回避とサイコとツトム外伝~ゾムビー~

時田総司(いぶさん)

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第十六話 パトロール

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男がつぶやく。



「抜刀……一閃……!」



男は刀を左腰から抜く構えをし、右手で横一文字に切り抜く動作をする。

「ゾ?」

「ピシッ……ズズズ」

真っ二つに切られ、やや斜めにずれ落ちていくゾムビーの上半身。

「ドシャアアア」

ゾムビーの体は完全に崩れ落ちた。

「!」

一部始終を見た爆破は驚愕する。男の右手には光り輝く刀の様なモノがあった。

「ふう……終わり!」

その男の風貌はこうだ。

白の特攻服。背中には喧嘩上等と書いてあり、腰には赤い帯を巻いている。髪型はトサカの様に立てており、頭には白い鉢巻を付けていた。名は抜刀セツナ。爆破、主人公同様、超能力を使える様だ。その超能力は光り輝く刀を手に出せる、というモノだ。

ゾムビーにもその攻撃は有効で、爆破は狩人の大切な新戦力として期待を抱き、隊へ勧誘した。

――狩人ラボ、会議室。

主人公、逃隠、身体が来ている。3人の前に、爆破と抜刀が並んで立っていた。

「紹介しよう。我が隊、狩人の新しいメンバーだ」

爆破は抜刀を紹介する。それに対し――、

「へっ! 刀なんて出す超能力が使えたところデ、身体副隊長にはこれっぽっちも敵いませんヨ!」

抜刀を批判する逃隠。

「何だぁ、このチビは? こんなガキがいて、ゾムビーと戦っているっていう狩人は大丈夫なのか?」

「んだト! この野郎ゥ‼」

「ああん? やんのか?」

睨み合う抜刀と逃隠。

「まぁまぁ、二人とも。抑えて抑えて」

主人公が仲裁に入る。

「はン! こんな奴、戦地では野垂れ死ぬのがオチだゼ」

逃隠はそう言ってそっぽを向く。

「ハッ。お前が戦いでゾムビー化したら、真っ先に叩き切ってやらあ」

抜刀もまたそう言ってそっぽを向いた。

「ハハハ。威勢がいいのは結構だが、ウチの主力メンバーはこの5人になるんだぞ。仲良くやって行こうじゃないか」

爆破は言う。しかし、そっぽを向いたままの二人。この二人は、生涯犬猿の仲になりそうだ。





――、

「キーンコーンカーンコーン」

放課後の始まりを告げる、学校のチャイム。平々凡々中学校、主人公の教室にて――。

「あー、定期試験が近付いてきたよー」

「中学生にとっテ、避けられない課題だナ」

主人公と逃隠が会話を交わす。

「よし、ツトム。いきなりだガ、今日は途中まで一緒に帰ろうゼ」

逃隠が提案する。

「いいよ。でもどうして急に?」

「まァ、ちょっとナ」

「ふーん。ま、いっか」

主人公の問いに、曖昧に答える逃隠。二人は一緒に学校を出る。歩きながら主人公、逃隠の二人は話す。

「狩人に入隊したけど、任務としては、ゾムビーが出没した時の対処、現地調査、会議の参加や会議の結果を聞く事、等々で、ラボに常駐せずに済んで助かったよ。学校生活も大体普通に送れてるし……」

「俺は勉強の無い世界で一生暮らしたいかラ、ラボに常駐でも良いがナ」

「ハハ……」

苦笑いの主人公。ふと、十字路で立ち止まる。

「ここから先は、サケル君ちと逆方向になるし、距離も遠くなるから、ここら辺でもう帰りなよ」主人公が提案する。それに対して逃隠は言う。

「いヤ……」

「?」

キョトンとする主人公。

「今まで言わなかったんだガ、今日一緒に帰ろうと言ったのは理由があル。その理由ハ、今から単独、二人でゾムビーパトロールを行う為だァアア!!」

(え? ……それって単独って言うんだっけ?)

逃隠の言葉に疑問を抱く主人公。すぐハッとなり、言う主人公。

「サ、サケル君! 勝手に二人で行動して、もしもの事があったらどうするの?」

「なぁニ、心配ないサ、ツトム。何かあれバ、たった今ゾムビーを発見しましたって連絡すればいいだけの事ダ」

「ホントに大丈夫かなぁ?」

片や自信満々の逃隠に、不安で一杯の主人公。

「よシ! 決まりだナ! パトロール、出発進行ゥ!!」

(……僕はまだ賛成してないのに)

逃隠の独断で、ゾムビーパトロールなるものが始まった。



排水口、

住宅地の溝、

河川敷と、

水の流れる場所を二人で探索して行く。

「ゾムビーは湿った場所を好むんダ! 次、行くゾ! ツトム!!」

意気揚々と指揮を執る逃隠。

「ハイハイ……」

一方で主人公は乗り気で無い。更に探索は続く。

二人はとある河川敷まで足を進めた。

「見ロ! ツトム! あの高架下、怪しくないカ!? 明らかにじめじめしてそうでゾムビーが好みそうダ!」

相変わらずノリノリの逃隠。

「もう1時間半も何も無かったじゃん。今回だって何もないよ、きっと。母さんにちょっと連絡しないと」

そう言って携帯を取り出す主人公。

「今日の帰りは、少し遅くなります、っと」

メールを打ち込む。

「おイ……ツトム……」

逃隠が戦慄の表情を浮かべながら言う。

「はいはい、どうしたの? サケル君……よし、送信完了っと」

顔も合わせずに主人公はメールの送信を確認していた。

「居タ……」

逃隠は言う。

「居たって何が?」

主人公が問う。

「あ……アレ」

逃隠が指をさす。指差した方向を主人公が見る。そこは道路の高架下で、日陰となっており、ゾムビーが3体、存在していた。

「ホントにいた!!」

「イ……行くゾ、ツトム!」

逃隠が言う。

「へ? 行くって?」

主人公は問う。

「ゾムビーを倒しに行くんだヨ! 行くゾォ!! オラアアアアアアアア!!」

叫びながら突進する逃隠。

「ちょ、連絡は!? 無茶だ、サケル君!!」

逃隠を心配し、叫ぶ主人公。

「ダッ!!」

突進する逃隠は物凄いスピードで走って行く。一歩一歩、力強く地面を蹴って行った為、逃隠が走った後には穴の様な足跡がついていた。その様子を見ていた主人公は思う。

(!! 凄い。スーツの力を使っているんだろうけど、あの日から、サケル君は確実にパワーアップしている。修行の成果と、自分の中での確かな自信が、サケル君にしっかりと身に付いている!)



「ウォオオオオオオオ!!」



両手で、スーツの無い顔の部分をガードしながら、そのまま逃隠はゾムビーに向かって行った。

「ゾ……?」

主人公達から向かって一番左のゾムビーが、逃隠に気付くもむなしく、



「バシャアア‼」



逃隠の体はゾムビーの胴体を貫いた。

「ゾォ……(いたい……いやだ)」

崩れ落ちるゾムビー。

(やった! イケる……二人で、二人だけで……ここに居るゾムビー全てを、倒せる!)

主人公は勝ちを確信する。遠くでくるっと振り返った逃隠は言う。

「何やってんダ、ツトム! お前も戦エ!!」

「あ、うん」

主人公は答えて、ゾムビーの方向へ走り出す。リジェクトの射程圏内に入った。

「ハッ」

両手が光る。

「バシャアア!!」

向かって一番右のゾムビーを木端微塵にした。ゾムビーは、始め真ん中に居た1体のみとなった。

「やったナ! ツトム! 最後の1体は俺がもらったゼ!!」

「ダッ」

そう言った逃隠は今度は向こう側からこちらへ、最後のゾムビー目掛けて走り出した。主人公も安心して逃隠の最後であろう戦いを眺めていた。逃隠がゾムビーの体を貫こうとした、寸前――、

「ガッ」

逃隠はゾムビーの体に弾き返された。

「ぐァア」

「ガッ……ゴッ……ズサァ」

地面を転々と跳ね、崩れ落ちる逃隠。

「!? 何だ、あのゾムビー……。とてつもなく……硬い……!!」
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