【完結】貴族の愛人に出ていけと寒空にだされたけど、懐は温かいよ。

BBやっこ

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そんな事ある?

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「ああ、お前さんも出てくんか。」
「うん。出てけって言われたからね。」

「なんか食ってけ。」

そう言って、コックはスープを火にかけて温めてくれる。
アタシとってはラッキーだ。

少し夜食の時間には早いけど、隣の宿舎に帰って荷物をまとめて。
朝には、家に帰ろう。

今いる若い方の執事とは仲が良くないけど、メイドの何人かは挨拶がしたい。

会いたくないのもいるが、出て行くんだ。嫌味くらい受けてやるさ。
やっとどうするか決められて、落ち着いて腰掛ける。

なんとなしに、キッチンを眺める。
火のついたカマド、コックは減りがらんと寂しいがあの頃を思い出せる。

そして火の近くのカゴに違和感を感じよく見ると

坊ちゃんがいた。
冷たいキッチンに一人で?

「なんでえ?坊ちゃんがこんなとこに??」

「ああ、子供部屋を暖めるのに薪をケチっててな。
あそこよりは寒くないと思って、ここにいる。」


「赤子が?乳母は?」

「婆さんは帰っている。お世話係は女の方のがご褒美が良いらしくてな。」

「信じられない!こんな寒い日に、火がないのっ!」

冷え込む部屋に、火がないのはツラい。
温かいスープを飲みながら考えた。

ここも夜食を作り終えたら、火を落とさなければならない。

「一緒にくる?」

私の部屋のが、暖かい。何より一人にしたくなかった。

勝手に連れてったら、誘拐だ。でも
「あ~う」


承諾は得た。

懐にいれれば、2人も温かいよ。

暖かくして眠った翌朝、出て行く前にアタシは密かにメイド長にお願いされて
奥様のご実家まで現状を知らせに行くことになった。


その時は、アタシの家で坊ちゃんは過ごしてもらったよ。
温かいし、母さんが赤子に世話はできて近所の目もあって安全だ。


それでやっと、職場環境が正された。

アタシは坊ちゃんのお世話係になって、メイド見習いとして頑張っている。


「幸せな職場だ。」

コックとそう話して、アタシは坊ちゃんにおやつを持って行くのでした。
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