【完結】異世界で勇者になりましたが引きこもります

樹結理(きゆり)

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一章 異世界召還

第五話

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 街の入り口から少し離れた場所にゼルは降りた。
 ディルアスはゼルから飛び降り、同じく飛び降りるよう促される。
 少しよろめきながらも何とか飛び降りると、ディルアスはゼルに何やら話し掛けていた。
 ドラゴンと会話なんて出来るんだ、と少し離れた場所から眺めていた。

 ディルアスがこちらに振り向くと、ゼルは再び翼を広げどこかに飛んで行ってしまった。

「行くぞ」
「ゼルは?」

 街に向かって歩き出したディルアスに聞いた。

「街に一緒に入ることもあるが、今日は外で待機させた」

 え、あの巨体で一緒に街に入れるんだ。と、不思議に思っていたのを見透かすようにディルアスが続けた。

「魔導具で身体を小さくさせる」
「身体を小さく!?」
「あぁ」

 色々分からないことが多すぎて、質問責めにしそうだったのを堪えた。きっとキリがない。
 そんなことをしてしまえば、きっとディルアスも辟易するだろう。
 ここはグッと我慢だ。

 街の入り口には門兵らしき人が立っていたが、止められることもなく入ることが出来た。

 キシュクの街。この辺りで一番大きいと言われただけあって、凄い人が多く賑やかだ。
 街並みはヨーロッパみたいな感じかな、とぼんやり考える。
 石畳に石造りの建物。遠目には時計台のようなものも見える。
 あちこちに露店も並びとても賑やかだ。

 ディルアスはそれらの店に見向きもせず、街の奥へと進んで行く。
 小走りで付いて行くが、あちこちの店が気になり、危うくはぐれそうになる。

「こっちだ」

 ある程度歩き続けると一軒の店らしき建物の前で止まった。
 扉を開けて中に入って行く。
 中に入ると広い部屋にたくさんのテーブルと椅子が置かれていた。
 レストラン? しかし誰もいない。
 灯りがないため薄暗い。営業している雰囲気はない。

 扉の音に気付いた店の人間であろう人物が奥の部屋から出て来た。
 四十から五十くらいの歳だろうか、母親くらいの年代の女性だった。
 ディルアスに気付くと突然大きな声を上げた。

「ディルアスじゃないか! 久しぶりだね!」

 そう言うとディルアスに近付き肩をバシバシ叩いた。

「あぁ」

 ディルアスの返事は素っ気ない。

「なんだい、相変わらず声が小さいねぇ! 相変わらず細いし、ちゃんと食べてんのかい!?」

 女性はディルアスの態度は全く気にしてない素振りで捲し立てる。
 どうやら古い知人のようだ。

「ん? そっちの子は誰だい?」

 いきなり話を振られ焦って声が裏返った。

「わ、私は、えっと……」
「旅先で拾った。他国から来たらしく、この国のことは全く分からない。世話してやってくれないか?」

 他国から来たことになった。まあ何者か分からないものね。こんな不審者をよく連れて来てくれたもんだ。

 女性は少し考え込み、

「まああんたのことだから、何か感じるものがあったんだね」

 そう言ってニカッと笑った。

「あんた名前は?」
「由宇と言います」
「ユウか、じゃあユウ! 二階においで! ディルアスも今日は泊まってくだろ?」
「あぁ」

 二階? 何だか説明もないまま、二人で話が纏まってしまった。
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