入れたいのに入れたいのに入れたいのに「ピュルッ」と出てしまう「元ショタ勇者」の物語

人外倫理

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第二部

闇墜ちポチタロウと、スーの挑戦状(後)

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「6.5パーセント・・・」
「えっ?」



 ふいに、スーがそう呟いた。



「ポチにぃは、いつもより・・・6.5パーセント。頑張れなく、なってた」
「そう、なんだ・・・」
「うん」



(なんでスーは、そんなことを知ってるんだろう?)



 スーに返事をしながら、一瞬僕は、こんなことを考えた。でもすぐにその理由に思い当たった。



 そもそも、僕が「頑張れなくなっている」のを、見つけて解除してくれたのは、スーなのだ。スーがそれを知っていても、おかしくないような気がしてきた。



 (サファに宿っている大精霊見習い「ディネ」のAIキュウロクを使って)スーは、僕が「頑張れない状態」になっているのを発見してくれた。それを解除もしてくれた。その際にスーは、数値データも詳しく聞いたのだろう。すぐにそう察しがついた。



「頑張れなくなってたのを解除してくれた時に、数値データも聞いたの?」
「うん・・・。数字を、示すと、信憑性が、増す。タクローに、そう、教えて、もらった」
「そっか」
「うん」



 スーに確認してみると、こんな肯定の返事があった。



 でも、スーが言った「タクローに教えてもらった」の部分が、ちょっと気になってしまった。



 タクローさんは、スー達の村にいた門番さんだ(前にスーからそう聞いた)。スーを逃がしてくれた人だ。僕とスーが会えたのは、この人のおかげでもある。僕としては、感謝すべき人物だ。



 なのに僕は、そんな人に対して、ほんの少し嫉妬心を覚えてしまった。



ー 僕以外の誰かが、スーに何かを教えた。 ー



 そんなことに、ひっかかりを感じてしまったのだ。



(やっぱりまだまだ・・・全然ビッグじゃないな・・・。ごめんなさい、タクローさん・・・)



 そんなことを思いながらも(今度は)スーに、いろいろと話を聞いてみることにした。



ーーーーーー



「僕は、何がどういう風に、頑張れなくなってたの?」



 まずスーにこう聞いてみた。何かがおかしなことになっているような気はしたけれども、結局のところ「何が頑張れなくなっていたのか?」は、僕にはわからなかった。



「ポチにぃは、常に、6.5パーセント、頑張れなく、なってた・・・。全部のことが、6.5パーセントずつ・・・。頑張れなく、なってた」



 スーによると、どうやら僕は「常時、全てにおいて」6.5パーセント、頑張れなくなっていたらしい。



 ネオリスは僕に「全般的に」困難が訪れるようにしようとした。「全般的に」頑張れない状態になったのは、それが関係しているような気がした。



 6.5パーセント・・・。



 数値的には、そんなに影響がありそうには思えなかった。



 たったの6.5パーセント、頑張れなくなっただけで、僕はみんなにいろいろと、情け無いところを見せてきた。そんな自分自身を、むしろ不甲斐なく思った。



 スーには(やっぱり)僕の感情が丸わかりだったんだと思う。スーは僕に、こう語りかけてきた。



「我慢、したり。集中、したり。やる気を、出したり。決断、したり・・・。全部が全部、6.5パーセントずつ・・・頑張れなく、なってた。それは、すごく・・・大変なこと、だと、思う」
「そう・・・なのかな?」



 「我慢」について、(不謹慎にも)「挿入と早漏」のことを考えながら、僕はそう答えた。



「・・・うん。ボクは、そう、思う。それに・・・」
「それに?」



「ネオリスの、AIは、それで、ポチにぃの、心を、へし折れる、と、予測した・・・みたい。・・・でも、ポチにぃは、完全には、へし、折られ、なかった・・・。でっかい男に、なろうとして、失敗した・・・って、ポチにぃは、言ってた、けど・・・。ちゃんと、戻って、きて、くれた。・・・ポチにぃは、ちゃんと・・・。AIの、予測を、凌駕、した」



 スーはこう言ってくれた。ポツリポツリと、ではあるものの、僕の為に言葉をつなげてくれた。スーのそのけなげさに、また胸が少し熱くなった。



「ポチタロウのだんなは、スー氏の為に、戻ることを決意したでヤンス!」



 エクまで、こんな証言を付け足してくれた。



 エクのそのフォローにも、あったかい気持ちになりかけた・・・んだけれども、そもそもの話、誘惑してきたのは「エク本人」だった。(気づいた後で、なんだかやるせない気持ちになった><)



 ・・・というより、あの時の僕は、ほとんどへし折れていた><。闇墜ち状態だった><。糸目との対決の最中じゃなかったら、全部をほっぽり出して、逃げ出していただろう。



 ・・・そう思った。



「・・・スーがそう言ってくれるのは、嬉しいんだけど・・・。僕は半分くらいは・・・へし折られてたと思う・・・><」



 スーの気持ちを汲んで「ほとんど」を「半分」に言い換えた。でも「へし折られかけだったこと」は、正直にスーに伝えた。



 「半分」から連想して、こんなことも思った。



 (エクの誘惑を断れなかったのは、半分くらいは、ネオリスのAIのせいだったのかもしれない。半分くらいは、AIに責任を押しつけてしまっても、いいかもしれない・・・)



 何でもかんでも自責にしすぎるのも、それはそれで良くないのだろうと思った。僕の自己評価の低さは、これも原因の気がした。でも、続けて、こんなことも思った。



(でも「全部」をAIのせいにしちゃったら、きっとダメだ・・・。せめて残りの半分は、僕自身の責任として受け止めなきゃ・・・)



 そこからは逃げてはいけない気がした。(逃げ出してしまった後だったので、余計にそう思った)



 そんなことを考えていると、スーが、左手の親指と人差し指でLの字を作ってアゴの下に当てた。思案するような仕草をしながら、小さな声でこう言った。



「全部が、終わる、のを待つ、つもり、だったけど・・・いい機会、かも、しれない」



(何が、いい機会なんだろう?)僕は思った。



 そんな僕にスーが、左手の人差し指を、そのままゆっくりと突きつけてきた。



「今から、ボクが・・・。ポチにぃの、すごさを・・・ポチにぃに、わからせる」



 スーは淡々とそう言った。でも無表情さの中に、決意を秘めた顔をしていた。



 なしくずし的に、一緒に行動していて僕は忘れていた。スーが「ポチにぃをわからせる」と言っていたことを。



(まだスーは、僕をわからせるつもりだったんだ!?)



 思い出した後で(時間差で)こんな風に驚いたんだけれども、実際にスーはそれを口にしたのだ。僕をわからせるのを、やめるつもりはないらしい。



 そうしてスーは「創造主との決着」を、そっちのけで「僕をわからせること」を始めた。



■■■■■■
□□□□□□


闇墜ちポチタロウと、スーの挑戦状(後)


■■■■■■
□□□□□□



「まず、ポチにぃ、みたいに。この部屋の、間取りを、変えたい。いい? ポチにぃ?」



 スーはそう言うと、首を左にコテンとかしげた。 



 僕を「わからせる」と言ったスーは、どうやら僕と同じように、形から入ることにしたようだ。(スーの場合は「僕と同じ」が好きなので「形から入る」ってよりは、僕の真似をしたかったのかもしれない)スーは、間取りを変えたいと、言い出した。



「・・・うん。いいよ」



(どんな状況下であれ・・・。スーのコテンに、僕は勝てないな・・・)



 ・・・そんなことを思いながら、僕は「いいよ」と答えた。



「部屋の中の、ものを、全部。一旦、片付けて、欲しい」
 


 スーから、こんなお願いもされたので、これにも「いいよ」と答えた。



 もう一つ、ちょっとシュールなお願いもされた。(内容は後述したいと思う)



 それにも僕は「いいよ」と返事をした。



・・・
・・・
・・・。



「ポチにぃを、わからせる、のは、ポチにぃの、為に、なる」



 次にスーは、エクに向かってこんなことを言った。



「旦那の為になることなら、あっし、何でもするでヤンス!」



 そうしてエクを味方につけた。



「物を、運びたい。エク、手伝って、欲しい」
「わかったでヤンス!」



 スーからのお願いに、エクは元気よくそう答えた。



「こっちへ」



 そう言ってスーは、エクの手を取っていざなった。椅子に座りなおすと、スーは目を閉じた。



 音もなく瞬時に、エクの姿が消えた。後には目を閉じた、スーだけが残った。



 おそらく、スーは(頭の中の)シルの空間へ、エクを連れて行ったのだろう。



 エクの姿が消える瞬間は、まるで魔法か手品みたいだった。



(僕がエクを、サラのところへ連れ込んだ時も、こんな感じだったのかな?)



 そんなことを思いながら、僕は部屋に置いてあったものを、サラの空間に片付けていくことにした。



(何で、僕は「わからされる」手伝いをしているのだろう・・・)



 そう自問しながらも、尋問部屋風の木製のテーブルに手を当てて、頭の中にある、サラの空間に入った。



ーーーーーー



 壁も天井もない8畳ほどの空間で、サラはまだ、ベッドで寝転がっていた。仰向けで、両手足を伸ばして、Xの字で脱力していた。(可愛いったら、ありゃしなかった><)



「・・・外の物を回収してくるね、サラ?」
「あぁ。後で、片しとく」



 カツ丼を山盛り食べたサラは、なんだか「ぐうたらさん」になっていた。サラは動こうともしなかった。(それはそれで、やっぱり可愛いな、と思った)



 エッチな気持ちになるのを抑えつつ、僕は黙々と作業を続けた。

 

ーーーーーー



(さて・・・と)



 部屋の中のものを全部片付けた後で。僕はスーに頼まれていた「シュールなお願い」を遂行することにした。



「ネオリスを、あっちの(スーはドアの方を指さした)、部屋の、隅に、移動、しておいて、ほしい」



 スーがエクを連れていく前に、僕はこれも、スーにお願いされていた。スーは、まだ決着がついていないネオリスを「とりあえず、すみっこに追いやる」と、決めたらしい・・・。



 ゲーミングチェアのキャスターをコロコロと転がして、僕はネオリスをドアの横の左隅まで運んだ。



 部屋を片付けて、ネオリスを運び終えて・・・。スーからの頼まれごとが、全部終わった。



 それでもスーは、まだ目を閉じたままで、エクの姿も消えたままだった。



 ガランと空いた部屋で僕は、部屋の隅っこに配置したネオリスと、二人きりの状態になった。



(・・・)




 (シュールな任務を終えた後で、さらに)シュールな時間が流れ出した。



(・・・)



(・・・)



(・・・)



 壁と扉と、目を閉じたスーとネオリス以外に、僕には見るものがなかった。



 無防備なスーをガン見するのは、紳士としてどうかと思ったので(正直にお伝えすると、サラの目も気になったので)僕は、ネオリスを見てみた。



 ネオリスの姿を改めて確認して、なんだか「ひどい状態だな」と思った。



 体は、黄色と黒のトラヒモで、椅子にくくりつけられていた。口は布テープで塞いであった。(しかもこっちは、僕が自らの手で行ったことだった)



 ネオリスの耳とメガネを先にボンドでくっつけてしまっていたので、後から付け足した「アゴヒゲと、もみあげがセットになった付けヒゲ」は、メガネの上から、雑に貼り付けてあった。(これも僕の仕業だった><)



 ネオリスの頭に被せたキャスケットは、潰れて若干、ナナメになっていた。灰色の背広はしわくちゃだった。



 そんな姿でネオリスは、部屋のすみっこでたたずんでいた。



(ご年配の方に随分と、ひどいことをしてしまったな・・・)



 そんな風に、ご年配へのお取り扱いを後悔した後で、僕はネオリスが「この世界を創ったクリエイター」なのを思い出した。



ー 世界を創った人物に対して、大それたことをしてしまった。 ー



 これにも気づいた。後悔の気持ちと一緒に、恐怖も沸いてきた。



 今回沸いてきた恐怖は「ファンとしてのネオリス」への恐怖ではなくて「創造主としてのネオリス」への恐怖だった。



 世界を改変できてしまう人物が、目の前でひどい状態になっていて・・・。



 それをしでかしたのは、僕で・・・。



 ネオリスが力(というか、端末を)を取り戻したら、なにをされるか? わかったものではなかった。



 ネオリスは、僕が何をしたところで、僕に怒るようなことはなかった。



 なんでもかんでもが「ご褒美」になっているような感じではあった。



 それでも、ネオリスをこのまま野放しにする気にはなれなかった。少なくとも僕らに対しての行動に、なにかしらの制約をつけるべきだと思った。



 そうしないと「政治的な側面」でのネオリスは、また何か悪巧み? というか、僕を使ってポイントを稼ぐことを、やめないんじゃないかと思った。



「作りませんですとも!」



 ・・・とか言いながら、僕のクローンを作るんじゃないか? そんな気もした。



 ネオリスをどうするのが、正解なのか? まだ、その答えは出ていなかった。



(ひとまず・・・話を聞いてからだな・・・)



 残りの質問を思い出しながら、僕はそう思った。



ーーーーーー



・ネオリスがどんな思いで、魔王討伐の配信を続けてきたのか?
・そこに良心の呵責はなかったのか?



 残りの質問は、この2つだった。



 これらの質問はネオリス本人に、聞く必要のある質問だった。



 とりあえず僕は、ネオリスの口を塞いでいる布テープを剥がすことにした。


 
 スーとエクがまだまだ帰ってこなかったら、ネオリスへの質問を始めてしまってもいいかもしれない・・・。



 ・・・というよりも、すみっこで佇んでいるネオリスを見て、また、いたたまれない気持ちになっていた。

 

 僕は部屋の隅っこのネオリスに近づいて、キャスケットのズレを直した。そうしてから布テープを、ゆっくりと剥がしていった。



ー ビリ・・・・・・。ビリ・・・・・・。ビリ・・・・・・。 ー



 布テープに、くっついて「アゴヒゲと、もみあげがセットになった付けヒゲ」も取れてしまった。



 布テープを剥がし終えると(キャスケットをかぶった)素の顔のネオリスがそこにいた。



 (とっても失礼な話なんだけれども)久々に見た、付けヒゲのないネオリスの顔は、より一層、なんというか・・・ショボイ感じだった><。



 付けヒゲをつけていても、威厳が足りない感じだったのに、素のネオリスは、やっぱり「とぼけたおっさん」って感じにしか見えなかった><。もみあげとあごひげがなくなって、なんだか、シンプルな顔になった。



(ぶっは! そういや、こいつ、こんなショベェ顔してたんだな!)



 サラが(やっぱり失礼な話なんだけれども、事実として)そう言って、ゲラゲラと笑い出した。



「ぶはっ! ご、ゴホッ・・・ゴホッ・・・」



 ショボイと思ったところに、サラまでショベェとか言い出した。おまけに大声で笑い出した。



 僕も思わず吹き出してしまって、顔を右手の二の腕で隠しながら後ろを向いて、咳が出たようなフリをして、ごまかすので精一杯になった><。



ーーーーーー



「あの~、ポチタロウさん・・・?」



 僕が二の腕で顔を隠していると(前みたいに)ネオリスが、そう声をかけてきた。



「なん、ぶはっ!・・・ゴホッ・・・ゴホッ」



 「なんでしょうか?」と言おうとして、また笑ってしまった><。ネオリスの顔を見ると、どうにもダメだった><。また右手の二の腕で顔を隠して、咳をしたフリをした。



 左手で、ネオリスに待ってもらうようにジェスチャーしながら、僕は、長い時間、笑いの波をこらえることとなった><。



ーーーーーー



「知らなかったんですよ・・・ワタシは・・・。ポチタロウさんが頑張れなくなっている・・・なんてことは・・・。すみませんでした・・・」



 ネオリスが、こうカミングアウトして、素直に謝ってくれた。



 ネオリスは僕を「困難」に巻き込もうとはした。でもそれは、糸目の思惑を含んでのことだった。僕を「信じて」いたから、ネオリスはそのプロンプトを打ち込んだ。



 でもあれやこれやが重なって「ハルシネーション」が起こって、僕は頑張れなくなってしまっていた。これについて、ネオリスは知らなかったようだ。



 それを責める気にはなれなかった。



 ・・・ってよりも、素の顔を見て、笑ってしまった後だったので、ものすごく申し訳なさを感じ始めていた。それどころではなかった><。



「それについて、責めるようなことは致しません・・・。でも、ちゃんと話を聞かせてもらった上で、今後のことは、判断させてもらいたいと思います」
「わかりました・・・」



 なんとか一応「全部許します!」なんてことは言わずに、そう伝えられた。(申し訳なさすぎて、この時の僕は思わず「全部許しますって!」とか、言ってしまいそうだったのだ><)



 ネオリスとそんなやり取りをしていると、エクが(また魔法みたいに)姿を現した。スーが目を開けた。



 スー達が戻ってきた。



ーーーーーー



 スーは、椅子を持っていた。エクは、机を持っていた。



 スーが持っていた「椅子」は、学校で座るような木の椅子だった。・・・というより、魔王討伐前の1年間の特訓期間に、座学の際に座っていた椅子だった。僕の椅子だった。



 背もたれの隅っこについたギザギザの傷や、日に焼けて少し色あせたその椅子に、僕は見覚えがあった。


 
 エクが持っていた「机」にも見覚えがあった。



 机の左上隅に、ナイフで貫通させた穴が、開いていた。バンカー代わりに縦横に彫った溝もついていた。それは確かに僕が、休み時間に加工したものだった。(土と火の精霊の力で、ちっちゃなボールを作って、僕はワフルと一緒に、卓上ゴルフをして遊んでいたのだ)



「スー、それって・・・?」
「特訓中の、ポチにぃの、椅子と机」



「うん・・・それはわかるんだけど。・・・どうやってそれを持ってきたの?」



 これがわからなかった。



「ディネの、キュウロクを、使わせて、もらった」 



(・・・!?)



 驚いて、言葉が出なかった。



 スーはまだ、プロンプトを残していたらしい・・・。



 スーは、ディネのキュウロクに、糸目の安全な排除方法を聞いた。僕を引き留める方法も聞いたらしい。僕が頑張れなくなっているのも発見してくれた。それを解除もしてくれた。数値データも一緒に出力した。



 それだけのことをやってまだ、プロンプトが残っているとは思ってもみなかった。



「・・・スーはいっぱい、プロンプトにお願いしたんだね?」
「うん・・・。ポチにぃの、真似、した」



 「真似、した」って、スーは言ったけど、おそらくスーは、一つ目の質問からして、僕では到底考えつきそうもないくらいに、たくさんのプロンプトを打ち込んだのだろう。なんだかそんな気がした。



 驚いている僕を尻目に、スーは笑っていた。



・・・
・・・
・・・。



「また、行って、くる」



 スーは、その後、何度か(エクと一緒に)シルの空間へと入った。



 キャスターのついた黒板を取り出して(ネオリスと逆側の)壁の前に設置した。エクに手伝ってもらって、「小さめの教壇」と「小さめの教卓」をその手前に配置した。何やら、クルクル巻きになった紙(おそらく資料か何か)をいくつも教壇の上に置いた。



 そうして「生徒の机が一つだけ」の「一人用の教室」を、8畳ほどの空間に作り出した。



 僕は(スーに言われて)生徒用の椅子に腰掛けた。



 体が大きくなっていたので、ちょっと窮屈だった。ひどく懐かしい気持ちにもなった。



 スーは教壇の上に立った。(エクもその隣の教壇の下に立っていた)



 スーは短い銀のロッドを、指示棒代わりに左手に持って、こう言った。



「これから、ポチにぃを、わからせる・・・。授業を、始めます」



 スーを見ながら、なんだか、学芸会や発表会を見るような、そんな微笑ましい気持ちになった。



 その後で教壇の上から部屋の中に響いた、スーのたどたどしいその言葉に、まっすぐで、ひたむきな想いを感じた。



 さすがの僕も「エッチなわからせが、始まるんじゃないか?」なんてことは思わなかった。



 僕はスーの想いを、今度こそ、逃げずに全部、受け止めたいと思った。



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