ガチャガチャガチャ 〜職業「システムエンジニア」の僕は、ガチャで集めた仲間とガチャガチャやっていきます〜

noah太郎

文字の大きさ
104 / 290
第二章 始まる争い

39話 盾っこ 僕っこ ドジっ子

しおりを挟む

「黒球か…レアリティは何なんだろうなぁ。」


イノチは『Result(結果)』の画面を見ながら、そうつぶやいた。

結局、ガチャの結果は白球が8つ、金球が1つ、そして、黒球が1つだ。


「そういえば、フレデリカの時は吹き飛ばされて何色か見てないんだよなぁ…黒は今まで見たことないけど、虹球『SR』より下ということは考えにくいし、期待はできるか…」


イノチはそう言いながら、淹れてきたコーヒーカップを口へと運ぶ。酸味が口の中に広がり、心地よい香りが鼻を抜けていく。

コーヒーを飲みながらタップすると、画面は暗転し、『NOW LOADING』の表示が現れた。


「黒は『UR』か…はたまたその上か…」


ニヤニヤしながら結果を待つイノチは、コーヒーカップをテーブルに置く。

そして、画面が再び明るくなると、獲得した順にそれぞれの結果が姿を現し始めた。


「ポーション、強化薬、気つけ薬…これはダンジョンで俺が飲んだやつだな…で、ポーション、ポーション、Mポーション…」


先に白球が全て開かれていく。
8つの白球では消費系アイテムと、『魔導の杖(N)』と『ガントレット(N)』の装備2つを引き当てた。

残りは金球と黒球。


「よし…まずは金…え?黒からなの?なんで…?」


規則性が良くわからず首を傾げるイノチをよそに、画面には黒球が大きく現れ、まばゆい光とともにその結果が開かれていく。


「まっ…まぁいいけど。さて、頼むぞぉ~『盾士』こい!」


そう両手を合わせて祈るイノチの前で、金色に輝く光とともに目の前に現れたのは、人間一人をすっぽりと覆えるほどの大きな盾だった。


「これ…タワーシールド…か?レアリティは……って、うそだろ!!!?」


その盾の上に表示されているレアリティを見て、イノチは驚愕する。


「『SUR』…スーパーウルトラレア…マジか…」


今まで引いた中で、1番高いレアリティであった。
しかし、歓喜に打ち震えるも、重要な事実に気づいたイノチは表情を暗くした。


「だけど、誰が使うんだよ…これ。俺だってこんな重そうなやつ持てないし…ってか、そもそも『盾士(ガードナー)』専用武器って書いてあるじゃん…」


イノチは大きなため息とともに頭を抱えた。

終わった…
なんの成果もだせなかった…いや、成果はあったと考えあるべきか。

"誰も使えない"高レアリティ武器がでたのだから。

しかし、みんなへの言い訳が思い浮かばない。
高レアリティが出たということだけでは、おそらく言い訳にはならないだろうから。

フレデリカあたりに一蹴されて終わりだ。


「前回の爆死を引きずってるな…これは…運が俺から離れていってる…くそぉ…」


自分の膝を叩くイノチ。
安易に『黄金石』全部を使ってしまったことを、よほど後悔しているのだろう。
その手は小さく震えている。


「もっとよく考えてガチャを引けばよかった…いくら回しても高レアリティが出ないなんてことは、よくあるって知ってたのに…異世界のガチャだからって調子に乗りすぎたんだ…」


防御に徹してくれる仲間を手に入れて連携できれば、自分も戦いに参加できる。

ガチャを回した理由は、自分のためだけではない。
自分もみんなの力になりたい一心で、『盾士』の獲得を考えたのだ。

この『ハンドコントローラー』を使って、みんなのサポートだけでなく、敵に必殺の一撃をお見舞いできると考えていたのに…


「まさか、いない職業の専用武器が最高レアリティで排出されるなんてよぉ…たしかにソシャゲじゃ、よくあることだけど…なにもこんな時に…」


打ちひしがれるイノチは、ガチャの結果の確認が途中だったことに気づいて、画面へと目を向けた。


「…まだ金が残っていたっけ。とりあえず結果だけでも確認しようかな…」


弱々しく画面をタップするイノチ。
しかし、画面はなんの反応も示さない。


「あれ?金の結果は…?」


不思議に思ってよくよく画面を確認すると、金の結果はすでに出ていることに気がつく。


「まっ…まさか、落ち込んでる間に終わっちゃった…?」


金の結果には、黒いシルエットが表示されている。
その形状からは何を獲得したのかはわからないため、イノチは詳細ボタンに触れようと、手を伸ばしたその時であった。


「うわぁぁぁぁ!この剣かっこいい♪こっちは盾だ!!キラキラしてるなぁ♪」

「なっ…!?だっ…誰だ!?」


突然、後ろから聞こえた甲高い声に驚いたイノチは、とっさに立ち上がって『ハンドコントローラー』を発動し、相手にそれを向ける。


「あ"あ"っ!!ごめんなさい!驚かしちゃったですかね!」


声の主はそんなイノチに気づいて、焦りながら頭を大きく下げた。軽装の鎧がガチャガチャと鳴り、背負っていた大きめの盾がガチャンッとずり落ちて床に当たる。


「わわわっ!!」


その反動で頭から一回転して、目の前に仰向けに転がった人物に対して、イノチは恐る恐る声をかけた。


「大…丈夫…か?」

「うぅ…痛ててて。ありがとうございます。大丈夫です…が…」

「が…?」

「こうなると盾が重すぎて自分では立ち上がらないんですよぉ~起こしてくれませんかぁ?」


まるでひっくり返ったカナブンのように、両手両足をジタバタさせる彼を見て、イノチは思う。


(かっ…可愛いな…)

「もぉぉぉ!早くお願いしますよぉぉぉ!!」

「はっ!…ごめん!」


そう催促され、イノチは我にかえると手を差し出した。


「ありがとうございます♪よいしょっと…」


その手は小さく、まるで子供のようだった。
起き上がっても、イノチの胸あたりまでしかない背丈。
それでいて、背中には大きな盾を背負っているためか、余計に小さく見えてしまう。

顔立ちは美少年とも美少女とも言えるほど、中性的で整っており、とても可愛らしい。

そして、何より特徴的なのは、銀色の短髪と翡翠色に輝くきれいな瞳である。

その目をパチクリさせてながら、自分を眺めるイノチを見ると、彼は恥ずかしそうにモジモジと自己紹介を始めたのだ。


「あっ…あの…僕はアレックス=アンダーソンって言います。BOSS…ぼっ…僕の顔に…何か…ついてますか?」

「…ん?…いっ…いや!別にそういうわけじゃないんだ!」
(やばいやばい…見惚れてた。BL属性なんて俺にはないはずなのに!…たぶん。)


頬を染め、うるうるとさせる瞳に見惚れていたイノチは、ハッとして頭を振る。


「おっ…俺のことをBOSSって呼ぶってことは、君はもしかして、ガチャから出てきた新しい仲間ってこと?」

「はい!そうです♪職業は『盾士』で、得意なポジションは超前衛です!!攻撃はまったくできませんが、精一杯がんばりますので、よろしくお願いします♪」


その愛くるしい笑顔に心を奪われそうになるイノチだが、なんとか堪えることに成功する。


(なっ…なんて破壊力だ!まるで…心が洗われるような…純粋無垢そのものじゃないか!)


そんなイノチの様子を見て、ニコリとしながら首を傾げるアレックス。


「BOSS~?大丈夫ですか?」

「あ…あぁ、問題ないよ!それより、俺はイノチって言うんだ!これからよろしくな!」

「はい♪よろしくです…っうわぁ!!!」


イノチの言葉に対して、礼儀正しく頭を下げたアレックスは、再び背中に背負った盾の重みで一回転して仰向けに倒れ込んだ。


「アレックスって…もしかして意外とおっちょこちょいなのか…?」

「うわぁぁぁん!ごめんなさい、BOSSぅぅ!」





翌日。
目の前のテーブルが、バンッと叩かれる。


「さて、BOSS。洗いざらい全部を説明してもらいましょうか。」
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

教養が足りない、ですって

たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。

愚かな側妃と言われたので、我慢することをやめます

天宮有
恋愛
私アリザは平民から側妃となり、国王ルグドに利用されていた。 王妃のシェムを愛しているルグドは、私を酷使する。 影で城の人達から「愚かな側妃」と蔑まれていることを知り、全てがどうでもよくなっていた。 私は我慢することをやめてルグドを助けず、愚かな側妃として生きます。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...