【完結・7話】召喚命令があったので、ちょっと出て失踪しました。妹に命令される人生は終わり。

BBやっこ

文字の大きさ
2 / 7

2

しおりを挟む
「ユイスティーナを呼んで。」

姉を呼び出す言い方ではありませんね。まあ、使用人として認知され、置いてもらっているのはわかっているのですが。私の母の身分は隠していますし。交わした約束は、もう成り立っていない様子。

「座っていいわよ。」
この扱いがそれを物語っています。

私、伯爵家の家名を名乗る許可も得ていますし、なんなら令嬢教育も受けていますのよ?
その私から見て、この妹の所作やらドレスの着こなし、態度云々は酷いに尽きます。

ヤレヤレと態度に出し、向かいの席に座ります。

同じように見ていた執事長は表情には出しませんが。確実に、執事長からの補習ですね。
妹は耐えかねて、教師を雇ったらしいけど、お金の無駄だったのではありません?

ドレスは、センスがズレてるなあ。

今年の流行りじゃなく去年だと、野暮ったいとかで社交界では悪目立ちするのに。
似合うのは大事ですが、着こなすのも腕の見せ所。

容姿は悪くないのに。
「まだおさげなのですか?」

レディは一般的に髪を結い上げる。この娘はトレードマーク的にずっとこの髪型だけどお子様感が増しますね。

「ツインテールよ!ダサい呼び方しないでっ」
「14歳の令嬢の話方ではないけど、姉の前では気を緩むのかしらねぇ?」

そんな心温まる関係でもないけど、私が間違いなく姉なのは揺るぎない事実。

「あんたの説教なんてどうでも良いのよ!お父様から、命令を持って来たわ。」

手紙を突き出します。

「この場合、従者に仲介してもらうのが正解です。」
「うっさいはね!使用人への礼儀はないのっ」

まあ姉としては、認めてもらっていないのでしょうね。知ってました。


“使用人の子は、奥様とお嬢様の言いなり。”

本家と言っている方の屋敷で、使用人が噂されているのを嘆かわしいという話です。
使用人の口が軽いのは、当主の腕がない。奥方の采配がなっていない証拠と言うらしいですが。

家長の手紙を無視できません。内容を読むと…


「王城への召喚ですか」
「しょうがないから、少し出てすぐ消えて。」

簡単に言ってくれます。伯爵令嬢として準備、挨拶も必要なのですが。開催が2週間後?
わざわざこの時期に持って来たのは誰の思惑か。

でも丁度良いかもしれません。


「承りますとお伝えください。」

ふんと妹が去ります。

「このお菓子、嫌いだったかしら。」

お土産に包むよう伝えました。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】婚約破棄中に思い出した三人~恐らく私のお父様が最強~

かのん
恋愛
どこにでもある婚約破棄。 だが、その中心にいる王子、その婚約者、そして男爵令嬢の三人は婚約破棄の瞬間に雷に打たれたかのように思い出す。 だめだ。 このまま婚約破棄したらこの国が亡びる。 これは、婚約破棄直後に、白昼夢によって未来を見てしまった三人の婚約破棄騒動物語。

婚約破棄を喜んで受け入れてみた結果

宵闇 月
恋愛
ある日婚約者に婚約破棄を告げられたリリアナ。 喜んで受け入れてみたら… ※ 八話完結で書き終えてます。

【完結】婚約破棄をしたいのだが婚約者が出てこない

恋愛
第二王子は、婚約者であるジェーン・ドゥ公爵令嬢との婚約破棄を卒業パーティーで宣言した。 彼女が行った数々の悪行も述べて。 だが、それでもジェーン・ドゥ公爵令嬢は姿を現さなかった。 一体、何故……?

父は、義妹と義母の味方なのだと思っていましたが、どうも違っていたようです

珠宮さくら
恋愛
1話完結。短いです。

【完結】忌み子と呼ばれた公爵令嬢

美原風香
恋愛
「ティアフレア・ローズ・フィーン嬢に使節団への同行を命じる」  かつて、忌み子と呼ばれた公爵令嬢がいた。  誰からも嫌われ、疎まれ、生まれてきたことすら祝福されなかった1人の令嬢が、王国から追放され帝国に行った。  そこで彼女はある1人の人物と出会う。  彼のおかげで冷え切った心は温められて、彼女は生まれて初めて心の底から笑みを浮かべた。  ーー蜂蜜みたい。  これは金色の瞳に魅せられた令嬢が幸せになる、そんなお話。

「最初から期待してないからいいんです」家族から見放された少女、後に家族から助けを求められるも戦勝国の王弟殿下へ嫁入りしているので拒否る。

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢に仕立て上げられた少女が幸せなるお話。 主人公は聖女に嵌められた。結果、家族からも見捨てられた。独りぼっちになった彼女は、敵国の王弟に拾われて妻となった。 小説家になろう様でも投稿しています。

婚約者を友人に奪われて~婚約破棄後の公爵令嬢~

tartan321
恋愛
成績優秀な公爵令嬢ソフィアは、婚約相手である王子のカリエスの面倒を見ていた。 ある日、級友であるリリーがソフィアの元を訪れて……。

襲ってきた王太子と、私を売った婚約者を殴ったら、不敬罪で国外追放されました。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

処理中です...