【完結】異世界で勇者になりましたが引きこもります

樹結理(きゆり)

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八章 再出発

第六十六話

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「また魔力を流し合えば良いのかな? 名前はすでに付いてるけど……」
『一度契約が切れているから、もう一度やり直すことになるな。名は契約が一度切れた時点でなくなっている。再び同じ名を付けてくれれば良い』
「分かった」

 椅子から立ち上がり、ルナと向き合った。
 両手を繋ぎお互いの魔力を流し合う。やはりこの距離感は照れる! 何度やっても慣れないな。
 ルナに魔力を流し、ルナからも魔力が流れてくる。
 手を放し額に手を……

「あの……人間化のまま?」
『何だ?』
「いや、あの……」
『人間化のままでも問題はないが?』

 そういうことじゃなく! 人間化で額に手を触れるの!? それでなくても緊張するんだってば!

 仕方ない、もうこの顔には慣れた! と、自分に言い聞かせ、そっとルナの額に手を伸ばした。
 ルナは少し屈み目を瞑った。

 本当に綺麗な顔だなぁ、とマジマジ見詰めた。いつも緊張してしっかりと顔を見たことがなかったなぁ、とぼんやり考えながら、お肌ツルツル~、髪の毛サラサラ~とか、どうやら無意識に顔を触りまくっていたようだ。
 ルナに両手を掴まれた。間近で見詰められ綺麗な金色の瞳に吸い込まれそうな気がした。

『ユウ、契約を』
「あ、ごめん!」

 仔犬化のときの勢いで触ってた! しまったなぁ、と、チラッとディルアスの姿が見えると、ディルアスは横を向いていた。やってしまった……。
 気を取り直して……。

「あなたの名前はルナ、またよろしくね」

 ルナの額に手を当て言った。額に当てた手から眩い光が放たれそして消えた。

『我が名はルナ、主よ、これから我はそなたと共にある』

「フフ、あの時言ってくれた言葉だね」

 以前契約したときの言葉。
 ルナは優しげな顔をして微笑んだ。

『改めておかえり、ユウ』
「ありがとう、ルナ」

『僕も僕も!』

 オブは大人の身体付きになったからか、首元の宝玉もとても大きくなっていた。
 私の掌だけでは覆いきれない程の大きさになっている。

「オブ、大きくなったね」

 宝玉からお互いに魔力を流し合う。

「あなたの名前はオブシディアン。オブまた会えて嬉しい」
『ユウ、おかえり!』
「ありがとう、オブ!」

 大きな身体に抱き付いた。小型化したらもうぷにぷにじゃないのかな~とか呑気なことを考えた。

「これからユウはどうする?」

 二人との契約を終えると、ディルアスが聞いた。

「うーん、今のところ何も考えてないけど、アレンやイグリードにも会いたいかな。神様との約束事も伝えたいし」
「そうだな、このまま会いに行くか?」
「え、今から?」
「あぁ」
「こんな急に行って大丈夫かな?」
「大丈夫だ、連絡を取る」

 そういうとディルアスは魔導具で通信しだした。
 今の私には聞こえないが。

「アレンとイグリードに連絡をした。行こう」

 その前にと、ディルアスは部屋に戻って何かを持って来た。
 その手にあるものを見ると……

「私の魔導具……」

 受け取ったのは私が使っていた魔導具。

「ずっと保管してくれてたんだ……」
「あぁ」
「ありがとう」

 泣きそうになるのを必死で堪えた。
 家や物や、私のものを五年間捨てずに置いててくれたんだなぁ。
 嬉しい……。

「魔力が少し変わったのなら附与しなおさないといけないかもしれないが……経験がないから分からない」
「うん、また試してみるよ」

『恐らくそのままで大丈夫ではないか? 私やオブシディアンの魔導具もそのまま使えているからな』

 そういえばルナは人間化したときも魔導具で衣服が発動している。ということは、恐らくオブの小型化も大丈夫なんだろう。何でだろう。

『ユウの魔力が変わったといっても、勇者の魔力がなくなっただけで、根本は変わっていないからではないか? 契約には本人が一度消えてしまったから契約が切れたが、魔導具は魔導具自体に魔力を附与しているからな』

 なるほど。とりあえずルナの人間化でまた裸にならなくて良かったよ。ハハハ。

「とりあえずアレンのところへ行こう」
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