【完結】異世界で勇者になりましたが引きこもります

樹結理(きゆり)

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六章 勇者

第四十六話

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 朝食を食べ終わり、侍女さんがお茶を入れてくれていると扉を叩く音がした。
 侍女さんがお茶を置くと扉を開けに行ってくれた。

「ユウ様、ディルアス様がいらっしゃってます」
「入ってもらってください!」

 慌ててお茶を飲み干そうとすると、部屋に入ってきたディルアスが止めた。

「ゆっくりで良い」
「あ、ありがとう」

 ケホッとむせながらカップを置いた。侍女さんはディルアスにもお茶を勧めた。
 ディルアスは促されるままに向かいに座った。

 朝からお茶だなんて優雅だな、とぼんやり考えていた。

「今日は綺麗だな」
「えっ!?」

 ぼそぼそと小さい声でディルアスが言った。

「いや、その、服がいつもと違うから……」

 言いながら顔を背ける。
 えっ、何? ディルアスが綺麗とか言った!? えっ!? 最近よく喋ってくれるな、とは思ってたけど、ディルアスってそんなキャラ!? 意外とチャラい人!?
 いや、それはないか。自分で言っときながら思い切り照れてるし。そんな照れられるとこっちも照れるってば!

「あ、侍女さんが選んでくれた服だから! 綺麗だし可愛い服だよね!」

 何かこっちまで照れるから、わざとらしく声が大きくなってしまった。
 侍女さんがにこにこしている……。くっ、何だかムズムズする。

「とりあえず禁書庫行こうか!」

 耐えられなくなった。うん、話題を変えちゃう。
 元々禁書庫に行く予定だったしね!

 お茶を飲み干すと、侍女さんが王宮の書庫まで案内をしてくれた。ルナとオブは部屋にお留守番。

 ディルアスが書庫の管理人に閲覧許可証を見せる。

「禁書庫ですね。奥の部屋になります。どうぞ」

 書庫の入り口からさらに奥に扉があった。そこは厳重に鍵がかけられており、管理人が鍵を開けた。
 重々しい扉の向こうには手前の書庫よりは少ないがどれも古そうな本が置いてあった。

「この中の本はどれも持ち出しは出来ませんのでご注意ください」
「はい、ありがとうございます」

 管理人は元いた場所に戻った。

「とりあえず勇者の記載のあるものを探すか」
「うん」

 ひたすら勇者関連の本を探すために、片っ端から読んで行った。
 しかし中々勇者に関する事柄が載る本が出て来ない。

「あー、疲れる!」

 机に突っ伏して呟いた。

「中々出て来ないねぇ」
「あぁ、少し休憩するか」

 いつの間にか昼になっていたため、一度書庫を出て昼食をお願いした。

「それならば気分転換にお外で昼食はいかがですか?」

 侍女さんが書庫にずっと籠りっぱなしだったことに気を遣ってくれ提案してくれた。

「良いですね! お願いします!」

 広い庭園の真ん中にあるガゼボに案内され、昼食を用意してくれた。
 爽やかな風が吹き気持ちが良い。ワンピースの裾がヒラヒラと風に靡く。

「ユウ、ディルアス! 調べものはどうだ!? 捗っているか?」

 昼食の準備最中にアレンとリシュレルさんが現れた。

「お? ユウ、中々似合ってるな!」

 ニヤッとアレンは笑った。

「本当ですね、お似合いですよ」

 リシュレルさんもにこりと微笑んだ。
 いや、もう居たたまれないから触れないでー!

「ど、どうも」
「今日から早速行ってるんだろ? どうだ?」

 リシュレルさんがこちらで殿下も昼食を、と呆れ顔で侍女さんたちに指示している。侍女さんたちが慌てて昼食用意を増やしている。バタバタだね、侍女さんたち大変だ。

「まだ全く何も……」
「全くかぁ」

 今回はリシュレルさんも一緒にテーブルに着いた。
 庭園に出る前に連れて来たルナとオブも一緒にみんなで昼食を取る。

「仕方ないですよ、元々勇者に関する記載はとても少ないと聞いていますし。記載を見付けるのはかなり労力がいるかもしれませんね」
「そうだなぁ。俺もどの本に載っていたとかも覚えてないし、俺が読んだ以上にさらにまだあるのかも分からんしな……」

 その話を聞きながら溜め息を吐いた。

「地道に頑張るしかないな」
「そうだね……」

 こういうときディルアスはやっぱり無表情なんだね。

「まあ気長に頑張れ」

 アレンは苦笑しながら言った。
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