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九章 遭遇
第七十七話
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案内されたのは官舎? 演習場のすぐ近くにある大きな建物だった。
「ここは宮廷魔導士団の官舎です。この中に執務室がありますので、ぜひそちらに」
執務室に案内されると、応接用の椅子がありそちらに座るよう促された。
一人の魔導士さんらしき人がお茶を出してくれた。
「さて、こちらにお呼びした理由ですが、こちらを……」
何やらノートのようなものを渡された。
「これは祖父グレイブが書いたものです」
「!!」
「ほとんどメモ書きみたいなもので。読みづらいですが、色々研究していた魔法が書かれています」
「そんな大事なもの、見ても良いんですか?」
「はい、我々には分からない内容でも貴殿方なら分かるかもしれない。それにディルアス殿に見てもらいたかっただろうと思いますので」
ルナートさんはディルアスを見てニコリと笑った。
「私は演習場に戻っていますので、どうぞごゆっくり」
そう言ってルナートさんは出て行った。
ディルアスがノートを開き中を確認し始めた。
ノートは確かにメモ書きのような殴り書きのものが多く、中々読むのが大変な作業だったが、色々な魔法を組み合わせて使う高位魔法の本に載っているような内容やら、先程の蓄積治癒を発見したときの話。
「あ、この結界って……」
「あぁ」
エルザイアで行った結界。ディルアスと二人がかりで発動させた、あの結界。
「グレイブさんの魔法だったんだね」
「あぁ、あの時に教えてもらった最大結界魔法……」
グレイブさんと過ごした時間を思い出しているのだろうか、懐かしそうな寂しそうな少し瞳が揺らめいた気がした。
最後のページにディルアスへ、と書いてあった。
《ディルアスへ》
あの時俺がもう少し早く着いていれば
俺とお前がもう少し早く出逢っていれば
もっとたくさんの魔法を教えていれば
やはり魔法なんか教えるべきではなかったかもしれない
一緒に連れて来れば良かったのかもしれない
後悔や葛藤ばかりだ。
後悔しては思い直して葛藤をして、を繰り返し、あの時何が正しかったのか、どれが正解でどれが間違っていたのか。
この歳になっても未だに悩む。情けないな。
お前にもう一度会いたかった。
会ってお前の成長が見たかった。
俺を追い越した魔導士になっている姿を見たかった。
自分勝手な想いだが。
いつか俺に会いに来てくれることがあれば、俺の全てをお前に託す。
ディルアスの瞳から涙が零れ落ちた。顔を隠すように机に頭を伏せ声を殺している。
痛々しい。
ディルアスにとっては大事な人たちを二度も亡くしてしまったんだな。
私が消えたときも辛い思いをさせてしまった。大事な人とは違うだろうけど、自惚れかもしれないけど、でもきっと仲間だとは思ってくれているはず。
戦わないと決めたときもディルアスはとても苦しそうにすまないと何度も言っていた。
それを思い出すと胸が苦しくなる。
とても酷いことをしてしまった。
最初ディルアスは他人と関わるのが嫌な人なのかと思っていた。
でも一緒に過ごして行くうちにそうではないんだと分かった。
ディルアスは大事な人たちを亡くして怖くなってしまったんだな。人と関わって大事な存在になって、また亡くしてしまったらと思うと怖くて親しくなれない。
だって、親しくなるとその人のことが絶対大事になってしまう。ディルアスは優しいから。
私とだって、きっと最初は関わらないようにしようと思ってたんだと思う。だけど優しいから。
ディルアスはとても優しいから、私のことも放っておけなくなっちゃったんだよね。
なのに私はディルアスを置いて消えてしまった。
私は何て酷いことをしたんだろう。
うつ伏せたディルアスの頭をギュッと抱き締めた。
私にはどんな言葉もかけることが出来ない。
慰める言葉も思い付かない。私は無力だ。
ただ抱き締めることしか出来なかった。
ディルアスは顔を伏せたまま、縋るように抱き締め返した。
「ユウ……ユウはいなくならないでくれ……二度といなくならないでくれ……」
「うん」
苦しそうに絞り出した声。胸が痛かった。
「ここは宮廷魔導士団の官舎です。この中に執務室がありますので、ぜひそちらに」
執務室に案内されると、応接用の椅子がありそちらに座るよう促された。
一人の魔導士さんらしき人がお茶を出してくれた。
「さて、こちらにお呼びした理由ですが、こちらを……」
何やらノートのようなものを渡された。
「これは祖父グレイブが書いたものです」
「!!」
「ほとんどメモ書きみたいなもので。読みづらいですが、色々研究していた魔法が書かれています」
「そんな大事なもの、見ても良いんですか?」
「はい、我々には分からない内容でも貴殿方なら分かるかもしれない。それにディルアス殿に見てもらいたかっただろうと思いますので」
ルナートさんはディルアスを見てニコリと笑った。
「私は演習場に戻っていますので、どうぞごゆっくり」
そう言ってルナートさんは出て行った。
ディルアスがノートを開き中を確認し始めた。
ノートは確かにメモ書きのような殴り書きのものが多く、中々読むのが大変な作業だったが、色々な魔法を組み合わせて使う高位魔法の本に載っているような内容やら、先程の蓄積治癒を発見したときの話。
「あ、この結界って……」
「あぁ」
エルザイアで行った結界。ディルアスと二人がかりで発動させた、あの結界。
「グレイブさんの魔法だったんだね」
「あぁ、あの時に教えてもらった最大結界魔法……」
グレイブさんと過ごした時間を思い出しているのだろうか、懐かしそうな寂しそうな少し瞳が揺らめいた気がした。
最後のページにディルアスへ、と書いてあった。
《ディルアスへ》
あの時俺がもう少し早く着いていれば
俺とお前がもう少し早く出逢っていれば
もっとたくさんの魔法を教えていれば
やはり魔法なんか教えるべきではなかったかもしれない
一緒に連れて来れば良かったのかもしれない
後悔や葛藤ばかりだ。
後悔しては思い直して葛藤をして、を繰り返し、あの時何が正しかったのか、どれが正解でどれが間違っていたのか。
この歳になっても未だに悩む。情けないな。
お前にもう一度会いたかった。
会ってお前の成長が見たかった。
俺を追い越した魔導士になっている姿を見たかった。
自分勝手な想いだが。
いつか俺に会いに来てくれることがあれば、俺の全てをお前に託す。
ディルアスの瞳から涙が零れ落ちた。顔を隠すように机に頭を伏せ声を殺している。
痛々しい。
ディルアスにとっては大事な人たちを二度も亡くしてしまったんだな。
私が消えたときも辛い思いをさせてしまった。大事な人とは違うだろうけど、自惚れかもしれないけど、でもきっと仲間だとは思ってくれているはず。
戦わないと決めたときもディルアスはとても苦しそうにすまないと何度も言っていた。
それを思い出すと胸が苦しくなる。
とても酷いことをしてしまった。
最初ディルアスは他人と関わるのが嫌な人なのかと思っていた。
でも一緒に過ごして行くうちにそうではないんだと分かった。
ディルアスは大事な人たちを亡くして怖くなってしまったんだな。人と関わって大事な存在になって、また亡くしてしまったらと思うと怖くて親しくなれない。
だって、親しくなるとその人のことが絶対大事になってしまう。ディルアスは優しいから。
私とだって、きっと最初は関わらないようにしようと思ってたんだと思う。だけど優しいから。
ディルアスはとても優しいから、私のことも放っておけなくなっちゃったんだよね。
なのに私はディルアスを置いて消えてしまった。
私は何て酷いことをしたんだろう。
うつ伏せたディルアスの頭をギュッと抱き締めた。
私にはどんな言葉もかけることが出来ない。
慰める言葉も思い付かない。私は無力だ。
ただ抱き締めることしか出来なかった。
ディルアスは顔を伏せたまま、縋るように抱き締め返した。
「ユウ……ユウはいなくならないでくれ……二度といなくならないでくれ……」
「うん」
苦しそうに絞り出した声。胸が痛かった。
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