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第1章
第2話(9)転生先は王子の婚約者候補
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夜、僕は自室にアリシアとカミラを呼び出した。
今朝、課題が発表される前に言いかけていた"お願い"を伝えるためだ。
「で、お願いって何なの?」
「二人は、"魔法石"って持ってる?」
魔法石とは、魔法を発動させるための必需品だ。
魔法石を身につけていなければ、いくら集中したって魔法は発動出来ない。
今ではアクセサリーの形で出回っていて、それほど高価なものでもない。
魔法が一般化した今、誰もが当然のように身につけている。と、思っていた。
"当然だね、お前には不要なものなんだから"
脳裏に、馬車の中で浴びせられた嘲笑が蘇る。
老女が持っていた首飾り。あれは魔法石だったのだろう。
あの時、もらえるものはもらっておけばよかった。
「持ってるわけないじゃん。どうせ使えないんだし」
「私は持ってます!ここに来るとき、お母様がお守り代わりに渡してくれて」
アリシアは首飾りを外し、僕らに見せてくれた。
「アリシア、もしよければ今ちょっと借りてもいい?」
「いいですけど……?」
アリシアは不思議そうに首を傾げる。
僕は手渡された魔法石に魔力を込めた。
右手を掲げると――ぱっと、部屋いっぱいに花びらが舞い散る。
「え!?なにこれ!?」
「急に花が…?もしかして今の…」
「うん。魔法でフラワーシャワーを出してみたんだ」
二人はぱちぱちと瞬きを繰り返す。
「はぁ…?Ωが魔法を使えるわけ」
「使えるよ。少なくとも、Ωだけど僕は魔法が使える」
驚くカミラに、僕は静かに答えた。
「これは仮説なんだけど、おそらくΩは生まれつき魔力量が極端に少ないんだ。実際、今かなり魔力を消耗した。このフラワーシャワーの魔法なら一日五回が限界かな。でもαなら百回は軽く使えるだろうね。もちろん個人差はあるけど」
二人は真剣に耳を傾ける。その目はきらきらと輝いていた。
"自分たちも魔法が使えるかもしれない"という可能性に気付いたからだ。
「βとαの間にもはっきりとした差があるんだ。αは生まれつき魔力量が豊かで、習得度も高い。魔力があれば練習できる回数も増えるし、基礎魔法なら魔力で無理を通すことも出来るからね。でも、Ωはそのさらに下。魔力量は限りなく少ない。けど、ゼロじゃない。少ないだけで、努力すれば必ず魔法は使える」
そう言って僕は風魔法を展開した。
床に散らばった花びらを、ふわりとテーブルの上へ集めると、「おぉ~~」と二人は同時に感嘆の声を上げた。
最近は魔法を使っても「ルイスなら使えて当然」といった様子で、感心されるのなんて久しぶりだ。
なんだか少し気分がいい。
「アリシア、この魔法石、もう少し借りててもいい?」
「もちろんです。私が持っているより、ルイスくんが持ってた方がきっと役立ちますから」
快く差し出してくれる彼女に頭を下げる。
「明日の課題は魔法実技。おそらくあの様子だと、ベネット嬢はわざと攻撃を当ててくる気だろう。もしも彼女の対戦相手に二人のどちらかがなった時は、僕が魔法で補助する」
カミラとアリシアは僕の言葉にうなずいた。
まずは明日に備えるため、昨日の疲れを取ることが先決だ。
解散しようとした矢先、アリシアがふいに振り返る。
「さっきのお花の魔法、とても綺麗でした」
「ありがとう。あまり使う機会はないんだけど、大切な友人を祝うために頑張って習得したんだ」
「素敵な理由。私にもあの魔法、教えてくれますか?」
希望を宿した瞳に、僕は快諾するようにうなずいた。
今朝、課題が発表される前に言いかけていた"お願い"を伝えるためだ。
「で、お願いって何なの?」
「二人は、"魔法石"って持ってる?」
魔法石とは、魔法を発動させるための必需品だ。
魔法石を身につけていなければ、いくら集中したって魔法は発動出来ない。
今ではアクセサリーの形で出回っていて、それほど高価なものでもない。
魔法が一般化した今、誰もが当然のように身につけている。と、思っていた。
"当然だね、お前には不要なものなんだから"
脳裏に、馬車の中で浴びせられた嘲笑が蘇る。
老女が持っていた首飾り。あれは魔法石だったのだろう。
あの時、もらえるものはもらっておけばよかった。
「持ってるわけないじゃん。どうせ使えないんだし」
「私は持ってます!ここに来るとき、お母様がお守り代わりに渡してくれて」
アリシアは首飾りを外し、僕らに見せてくれた。
「アリシア、もしよければ今ちょっと借りてもいい?」
「いいですけど……?」
アリシアは不思議そうに首を傾げる。
僕は手渡された魔法石に魔力を込めた。
右手を掲げると――ぱっと、部屋いっぱいに花びらが舞い散る。
「え!?なにこれ!?」
「急に花が…?もしかして今の…」
「うん。魔法でフラワーシャワーを出してみたんだ」
二人はぱちぱちと瞬きを繰り返す。
「はぁ…?Ωが魔法を使えるわけ」
「使えるよ。少なくとも、Ωだけど僕は魔法が使える」
驚くカミラに、僕は静かに答えた。
「これは仮説なんだけど、おそらくΩは生まれつき魔力量が極端に少ないんだ。実際、今かなり魔力を消耗した。このフラワーシャワーの魔法なら一日五回が限界かな。でもαなら百回は軽く使えるだろうね。もちろん個人差はあるけど」
二人は真剣に耳を傾ける。その目はきらきらと輝いていた。
"自分たちも魔法が使えるかもしれない"という可能性に気付いたからだ。
「βとαの間にもはっきりとした差があるんだ。αは生まれつき魔力量が豊かで、習得度も高い。魔力があれば練習できる回数も増えるし、基礎魔法なら魔力で無理を通すことも出来るからね。でも、Ωはそのさらに下。魔力量は限りなく少ない。けど、ゼロじゃない。少ないだけで、努力すれば必ず魔法は使える」
そう言って僕は風魔法を展開した。
床に散らばった花びらを、ふわりとテーブルの上へ集めると、「おぉ~~」と二人は同時に感嘆の声を上げた。
最近は魔法を使っても「ルイスなら使えて当然」といった様子で、感心されるのなんて久しぶりだ。
なんだか少し気分がいい。
「アリシア、この魔法石、もう少し借りててもいい?」
「もちろんです。私が持っているより、ルイスくんが持ってた方がきっと役立ちますから」
快く差し出してくれる彼女に頭を下げる。
「明日の課題は魔法実技。おそらくあの様子だと、ベネット嬢はわざと攻撃を当ててくる気だろう。もしも彼女の対戦相手に二人のどちらかがなった時は、僕が魔法で補助する」
カミラとアリシアは僕の言葉にうなずいた。
まずは明日に備えるため、昨日の疲れを取ることが先決だ。
解散しようとした矢先、アリシアがふいに振り返る。
「さっきのお花の魔法、とても綺麗でした」
「ありがとう。あまり使う機会はないんだけど、大切な友人を祝うために頑張って習得したんだ」
「素敵な理由。私にもあの魔法、教えてくれますか?」
希望を宿した瞳に、僕は快諾するようにうなずいた。
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