ガチャガチャガチャ 〜職業「システムエンジニア」の僕は、ガチャで集めた仲間とガチャガチャやっていきます〜

noah太郎

文字の大きさ
99 / 290
第二章 始まる争い

34話 黒き覚醒

しおりを挟む

「グオォォォォォォォォ!!」


大きな咆哮を上げた『ウィングヘッド』が、体にまとわりついた氷を破り始めた。
その様子は怒り狂い、動かせる触手を振り回している。


「だいぶ怒っとるな。そろそろ氷が溶ける頃か…イノチ!まだ終わらんのか?!」

「あと少し…ゼンさんのでおおかた理解できてるから、もう終わるよ!!」

「よし!それまで時間を稼ぐぞ!フレデリカ、エレナ!加勢しろ!ミコトはサポートを頼む。」


三人はゼンの言葉にうなずく。
フレデリカとエレナが駆け出したのと同時に、ミコトが詠唱を始めた。


「大地を照らす聖なる光よ、災厄に立ち向かう勇敢なる者に、光の加護を与えたまえ。」


詠唱とともに、ミコトの周りには淡い蒼色のオーラが漂い始め、それに呼応するようにミコトが手に持つ『エターナル・サンライズ』も輝き始める。


「ウォール!!」


ミコトがそう唱えると、エレナ、フレデリカ、そしてゼンの体をその蒼い光りが覆っていく。


「よし!二人は触手をできるだけ切り落とせ!氷でだいぶダメージは与えておるから、今の触手ならお前たちでも対応できる!ただし、再生が早いから注意しろよ!」


ゼンがそこまで言うと、『ウィングヘッド』が全ての氷を砕き、怒りにまかせて突進を始める。
ゼンはそれを体で受け止めて、その動きを封じると、エレナたちが触手を切り落としていく。

再生しそうになる触手に対して、先ほどよりも細かくコントロールできるようになった氷魔法で、それらの触手を凍らせて再生させないようにしていくゼン。

そうしながら、少しずつ『ウィングヘッド』との距離をとりつつ、その動きを抑えていく。

触手の数も減り、身動きも取れず、なす術なく体力を削られていく『ウィングヘッド』を見て、エレナは好機と判断した。


「あたしにまかせて!!」

「エレナ!勝手なことをするな!トドメはウォタがきてからだ!」

「大丈夫、ここまで弱ってるんだから、あたしでもやれるわ!『影縫い』!!」

「ちぃっ!フレデリカ!エレナを止めろ!!」


一瞬、ゼンがなぜ焦っているのかわからなかったフレデリカは、エレナを追うのに躊躇する。


「フレデリカ?!くそっ…先に伝えておけばよかったか!」


追うのをためらったフレデリカを見て、遅れながらゼンが自らエレナを追う。

そして、スキル『影縫い』が発動する前にと、その手を伸ばしたが、あと一歩及ばなかった。

スキル『影縫い』はすでに発動し、エレナの姿がフッと消えると、赤い軌跡が描かれていく。

そして、『ウィングヘッド』の体に三連の斬撃が加えられた。

最初の時とは違い、全ての斬撃が『ウィングヘッド』の体にダメージとして残り、赤黒い血飛沫と悲鳴が上がった。


「くっそ!イノチ!ウォタはまだか!このままでは全滅するぞ!!エレナ、フレデリカ!ミコトを連れてイノチのところまで戻るのだ!!!」

「はぁ?ゼン…いったい何を言って…攻撃はとおってるじゃない。」


一人叫ぶゼンに対し、エレナが訝しげな表情を浮かべたその時であった。


「ゲギィギャァギィィィガガガガ!!!!!!」

「なっ…なによ、こいつ!!いきなり気持ち悪い声だして…」

「始まった!!まずい!!」


今まで聞いたことのない咆哮を上げる『ウィングヘッド』。
そして、体の中から真っ黒なオーラが発生し、その身を包み込んでいく。

何かを察したゼンは、『ウィングヘッド』の横にいるエレナの元へ急ぎ来ると、その体を拾い上げ、イノチのところへと思いきり放り投げた。


「きゃぁぁぁ!何すんのよぉぉぉ、ゼェェェン!!」

「フレデリカ!!早くミコトをつれて離れろ!!」

「…っ!?」


『ウィングヘッド』の突然の変化に目を奪われていたフレデリカも、ゼンの咆哮で正気に戻り、ミコト担いで急ぎ距離を取る。


「…ちっ、始まったか。あぁなる前に終わらせたかったのだが…」

「ウォタ…あれはなんなんだ…」


キーボードを走らせながら問いかけるイノチに対し、ウォタは小さく答えた、


「覚醒だ…」

「覚醒…?なんだよそれ…」

「奴の中には憎悪が渦巻いとる。それを刺激しすぎるとああなるのだ。我らはあれを"覚醒"と呼ぶ。あれはタチが悪いでな…ゼンもわかっていたから我の解呪を待っていたのだろう。イノチ、解呪はあとどれくらいで終わる?」

「あとは最後の部分を書き直すだけ!30秒もかかんないよ!」


ウォタはその言葉にうなずいた。


「ゼン!30秒もたせられるか!?」

「30秒か…ギリギリといったところだ!」

「よし、死ぬな!」


ウォタのその一言に、ゼンは一瞬、拍子抜けしたような顔をするが、すぐに気を取り直して『ウィングヘッド』を見据える。


「死ぬなとは簡単にいってくれる…もちろんそのつもりだがな!!」


黒いオーラで包まれた『ウィングヘッド』。
ゼンの見据えるその先で、まるで卵の殻を剥くように黒いオーラが剥がれ落ち始める。


「なんなのです…あれわ。」


驚愕の表情を浮かべるフレデリカ。
その横でエレナもミコトも、言葉にできず固まっている。

黒いオーラの中から現れたそれは、先ほどまでの姿形とはまったく違う異形だ。

エレナたちと同じ"人型"で、気持ちの悪い房も触手もない。
体を覆っていた羽毛もなくなり、つるりとした肌が見える。

しかし、全てが漆黒。
そして、全身に大小の瞳が無数についているのだ。

それらは独立的にキョロキョロとあたりをうかがっているが、頭のてっぺんから口の部分まである縦長の大きな瞳だけは、ジィッとゼンを見据えていた。


「キキョガキ…」


そう意味のわからない言葉をつぶやいた瞬間、その漆黒の異形がゼンに向かって飛びかかる。


「やはりそう来るか!!」


無造作に繰り出された異形の手をいなすと、ゼンは尻尾で打ち抜いた。
しかし、吹き飛ばされて砂ぼこりを巻き上げながら壁に激突した異形は、何事もないかのように、すぐにまた飛びかかってくる。

再び始まる激しい戦いに、エレナもフレデリカもみミコトも、ただ見つめることしかできない。

彼女らの心の中は悔しさでいっぱいだった。

一瞬、ゼンが体勢を崩してしまう。
その隙を逃さない異形は、小さな足でゼンの巨躯を蹴り抜いた。


「しまっ…ぐはっ!!」


蹴り飛ばされて、一直線に壁に激突するゼン。
それを見送った異形は、くるりとエレナたちの方を向いた。


「ゼンさま!」

「フレデリカ!来るわよ!!ミコトは離れてなさい!」

「でも!」


一瞬、嘲笑ったかのように大きな瞳を歪ませた異形は、今度はエレナたちに向かって飛びかかってきた。

ミコトを突き飛ばし、二刀のダガーを構えて応戦しようとしたエレナだが、あまりの素早さに目が追いつかない。
突然、目の前に現れた異形に目を見開いたのも束の間、そのまま顔を掴まれて後頭部から地面に叩きつけられる。


「エレナ!!」


今度は、叫んだフレデリカへと飛びかかる異形。

突然目の前に現れた異形に一瞬驚くも、フレデリカは伸びてきた手を掴んで、両手で組み合った形になる。


「あぁぁぁぁぁぁ!!」

「フレデリカさん!」

「あなたは下がってなさい!!」


青筋を立てて、力を込めるフレデリカに対して、異形はまったく意に解さないといった様子で相対している。


「舐めやがってですわぁぁぁ!!」


さらに力を込めるフレデリカだが、異形の筋肉が両肩から盛り上がり、そのまま二の腕、肘、腕、そして、手と移動してくる。

そして、フレデリカの両手をそのまま握り潰そうとしてきたのだ。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!くそぉぉぉっ!!!」


痛みに顔を歪めながらも、必死に抵抗するフレデリカだが、そのまま押し込まれて膝をつく。

それを見て、異形はニマァッと笑った。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

教養が足りない、ですって

たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

愚かな側妃と言われたので、我慢することをやめます

天宮有
恋愛
私アリザは平民から側妃となり、国王ルグドに利用されていた。 王妃のシェムを愛しているルグドは、私を酷使する。 影で城の人達から「愚かな側妃」と蔑まれていることを知り、全てがどうでもよくなっていた。 私は我慢することをやめてルグドを助けず、愚かな側妃として生きます。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

処理中です...