処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

リディアの攻撃

王都の城門を抜け、クラウス・バレッジの隠遁先へ向かう街道。

朝の光が眩しく、木々の葉が風に揺れる中、シリル・アーデン、リディア・ハワード、ユージン・ファルクナー、ルーカス・ヴェルナー の四人は歩を進めていた。

「うわー、結構距離あるんですね……。」

ユージンが 汗を拭いながら嘆く。

「到着する前に倒れちゃったらどうしよう……。」

「お前、まだ入り口だぞ。」

ルーカスが 苦笑しながらユージンの背中を軽く叩く。

「まあまあ、これも鍛錬のうちってことで。」

「そうそう、歩くのも体力づくりの一環だぞ！」

シリルが 笑顔で拳を握る。

そんな様子を見ていたリディアが ニヤニヤしながらシリルに近づく。

「ねえねえ、坊ちゃん騎士？」

「……なんだよ。」

「こうして並んで歩いてるとさ、まるでデートみたいじゃない？」

「はっ！？ ちょ、お前、何言って——！」

シリルが 思いっきり咳き込む。

「な、なんでそんな話になるんだよ！」

「えー？ だって、ほら、あんたってば私の隣にずっといるし～。」

「いや、たまたまだろ！」

「ふーん？ たまたまねぇ。」

リディアは いたずらっぽく微笑み、シリルの腕を軽くつつく。

「……もしかして、照れてる？」

「照れてねぇよ！！」

「えー、じゃあもっと近づいちゃおうかな？」

リディアが スッとシリルに寄る。

「ちょ、近いって！！」

「ほら、こうすると余計にデートっぽくなるでしょ？」

「やめろぉぉぉ！！」

その様子を、後ろから見ていたルーカスとユージンは……

「……うわぁ、シリル、めちゃくちゃからかわれてるな。」

「シリルさんって、こういうの弱いんですね……。」



「……まったく、お前はいつもいつも……！」

「いいじゃん、楽しいでしょ？」

「どこがだよ！！！」

シリルが 頭を抱えて呻く。

リディアは いたずらっぽく笑いながら言った。

「でもさ、こうしてワイワイ旅するのも悪くないよね？」

シリルは ため息をつきながら、それでもどこか微笑ましく思った。

「……まぁ、そうかもな。」