え?聖女って、女性がなるものだよね? ~期間限定異世界救済プロジェクト~

月夜野レオン

文字の大きさ
20 / 68
第一部  離宮編

20.これから

しおりを挟む
「……ふわぁ~………んん?もう昼か…?」 

ヤバい、寝過ぎた。 

昨日は城に帰ってから大騒ぎだった。 

酒も振る舞われて、もう全員でドンチャン騒ぎ。 

俺は未成年だから飲んでなかったけど、達成感で舞い上がってしまった。 

酔っ払い達と一緒になって、叫んで踊って食べまくって、ついでに部屋の中でパルクールを披露してみた。 

テーブルや窓枠をヒョイヒョイと飛び越えて壁を蹴って回転したりすると大歓声が上がって、俺はご機嫌になってガンガン技を披露した。 

疲れて座り込んだところで大興奮した兵士達に囲まれ、飲み物を注がれてグビグビ飲んだら目が回って、そこから記憶が無い。 

どうやら間違って酒を注がれたらしい。 

最後に目に入ったライド王子の顔がスゲー焦ってたな。 

でも頭も痛くないし、吐き気やムカつきも無い。 

幸いにも二日酔とか急性アルコール中毒にはなっていないようだ。 

ラッキー、俺ってば飲める体質かもな。 

 

食堂に行くと、そこかしこに屍が突っ伏していた。 

あ~、はっちゃけ過ぎたよね。 

まあ昨日はしょうがないよな。 

俺は普通に腹が減っていたので、いつも通りのボリューム満点朝食を頼んでご機嫌で食べ始めた。 

そこへライド王子とテッセルが入って来た。 

「お~、おはよう。ライド王子、テッセル」 

「おはようございます、アキラ。昨日倒れたので心配していたのですが……大丈夫のようですね」 

ライド王子は少し顔が青いが、酷い二日酔いではなさそうだ。 

俺の皿に盛られた食事のボリュームを見て、苦笑している。 

「そんなに飲んではいなかったようですし、疲れの方が強かったのでしょう。気付け薬は必要ありませんな」 

テッセルは、ほっほと笑って、死んでる兵士達に二日酔いの薬を配りにいってしまった。 

用意万端だな~、さすがはテッセル。 

ライド王子は給仕にスープだけ頼むと、俺の向かいに座った。 

「頭は痛いですが、こんなに清々しい朝は初めてですよ」 

「だな。俺も」 

ニコニコしてる王子に、俺もつられて笑う。 

まだ問題は山積みだけど、まず第一歩は大成功だもんな。 

ニヤけるって。 

水のグラスで軽く乾杯してると、ザウスとリネルも食堂にやって来た。 

リネルは頭を押さえて呻いてるけど、ザウスはケロリとしてる。 

昨日浴びるように飲んでたってのに、バケモノ並みの酒豪だな。 

一番飲んでたぞ?こいつ。 

「おはよう、ザウス。リネル、テッセルに薬を貰うといい」 

「おはようございます王子、アキラ。そうします~」 

ヨロヨロとテッセルに薬を貰いにいくリネルを苦笑しながら見送ったライド王子は、ザウスに午後一番に主要メンバーを会議室に集めるように指示した。 

「了解しました。現在の状況もまとめて報告させましょう」 

ザウスに一緒に朝食を食べようと言ったら、もう済ませていて、これから町の見回りをしてくるんだと言って食堂を出て行った。 

マジか、マジもんのバケモノか。 

「ザウスが酔っぱらったところは一度も見たことがないよ」 

俺の凝視にライド王子が苦笑しながら答えてくれる。 

……マジもんだった。 

 

 

「さて、まずは現在の進捗の報告を」 

午後の会議室は、全員キリッとした顔で集合していた。 

テッセルの二日酔い薬はスゴく優秀みたいだ。 

「広場の水場は、朝から通常稼働しています。水位も安定していますが、定期的に担当に確認と報告を上げるよう指示してあります。リルの木は朝一で大工達が解体して畑の資材として運んで行きました」 

大工達、仕事はやっ。 

「畑の方は?」 

「そちらも順調です。野菜と薬草は順次出荷され、選果場の横にリルの石鹸を作る工場を建設中です」 

お~、いいね。 

そこでも香り付き石鹸を作るようになれば、それも出荷できる。 

スイカは離宮の菜園に専用区画を作ってるけど、そこも人を雇って作業してもらうことになる。 

雇用も安定するな。 

特産品としては、十分な種類が確保できた。 

「そういえば、城の水は今後どうするのですか?」 

リネルがはっとしたように聞いてきた。 

もちろん、それも考えてある。 

「本当は城の方でも井戸を掘れれば一番いいんだが、時間がない。なので城の菜園には広場から水路を引いてくる」 

水路の敷設は、兵士達も慣れたものだから、すぐに出来るだろう。 

一元管理した方が管理も楽だしたしな。 

「ただ、城自体は高い位置にあるから、そこには別の方法で水を引く」 

俺は離宮の菜園の横にも貯水池を作る案を出した。 

そして、そこから風車と水車を組み合わせる方法を説明した。 

ここは岩山に当たる風が常時吹いてるので、それを利用して風車と歯車を組み合わせて、更に水車を接続すれば人力を使わずに水が汲み上げられる。 

「おお……こんな効率的な方法があるとは…」 

簡単な図を書いて説明すると、おお~と感嘆の声が上がる。 

とにかく、省人化しないとな。 

人手は有限だ。 

建設に関しては、ザウスに適任を選んでもらおう。 

俺達は次の問題に着手しないとならないから。 

 

ライド王子達と別の部屋に移動しようとドアを開けると、階段から伝令の兵士がバタバタと上がってきた。 

うお!慌て過ぎて、足がもつれてるぞ。 

そこでコケたら下まで落ちるから。 

「たっ、大変です!アデル様が……アデル様がいらっしゃいました!」 

「なんだって!?」 

王子もみんなもビックリして慌てている。 

えっと………アデルさんって、誰? 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話

ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。 異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。 「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」 異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~

さとう
ファンタジー
生まれながらにして身に宿る『召喚獣』を使役する『召喚師』 誰もが持つ召喚獣は、様々な能力を持ったよきパートナーであり、位の高い召喚獣ほど持つ者は強く、憧れの存在である。 辺境貴族リグヴェータ家の末っ子アルフェンの召喚獣は最低も最低、手のひらに乗る小さな『モグラ』だった。アルフェンは、兄や姉からは蔑まれ、両親からは冷遇される生活を送っていた。 だが十五歳になり、高位な召喚獣を宿す幼馴染のフェニアと共に召喚学園の『アースガルズ召喚学園』に通うことになる。 学園でも蔑まれるアルフェン。秀な兄や姉、強くなっていく幼馴染、そしてアルフェンと同じ最底辺の仲間たち。同じレベルの仲間と共に絆を深め、一時の平穏を手に入れる これは、全てを失う少年が最強の力を手に入れ、学園生活を送る物語。

処理中です...