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告知事項
しおりを挟む「マジかよ……」
たまにしか料理しないなんて言うから僕は心のどこかで馬鹿にしていたんだと思う。
「超美味いじゃん親子丼……」
「ふふふ、何せ愛がたっぷり入ってますからね!」
「へぇ、あ、ちょっとくどく感じるのはその余計な調味料が入ってるからかな、次作る時は省いといて」
「すわっ!! 兄さん俺の手料理また食べたいの? いいですよいいですよ! 兄さんのためなら毎日ソイジョイ買ってきます」
「何だよ面倒臭くてやっぱ作んねーのかよ作れよ。兄を慕い刃を研げよ」
「御意御意」
って食べさせてきて本当、顔がイケメンじゃなきゃキモさここに極まれりなんですけどこの人。
あ!
「豹君! ご飯中に携帯弄るの止めましょう! マナー違反ですよ! パパとママに言われなかった?」
「え? でも【ヤッピー! パパ達今ご飯食べてるよ! My sonsは?】って来たから返信してるんですけど、ほら」
「クッソお花畑共め、何ピザなんか食ってんだよいいな!」
見せられた携帯には父と母が今なら二枚目無料! って宣伝が如くピザ持って写っていた、何だったんだよあの二枚分金払っていた日々は急に値下げしすぎだろピザ屋。
「はい!兄さん笑って笑って! せーの!! 6/π+48Σ[n=1~∞]n/(e^(2πn)-1)=?」
「は?」
「6/π+48Σ[n=1~∞]n/(e^(2πn)-1)=?」
「いや、わかんないから」
「2ー! でしょ! もう兄さんは可愛いなぁ」
「分かる訳ねぇだろ! お前そんなウザかったっけ?」
ついてけねーってお味噌汁飲んだらまた写真撮ってる。
「兄さん携帯かして」
「ん? ってもう勝手に取ってんじゃん」
何か僕の携帯ちょちょいと弄ってありがとうございましたって返してきた。
画面見たら、案の定味噌汁飲んでる写真共有されてるのはもういいとして、僕の携帯から【ゴクゴクゴク♪ こちら弟との夕食中! パンタンと一緒に作ったご飯は美味しいニャンゴ!】って!?
「キャラッ!! 僕のキャラ!!! ニャンゴとか使ったことないからぁ! お前どんだけ文打つの速いんだよ」
「兄さん食事中に携帯触るのお行儀悪いですよ」
「お前ぇえ…………」
すました顔してご飯食べてて、あ、送信取消そうと思ったら、良き! ってパパから殿様が頷いてるスタンプ来ちゃったし、ぐぬぬ……!
あー……もう諦めて、ご飯は本当に美味しいから気を取り直して食べてたら、豹の携帯が鳴った。
「あ、今ご飯ちゅーだぞ」
「すみません、仕事は許して下さい」
画面を見た豹は眼鏡を直すと目付きを変えてお茶を一口飲んで席を立った、携帯持ってドアの方に行っちゃって、
「はい斑鳩です」
お仕事モードパンちゃんの声は中々のイケボだった。
いいなぁあーゆー大人っぽい声。
「あー、あー、あー、あー、あー」
んー……僕ってば声変わりした記憶あるんだけど、今一低い声が出ないんだよなぁ。
「あー、あー、ああー~ッ!!」
これでも低くしてるんだけど渋い男って感じじゃないもんな。
「あー! あー! あーいいー! いー?」
お? いーのが低い気がするな。
「いー! いいいいー!! えーーーあー!」
あ、なんかイイ感じだな。
「えーーーいー! いいいッ!! んぐぅ!!」
部屋響きわたる声で発声してたら豹すっげ眉間にしわ寄せてこっち来て口塞いできた。
「ええ、あのすみません。 ちょっと親戚の子供が……あの今年二歳です。はい……はい、わかりました。ではその件は明日で、はい。承知しました」
「………………」
豹は電話を切ると口から手を離してキスしてきた。
「少し電話してただけでしょう、お利口にしてて下さいよ」
「親戚の子供ってなんだよ、僕は兄ちゃんだぞ! 二歳ってふざけてんのか」
「相手から、あれ? 斑鳩君独身じゃなかったっけ? 元気だねぇまだおしゃべりできないの? 子供いくつ? って聞かれたんですよ。兄ですなんて言えないでしょう」
「…………ふぅん、で? お前何の仕事してんの?」
「土地転がしです」
席座ってまたご飯食べてるけど、えぇええ??
「土地転がしって……はぁ?! お前ついこないだ実家でここら一帯潰してマンション建てたいって地上げ屋がきて、何かヤクザっぽかったしすげー怖かったから僕は布団にくるまってパパとママが対処したの知らないの?」
「え? 壊すんですか? 実家」
「いや、近所と結託してマンションの話は流れたよ。しかし今!地上げ屋にあったからと言うより僕がニートだから家を売られる懸念があってそれを阻止すべく今家出中なんだっての」
「はい」
「で? お前ヤクザなの?」
ちょうどご飯も味噌汁も食べ終わったし箸を置いて弟見たら、豹はクスッと笑った。
「まさか、冗談ですよ。普通の不動産屋さんです」
「不動産? へぇたっけんとか持ってるの?」
「ええ、持ってますよ。うちは法人と富裕層の外国人向けの物件取り扱ってる会社なのでノルマとかはあまりないです」
「富裕層の外人…………」
へぇ、仕事の話……初めて聞いた。
「じゃぁお前英語話せるの?」
「それはまぁ多少は…………お客さんは外国の方ばかりなので」
眼鏡を直してマジ、パンちゃんかっけー!
「さすが僕の弟だな! 鼻が高いよ!」
「光栄です。何か甘いもの食べます?」
「食べたい食べたい!!」
ここで、俺も負けられないゼッ! ってなんないとこが僕が良いとこですね。
へぇ~凄いね~頑張れ~僕は働きたくないけど、としか思いませんぎょめんパパ。
でもそっか、そんな風に毎日働いてるんだ、あの弟が……。
テーブルに顔をつけて、視線をカウンターキッチンに向けたらイケメン君は顔を傾けて"好き"と口パクでやってウィンクしてきた。
ぎゅんと胸に何か突き刺さったような衝撃を受けて僕は思わず目を瞑った。
「何すんだよハゲ、そんなイケメンビームは好きな子にやれよ」
「好きな子にやってみました」
「は? 全然面白くねーからそのジョーク」
薄目を開けて睨んだら、豹は困ったように笑った。
その表情が意味不明過ぎてじと目で見続けてたら、はいっと豹はカウンターに小皿を乗せた。
「バニラアイス、コーンフレークかかってます」
「あ! 昔よく食べてたヤツ!」
ほう! そうか、これこれ!
昔おやつにアイスだけじゃ足りないって言ったらお母さんがコーンフレークかけてくれた思ひ出。
「久しぶりだなぁコレ」
「かけたかったら、チョコソースとメープルシロップもありますよ」
「やった!」
豹はアイスの入ったグラスを持つと僕を通り越してソファーの前のローテーブルに置いた。
「食べましょう兄さん」
「ん? うん」
ソファーに座る弟に手招きされて隣に座るけど、な、な、何か嫌だぞコレ!
「僕食パン帰る!」
「あら、気に入ったんですか? 食パン」
ソファーの横に置かれた僕専用のソファーにアイス持ってて食べたら、うん、やっぱり旨いなぁ……!
やろうと思った訳じゃないのにおいちって口から出て手が勝手にほっぺスリスリしてた。
「ヒィエエエッ!! 兄さん何それ!」
「あ?」
で、やっぱりシャッターチャンス! って写真撮られてた。
「兄さん可愛い兄さん兄さん」
「………………はぁ、もういいや。本当こんな良いとこ住んでんのに残念な性格だな」
「良い所…………? ああ」
豹は携帯を弄るのを止めて僕を見た。
「次の入居者が決まらないので俺が住んでるだけですよ」
「へ?」
「ほら、よくあるでしょ不動産屋さん行ってあり得ないくらい安い物件があってよく見たら物件詳細の欄に【告知事項】って書いてあるの」
「んん?」
「あれ、人が一度入居したら次回から告知義務ないですから、管理会社の社員が間で住んだりするんですよ」
「え? え? 何? この家の話?」
豹は淡々とアイス食べながら話してて、な、な、な、な、なんですか?
意味わかんないんだけど?
「そうですよ」
「ん? えーっと……こ、告知事項って……何?」
「まぁ所謂、事故物件ってヤツです。じゃなきゃ入社して二年目の俺が億ションなんか住めるわけないでしょ」
「じじじじじじじ………………!! 事故物件ッ!??」
「よくある話ですね」
「ないよ! ないない! よくはない!」
「ちなみに、寝室で死んでたそうです」
「シュワワワワワッ!!!!」
アイスかっこんで、これは弟にダイブだぞ!!
「おっとと……どうしたんですか」
「とりあえず今日だけ一緒に寝よパンちゃん!」
ぎゅっと抱き付いて顔を上げたら豹は笑ってゆっくり頷いた。
「はい」
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