灰色のエッセイ

板倉恭司

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実家にいた猫と犬の話

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 私の実家には、猫が二匹おりました。さらに、犬も一匹いました。実のところ、一時期は犬に猫に兎に亀と、四種類の動物が住んでおりました。

 さて、猫は雄と雌の夫婦でした。家に来たのは生まれて間もなくでして、すくすく育っていきました。犬や兎とも、仲良くやっておりました。
 やがて、猫夫婦は仔猫を産みました。一度に四匹も誕生しまして、そのため一時期は猫が六匹いたのです。
 仔猫たちは、お互い仲良くやっていました。ところが、そのうちの一匹は、成長するにつれウチの犬に異様な闘志を燃やすようになっていったのです。
 件の仔猫は、寝ている犬を見かけると表情が変わります。耳をピンと立て、顎を引き上目遣いで睨みながら、そっと近づいていくのです。犬は犬で「ああ、またあいつ来てるな」みたいな様子で知らん顔しています。
 やがて仔猫は突撃し、猫パンチを食らわしていきます。犬の方は、面倒くさそうな顔でされるがままになってました。そうなると、仔猫はますます調子に乗り犬の頭を前足で掴んでの猫キック……そこで、ようやく犬は反撃してました。
 しかし、さすがに実家で六匹は飼えません。四匹の仔猫は、親戚や近所の家にもらわれていきました。件の仔猫も、親戚の家にもらわれていきました。
 すると、犬にも変化が起きたのです。時おり「あいつ、どこ行ったんだ?」とでも言いたげな寂しそうな顔で、あちこち探すような仕種をしてました。まあ気のせいかもしれないですが、何かかわいそうでしたね……。



 今になって思うことがあります。ひょっとして、件の仔猫の前世は犬だったのかもしれない……と。ただそれだけの話でした。







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