【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ

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6歳

◆執事2人の会話

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「心配ですか?」

馬車の中まで書類を持ち込んでいるサディスに問いかける。もう終わっている筈が、やることがないからと持ち込んだリストだ。

「いえ…」

この弟子であり、養子を好ましく思っているが。なんといっても人との交流が少ない。
要領が良いから余計に心配だった。

ヴェーネン家という家との契約。その書類上のものとは違う、独特の契約は今の状況ではあやふやで。
不安なのでしょう。

「あの子供が、ヴェーネン家に居るのなら…なんとかなります。」

サディスの求めた当主に尽くす契約が、その当主は不在。執事としてそれでも家を守るのが役目でありますが、何年も会っていなければ揺らぐのも無理ありません。彼はそう言うモノだからこそ、尚更。

しかし、執事であるならそれさえも乗り越えて欲しいものです。彼の種族上、主人を求めるのは本能に近いそうですが、魔法契約と似た血筋を対象にする忠誠をねじ曲げてしまっている状態なのでしょうか。

契約は当主様でありながら、子であるセリ様に従う。その違いが、もどかしさの原因だそうですが。
「その事情を知らないセリ様が、一番戸惑っておいでです。」


サディスは仕事ができる。しかし、配慮や言葉が足りない。それを伸ばすのが私の役目でしょうが、難航しております。執事の仕事や書類の作成の覚えは良いものの声をかけ、心情を慮るのは難しい。これは経験を積むことでしか学べないでしょうから。

今のヴェーネン家は冒険者が多く、入れ替わりもある関係性はサディスにも良い方向にいっていると思うのです。
己の主人に尽くし、自身の意義を見つけ出すこと。

当主不在が続き、後継者の任命もなしであると『仕える家系がいない』状態と考えられます。そうなれば、他の主人を求めるのでしょうが、途切れかけているのか不安定さを感じます。

それは、サディスの考え方次第でしょう。

私はヴェーネン家に先先代の頃から使える者。最期の時が来ようと尽くす所存です。若く、経験も少ないサディスが迷うのは成長の一段階と見守りたいのですが、状況が許してくれないかもしれません。

王都の屋敷にも届く、当主不在への苦言。甘い汁を吸いに来ている方々がいらっしゃる。
そもそも他家への横槍など捨ておきたいのですが、つけ上がってしまうのはいただけません。

しっかりとお話しいたしませんと。そして、当主様にお戻りいただく。
それが私が王都の屋敷を維持しながらの、使命です。

サディスにはセリ様が望んだ買い物をして、帰らせますが。その前に王都の屋敷のことも頭に入れいてもらいましょうか。

王都ではネズミが多く出ます。腕の方も錆びつかないでしょう?
大掃除から始めなけばなりません。

屋敷の人員も見直し、セリ様、ガイサス様がいつ来ても良いように締め直さなければ!
やる事は多いですが、執事の仕事ですから。

私もなかなかの腕なのですよ?

しっかり調べて、宥めすかし落とせば、仕留める事も可能です。勝手なお客様、相手への見極めは、大事ですが。

ヴェーネン家も貴族なのですよ?魔導具士として先祖代々、研究をしている家に良くしてくださる関係先がいないとでも思っているのでしょうか。

確かに大変、縁が薄くなってしまったのを盛り返している状態なのですよ。魔導具の繋がりが、強みだった頃のように。

ガイサス様からの任命状、セリ様という跡継ぎが居る事を押してお帰りいただく事。
お2人のどちらかが欠けても、ヴェーネン家は残ってはいないのでしょう。

ガイサス様を家を乗っ取っているだの、セリ様をどこの子かもわからないだの?大変不躾な事を言ってくる方には、その口を閉じてもらえるようお願いします。


今の王都の屋敷では、お2人にゆっくりお休み頂けませんから。年寄りの冷や水にならない程度に、ですがね。頑張りましょう。
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