確認されて作業を中断されるのが嫌だったから。
他人がいる生活を過ごせるとは私自身が思っていなかった。
ところが、マルクが弟子として来てからは、私が過ごしやすいように彼自身が考えて判断してくれていた。
そのおかげで汚部屋だった自室は、いつの間にか整理された使いやすい部屋になっていて、快適に生活を送れるようになっていた。
いつもありがとう。
その言葉は、そんな彼の献身に気づいたから出た言葉だった。
でも、当時は今よりももっと捻くれていて、滅多に感謝や好意の言葉を口にしていなかったから、彼に必要以上に重く受け止められてしまったのかもしれない。
たった一言の感謝の言葉で、ここまで哀しい思い出になるくらいなら、普段からもっと言っていれば良かった。
だから、気持ちはきちんと言葉にして伝わるべきだと、改めて強く感じた。
私からも彼への好意をちゃんと口にしないと。
「私もマルクのこと、大事に想っているよ」
「ほ、本当ですか?」
彼の表情が、みるみる歓喜で花開く。キラキラと光を放つみたいに目が輝いている。
「そうだよ。血は繋がっていないけど、家族みたいに大切だよ」
再会してから彼の成長や成功を嬉しく感じていた。
まるで息子か弟が、立派に育った感じだった。
出会った頃の彼は、全然子どもらしくない性格で、まだ子どもなのに私の面倒をよくみるオカンのような存在だった。
その年齢に不釣り合いな内面に、今思えばとても違和感があった。
でも、そんな彼が私を独り占めしたいなんて、今頃になって豊かな情緒が芽生えていたのも嬉しかった。
きっと彼も私と同じように家族のような親しみを持っているから、今まで抱きついたり、手を握ったりしているのだろう。
私はまだ恥ずかしくてドキドキして落ち着かないけど、こういうことなら早く慣れないとね。
「可愛いね」
彼の頭を先ほどみたいに撫でると、素早く手を払われた。
今までの友好的な態度とは打って変わって邪険な感じで。
「止めてください」
私の最後の一言は、何か彼の気に障ってしまったようだ。
瞬時に彼の目から光りが消え、嬉しそうな顔が途端に真顔に様変わりしてしまった。
和やかな雰囲気が一気になくなってしまった。
握られていた手がさらにぎゅっと強く握られる。
まるで逃がさないと捕獲するように。
彼がまとう気配まで、冷気を帯びている気がする。
あっ、ヤバイ。
本能的に危機を感じて、慌てて空いている右手でかばんを掴み、「ごめんね。じゃあ、先に帰っているわね」とそそくさと逃げるように転移した。
マルクの屋敷にある自分の部屋に一瞬で着いていた。
ついうっかり口にしてしまったけど、男の人に「可愛い」はまずかったようだ。
胸の奥に初めて感じた複雑な気持ちを上手く表現したつもりだったのに。
後でまた会ったときに謝っておこう。少しは機嫌が治っているといいけど。
改めて自分がいる場所を見渡す。
今日からここが私の部屋なのね。
窓のカーテンは全て開けられ、綺麗な状態で維持されている。
マルクが用意してくれた好意に溢れた空間。
そう思うだけで、なんだか胸の奥がくすぐったかった。
この静かな部屋のように穏やかな日々が続きますように。
そう願わずにいられなかった。
でも――。
「大魔導士ウィスターナ・オボゲデス、俺を覚えているか?」
この日から一ヶ月後の放課後、学校の図書館にいた私の前に男が現れて平穏な時間の終わりを告げられるなんて、このときの私は予想もしていなかった。
「環境を変えて欲しいかなとは考えていたけど、なかったことにはしないわよ! だって、私が弟子である利点があるんでしょう? それを変えたらあなたが困っちゃうじゃない」
「じゃあ、何を考えていたんですか?」
「前世の私を期待して、あんな風にどこかの貴族のお嬢様みたいに丁重に扱っているのかと思ったから申し訳なかったのよね。だから、私が使用人や召使いみたいにお手伝いしながらマルクの屋敷でお世話になるなら、お互いに気兼ねなく付き合えるんじゃないのかなって考えていたの」
私の前世のとき、マルクが私の身の回りのことを全部していたからね。
今度は私がお世話する番かなって思ったの。
「はぁ」
マルクは呆れたような目を私に向けてきた。
「べ、別に悪くない案でしょ?」
「いえ、あなたがそんな下働きや家のことができるくらい器用でしたら、家事は全滅と他人にまで言われなかったんじゃないですか?」
「あう」
そう言われれば、そうだった。
どうせ魔導以外は役立たずだよ。
一瞬でしょげた私の顔を見て、マルクは心底可笑しそうに噴き出した。
「私はあなたが家に来るのを楽しみにしていたんですよ」
「ありがとう。でも、あの服は多すぎだと思う。私にお金をあんなにかける必要ないわ。もったいないわよ」
そう指摘すると、彼はまた残念そうな目を向けてきた。
「そんなことないですよ。あなたの衣服は前世でも私が管理していましたが、あのくらい持っていましたよ。それに、あなたの莫大な遺産、覚えてないんですか?」
「え?」
「相続人としてあなたが私の名前を書いていたんですよ。あなたが死んだあと、何も知らなかったから大変驚いたんですよ」
「えっそうだったの? ごめんね。書いた覚えがなかったけど、書いてあったとしたら、多分マルクしか頼める人がいなかったからだと思う」
前世の私は、開発した魔導の権利や報酬などで有り余るほど金を持っていた。
でも管理が面倒くさくって、マルクに丸投げをしていた。
でも、それで何も困ってなかったから、何かお金関係で書類を提出するように言われたとき、何も考えずにマルクの名前を書いてしまった気がする。
「じゃあ、私の名前以外にも、一言書いたのも覚えていないんですね?」
「うん……」
一体、何を書いたんだろう。全然覚えていない。
不安そうな顔をした私にマルクは優しく微笑む。
「いつもありがとう、と書かれていたんですよ。最期に優しい言葉を残すなんて、狡い人だと笑ってしまいましたよ」
彼は目を伏せて、深く息を吐く。
口調は冗談めいていたけど、その切なそうな仕草から、彼の辛い悲しみの片鱗に触れた気がした。
それが自分のせいだったと思うと、申し訳なさでいっぱいになる。
「だから、お金は元はあなたのものですから、気にしないでください」
「……うん。金銭面でマルクの負担になってなかったのなら、良かったわ」
「負担どころか、あなたに会えて、日々が喜びに満ちているんですよ。それを忘れないでくださいね」
彼はそう言って、ずっと握っていた私の左手を両手で包み込む。
「う、うん」
改めてそんな風にはっきり言われると、なんだか照れ臭かった。
多分、遺書に感謝の気持ちを書いたとき、そんなに深い意味はなかったと思う。
最初は嫌々ながら引き受けた弟子だった。
でも、一緒にいるうちに彼がいるのが当たり前になって、そういう日常もまんざらでもなくて。
元々、基本的に他人を信用していなかったから、期待することもなかった。
使用人もあまり雇い入れなかったのも、いちいち雇い主である私に確認されて作業を中断されるのが嫌だったから。
他人がいる生活を過ごせるとは私自身が思っていなかった。
ところが、マルクが弟子として来てからは、私が過ごしやすいように彼自身が考えて判断してくれていた。
そのおかげで汚部屋だった自室は、いつの間にか整理された使いやすい部屋になっていて、快適に生活を送れるようになっていた。
いつもありがとう。
その言葉は、そんな彼の献身に気づいたから出た言葉だった。
でも、当時は今よりももっと捻くれていて、滅多に感謝や好意の言葉を口にしていなかったから、彼に必要以上に重く受け止められてしまったのかもしれない。
たった一言の感謝の言葉で、ここまで哀しい思い出になるくらいなら、普段からもっと言っていれば良かった。
だから、気持ちはきちんと言葉にして伝わるべきだと、改めて強く感じた。
私からも彼への好意をちゃんと口にしないと。
「私もマルクのこと、大事に想っているよ」
「ほ、本当ですか?」
彼の表情が、みるみる歓喜で花開く。キラキラと光を放つみたいに目が輝いている。
「そうだよ。血は繋がっていないけど、家族みたいに大切だよ」
再会してから彼の成長や成功を嬉しく感じていた。
まるで息子か弟が、立派に育った感じだった。
出会った頃の彼は、全然子どもらしくない性格で、まだ子どもなのに私の面倒をよくみるオカンのような存在だった。
その年齢に不釣り合いな内面に、今思えばとても違和感があった。
でも、そんな彼が私を独り占めしたいなんて、今頃になって豊かな情緒が芽生えていたのも嬉しかった。
きっと彼も私と同じように家族のような親しみを持っているから、今まで抱きついたり、手を握ったりしているのだろう。
私はまだ恥ずかしくてドキドキして落ち着かないけど、こういうことなら早く慣れないとね。
「可愛いね」
彼の頭を先ほどみたいに撫でると、素早く手を払われた。
今までの友好的な態度とは打って変わって邪険な感じで。
「止めてください」
私の最後の一言は、何か彼の気に障ってしまったようだ。
瞬時に彼の目から光りが消え、嬉しそうな顔が途端に真顔に様変わりしてしまった。
和やかな雰囲気が一気になくなってしまった。
握られていた手がさらにぎゅっと強く握られる。
まるで逃がさないと捕獲するように。
彼がまとう気配まで、冷気を帯びている気がする。
あっ、ヤバイ。
本能的に危機を感じて、慌てて空いている右手でかばんを掴み、「ごめんね。じゃあ、先に帰っているわね」とそそくさと逃げるように転移した。
マルクの屋敷にある自分の部屋に一瞬で着いていた。
ついうっかり口にしてしまったけど、男の人に「可愛い」はまずかったようだ。
胸の奥に初めて感じた複雑な気持ちを上手く表現したつもりだったのに。
後でまた会ったときに謝っておこう。少しは機嫌が治っているといいけど。
改めて自分がいる場所を見渡す。
今日からここが私の部屋なのね。
窓のカーテンは全て開けられ、綺麗な状態で維持されている。
マルクが用意してくれた好意に溢れた空間。
そう思うだけで、なんだか胸の奥がくすぐったかった。
この静かな部屋のように穏やかな日々が続きますように。
そう願わずにいられなかった。
でも――。
「大魔導士ウィスターナ・オボゲデス、俺を覚えているか?」
この日から一ヶ月後の放課後、学校の図書館にいた私の前に男が現れて平穏な時間の終わりを告げられるなんて、このときの私は予想もしていなかった。
5
あなたにおすすめの小説
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
「転生したら推しの悪役宰相と婚約してました!?」〜推しが今日も溺愛してきます〜 (旧題:転生したら報われない悪役夫を溺愛することになった件)
透子(とおるこ)
恋愛
読んでいた小説の中で一番好きだった“悪役宰相グラヴィス”。
有能で冷たく見えるけど、本当は一途で優しい――そんな彼が、報われずに処刑された。
「今度こそ、彼を幸せにしてあげたい」
そう願った瞬間、気づけば私は物語の姫ジェニエットに転生していて――
しかも、彼との“政略結婚”が目前!?
婚約から始まる、再構築系・年の差溺愛ラブ。
“報われない推し”が、今度こそ幸せになるお話。
『異世界転生してカフェを開いたら、庭が王宮より人気になってしまいました』
ヤオサカ
恋愛
申し訳ありません、物語の内容を確認しているため、一部非公開にしています
この物語は完結しました。
前世では小さな庭付きカフェを営んでいた主人公。事故により命を落とし、気がつけば異世界の貧しい村に転生していた。
「何もないなら、自分で作ればいいじゃない」
そう言って始めたのは、イングリッシュガーデン風の庭とカフェづくり。花々に囲まれた癒しの空間は次第に評判を呼び、貴族や騎士まで足を運ぶように。
そんな中、無愛想な青年が何度も訪れるようになり――?
聖女解任ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はマリア、職業は大聖女。ダグラス王国の聖女のトップだ。そんな私にある日災難(婚約者)が災難(難癖を付け)を呼び、聖女を解任された。やった〜っ!悩み事が全て無くなったから、2度と聖女の職には戻らないわよっ!?
元聖女がやっと手に入れた自由を満喫するお話しです。
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?
はくら(仮名)
恋愛
ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。
※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。
婚約破棄歴八年、すっかり飲んだくれになった私をシスコン義弟が宰相に成り上がって迎えにきた
鳥羽ミワ
恋愛
ロゼ=ローラン、二十四歳。十六歳の頃に最初の婚約が破棄されて以来、数えるのも馬鹿馬鹿しいくらいの婚約破棄を経験している。
幸い両親であるローラン伯爵夫妻はありあまる愛情でロゼを受け入れてくれているし、お酒はおいしいけれど、このままではかわいい義弟のエドガーの婚姻に支障が出てしまうかもしれない。彼はもう二十を過ぎているのに、いまだ縁談のひとつも来ていないのだ。
焦ったロゼはどこでもいいから嫁ごうとするものの、行く先々にエドガーが現れる。
このままでは義弟が姉離れできないと強い危機感を覚えるロゼに、男として迫るエドガー。気づかないロゼ。構わず迫るエドガー。
エドガーはありとあらゆるギリギリ世間の許容範囲(の外)の方法で外堀を埋めていく。
「パーティーのパートナーは俺だけだよ。俺以外の男の手を取るなんて許さない」
「お茶会に行くんだったら、ロゼはこのドレスを着てね。古いのは全部処分しておいたから」
「アクセサリー選びは任せて。俺の瞳の色だけで綺麗に飾ってあげるし、もちろん俺のネクタイもロゼの瞳の色だよ」
ちょっと抜けてる真面目酒カス令嬢が、シスコン義弟に溺愛される話。
※この話はカクヨム様、アルファポリス様、エブリスタ様にも掲載されています。
※レーティングをつけるほどではないと判断しましたが、作中性的ないやがらせ、暴行の描写、ないしはそれらを想起させる描写があります。
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる