処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

黒焔と蒼雷の咆哮

「ヴァルゼオス……次は、貴様だ」

レオンが剣を構えた瞬間、空が震えた。
黒き翼が空を覆い、竜王の眼が赤黒く光る。

「面白い……たった一人で我に挑むか。人の身で、神と竜に抗うか」

ヴァルゼオスが翼を広げ、魔力が天地に満ちた。

天が裂ける。
《黒炎滅界・ネザーフレア》――再び現れる、終焉の咆哮。
空を焼き尽くす漆黒の火柱が、王都全土を呑まんと襲いかかる。

しかし。

「《絶炎断光――イレギュラー・クルセイド》！」

レオンの剣が蒼光に包まれ、炎を両断するように振り下ろされる。

轟音と閃光が交差した瞬間、空間そのものが“抉られた”。

黒と蒼。
憎しみと怒り。
裏切りと誓い。

すべてが一閃に詰め込まれる。

だが――

「遅い」

ヴァルゼオスの尾が疾風のようにうねり、レオンを薙ぎ払う。

「ッ……！」

レオンの身体が空を裂いて吹き飛ばされ、砕けた建造物に叩きつけられる。

「まだ……倒れないッ！」

瓦礫の中から立ち上がった男の瞳は、なおも燃えていた。
その背には、守るべき“かつての仲間”の姿――そして、裏切りに沈んだ王都の影。

レオンが地を蹴る。
蒼雷が再び走り、竜の首へ向けて駆け上がる。

「《魔王斬剣・カルマ・ブリンガー》！！」

閃いた剣閃が、竜の角を裂き飛ばす。

咆哮。
怒り。
そして、闇が渦巻く。