ガチャガチャガチャ 〜職業「システムエンジニア」の僕は、ガチャで集めた仲間とガチャガチャやっていきます〜

noah太郎

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第三章 ランク戦開催

85話 見透かされていた心の傷

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ゲンサイたちの目の前で、八岐大蛇は苦しみながら体を丸め、頭を埋めてく。


「おい、オロチの奴…なんだか体が小さくなってないか?」


ゼンの言葉の通り、ガクガクと震えながら呻き声を上げる八岐大蛇の体は少しずつ縮んでいるようだった。


「いったい…な…なにが起きてるの…?」


ミコトが心配げにつぶやく。
その横ではタケルも八岐大蛇を見つめているが、同じように瞳には焦りの色がうかがえた。

そんな中、額に汗を浮かべながらも好奇心を目を向けるゲンサイ。


「…みの因子…」

「…なっ!?それはまさか!」


小さくつぶやいたゲンサイの言葉に、ゼンが驚き反応する。


「え…ゼンちゃん、どうしたの?ゲンサイさんはなんて…」

「いや…これは…」


その様子を見ていたミコトがゼンに問いかけるが、ゼンは何か言いにくそうにしている。

横で見ていたタケルも訝しげに思い、ゼンに声をかけようとしたその時だった。

八岐大蛇の体が、突然大きく輝き始めだのだ。
ミコトもタケルも驚いてそちらに目を向ける。


「そろそろだな。ゼン…あんた、奴が今からどうなるかわかるだろ?」

「…覚醒か…」


ミコトたちに聞こえないように問いかけてくるゲンサイに対して、ゼンは悔しげにつぶやいた。

その間にも、八岐大蛇の体は発光しながらみるみると収縮していく。


「これは…」

「八岐大蛇は…どうなるの?」


光が強過ぎて詳細はわからないが、タケルもミコトも八岐大蛇の行く末を固唾を飲んで見守っていた。

そして…

一瞬強い光を放ったかと思えば、その光は霧散し、キラキラと光の粒子が舞い上がる。

眩しさに目を細めながら、皆が八岐大蛇へと注目する。

するとそこには、両膝をついたままの姿でうつむく男の姿があった。

少し紫を帯びてはいる漆黒の長髪。
その髪のせいで表情はわからないが、臀部からは黒い尻尾が2本、ゆらゆらと立ち上がっている。


「こっ…これって…ゼンちゃん?!」


何かに気づいたようにゼンに目を向けるミコト。
ゼンはさらに小さくうなづいた。


「あぁ、覚醒体だよ…ウォタの時と同じだ。」

「やっぱり…」


その言葉に対してタケルが疑問を投げかける。


「かっ…覚醒体だって?いよいよヤバそうな響きだね。」


苦笑いするタケルの言葉に、今度はゲンサイが反応する。


「ヤバいだけで済めばいいな…ククク…」

「嫌なこと言うなよな…ったく、ここまで来たら覚悟を決めないとな…」

「でも、なんで突然覚醒なんか…」


ミコトの疑問にタケルがため息をつく。


「理由は分かんないけどさ…さっき奴に入り込んだ光の粒子が原因じゃないの?」

「おそらくそうだろうな。その光が何かは知らねぇが、それで間違いないだろう。」

「……」


皆が話す中、ゼンは無言だった。
なぜならば、彼の中には一つの感情が渦巻いていたからだ。

"嫉妬"と"羨望"
自分が強く望む力を手にした同類たちへの妬み…


(くそ!いまだに私の中にはこのような気持ちが…)


それに気づいて、歯を食いしばる。

ミコトと共に強くなる。
そう納得したつもりだったが、彼の中にある強さへの渇望は消えていなかったのだ。

しかし、そんな四人の前で脱力していた八岐大蛇がゆっくりと顔を上げた。

つむっていた目をゆっくりと開いていく。


「ふぅ…なんだかめちゃくちゃ良い気分だ。」


黒い双眸の中に赤く染まる瞳が四人を捉えた。
そのまま八岐大蛇はゆっくりと立ち上がり、膝を払う動作をする。


「はぁ…なんだか不本意だぜ。こんな形で覚醒体になるとはなぁ。」


膝を払い終え、体を起こして頭をかきながらため息をつく八岐大蛇に対して、ゲンサイが剣を構えると他の三人もそれにならう。


「まぁいいや…とりあえず、てめぇらをぶちのめしてさっさと終わらすわ。」


その瞬間、八岐大蛇の姿が消えた。

唖然とする三人をよそに、ゲンサイだけはその動きについていく。

ガキッと鈍い音が鳴り、それに気づいたタケルとゼンがそちらに目を向ければ、ミコトに襲いかかる寸前で八岐大蛇を受け止めるゲンサイがいた。

ゲンサイの剣と八岐大蛇の拳がギリギリと音を立てる。


「てめぇ…弱いものいじめか…?」

「何を言っている…その女はお前以外で唯一俺に脅威を感じさせたんだ。先に殺っておくのが道理だろうが…」


そうかわした二人は再び姿を消した。
ミコトは二人の会話で自分が狙われたことに気づいて、その場に座り込んでしまう。

八岐大蛇とゲンサイの撃ち合いが始まった。

ゼンもタケルも、目の前で繰り広げられる攻防には、目を追いつかせるのがやっとだった。


「こっ…これは…覚醒体ってのはこんなにヤバいのかい?今までの竜の状態なんてまるで…」

「あ…あぁ…我ら竜種の力から一切の無駄を省き、人間体という一番効率的な状態に収束させたのが"覚醒体"だ。力もスピードも全てにおいて最大限に向上する。」

「そ…そうなのかい。もはや反則だね…だけどさ…」

「言いたいことはわかるぞ…」


ゼンもタケルも八岐大蛇と撃ち合うゲンサイに目を向ける。
八岐大蛇に負けず劣らずの動きを見せるゲンサイ。


「どうやったらあんな強さを手に入れられるんだ…」

「それは私にもわからん…」


二人が話す間にも八岐大蛇とゲンサイの攻防は続いていた。

八岐大蛇が硬化させた拳を振り抜くと、ゲンサイは腰を落としてロキの紋章が入った剣でそれをいなす。

頭上を過ぎゆく拳を見送りながら、ゲンサイは八岐大蛇の懐へと入り込むと、体を回転させてそのまま流れるように八岐大蛇の胴体を斬りつけた。

が、鈍い音がしてその剣は弾かれる。

弾かれた反動で体勢を崩し、後ろに吹き飛ばされるゲンサイ。

地面を削りながら両足を踏ん張っていると、今度は八岐大蛇が尻尾で追い打ちをかけた。

黒く太い尻尾が叩きつけられ、砕かれる地面。
四方八方に走る亀裂のあとを隆起する地面が追いかけていく。


「ちっ…手応えなしか。」


そうつぶやいた八岐大蛇の視線の先、砕かれた地面の上にゲンサイはいなかった。

その場に着地して後ろを振り向けば、小さく笑うゲンサイの姿があった。


「やっぱ覚醒体はすげぇな。」


そう笑うゲンサイに、黒い長髪を掻き上げながら八岐大蛇も笑う。


「俺はお前に驚いてるがな。いくら一度攻略したプレイヤーだとはいえ、竜種の覚醒体と同等の強さを持てるもんかよ…」

「…クク」


ゲンサイは何も言わずに笑っているだけだ。
その様子に八岐大蛇は大きくため息をつく。


「御方たちも何を考えているのやら…俺にはさっぱりだ。だがな、俺は負けるわけにはいかねぇ。」

「ほう…なんで負けられないんだ?興味があるな。」

「なぜかって?そんなの決まっている。今は俺が最強の竜種だからさ。ウォタの野郎が死んだらしいからな!ガハハハハ!しっかし、理由は知らんが…奴が死んだと聞かされた時は驚いたぜ。」


その言葉を聞いた瞬間、ゲンサイがハッとし固まった。
八岐大蛇はその一瞬を逃さない。


「やっぱそうか…」


瞬時にゲンサイの懐に飛び込んだ八岐大蛇は、醜悪な笑みを浮かべた。


「しまっ…!」


ゲンサイは対応しようとしたが間に合わず、八岐大蛇の拳が腹部にめり込んでいく。

メキメキと何かが折れる音をたてながら、八岐大蛇が拳を撃ち抜いた。

ゲンサイはそのまま後ろに吹き飛ばされ、木々をなぎ倒し、そのまま大きな岩に全身を打ちつける。


「グッハァッ…」


ひびが走る岩の上で血反吐を吐くゲンサイ。


「とりあえず、寝とけよ!」


そんなゲンサイの前に瞬時に移動してきた八岐大蛇は、容赦なくもう一度ゲンサイの腹部を撃ち抜いた。


「ガハッ…」


無防備の状態で再び攻撃を受けたゲンサイは、そのまま気を失ってしまう。

それを見た八岐大蛇はニヤリと笑うとゆっくりと振り返り、ゼンたちの元へと戻っていった。
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