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分隊長
しおりを挟む「こ、これはこれは。良くぞここにお越しになさられました。」
村長がそんな態度を取る相手は、この国の兵の分隊長に当たるような人だった。
「そんなかしこまらなくて良い。
それに、今回に関しては、全国の市町村を回って、現状どうなっているのかを調べるためにきているのだ。」
「あの~。その検査で、この村の価値がないと断定されるようなことってあるのでしょうか?」
「いや、ない。
まぁ、貧しい村だったら、ある程度は国のほうから援助金が出るだろう。」
「そ、そうだったんですか…」
「しかし、その援助金を使って、何の成果も得られなかったら、さすがに王都のほうから呼び出しがあるな。」
その話を受けて、村長はビビッてしまった。
「安心しろ。
成果がないというのは、金を渡したのに、餓死をするような人を救わないことだ。」
「つ、つまり?」
「成果というのは、何も村をその金で改造して、良い街にしろといっている訳ではない。
ただ、その金で食料でも買って、出来るだけ人が死なないようにすれば、それだけで成果ありと判断される。
呼び出しというのは、もらったその土地のトップが私的な意味で、その金を使っていないかの調査だから安心しろ。」
「分かりました…」
それでも、自分の力が及ばず、あまり死者数を減らすことが出来なかったら、どうしようと考えていた。
「それよりも、今日はどこに泊まれば良い?」
「すいませんが、我が村にはそこまで住居が無いのですよ…」
「余っている家を貸してもらえれば結構だ。」
「しかし、今日、他にも来訪者がいて、その方が泊まっているのですよ。」
「そうだったのか。」
「ですので、泊まろうとすると、相部屋になってしまうのです。」
ここで、普通の人だったら、急いで次の街に行くなど下だろう。
しかも、分隊長だ。一般人と寝ることにさえ憤りを感じてしまってもおかしくはない。
しかし、彼の場合、過去のことからそうにはならなかった。
「安心してくれ。私は実は、国の兵になる前は、スラムのものだったのだ。
これに関しては、いろいろな人が知っているから気にしなくて良い。」
元々、彼はスラムにいた。
しかし、彼は努力をした。
結果としては、スラム出身ということで、若干の点数を引かれてしまったが、それでも兵になる資格をもらえたのだ。
「だから、私は相部屋に関しては、特に抵抗がないから、安心してくれ。」
しかし、この決断は、部屋で今後のことを考えている、領主には絶体絶命の状況を作り出してしまったのだ。
彼は、分隊長。
兵の階級としては、総隊長の下。
つまり、複数人いるとはいえ、兵の中で、2番目に偉い役職なのだ。
もちろん貴族の、名前や顔なんかはしっかりと覚えている。
そして、領主は基本的に自分の領から出ない。
出るとしても、王都に向かうときや、他の貴族との会談のときだけだ。
少なくとも、従者を1人も連れずに歩いていることには、疑問を抱かれてしまうだろう。
そして、彼には、一時的に、王都のほうに連絡をする手段も持っている。
つまり、領主からすると、ばれるだけでアウトが決定してしまうような状況になってしまったのだった。
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