入れたいのに入れたいのに入れたいのに「ピュルッ」と出てしまう「元ショタ勇者」の物語

人外倫理

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第一部

リリ=ルルレ(妖精さん:3)

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リリはセントルムへ着いた。
ロロのおかげであっさりと着けた。



「この子は3個くらいなら物を覚えていられる。」



ロロはリリのことを熟知していたので、てっとり早く、安全、かつ少ないステップ数で、セントルムへ行ける方法を彼女に教えたのだ。



「クガイ山まで行って、真上にびゅーんと高く飛ぶ。そこからグルリと見渡して、一番大きく見える街がセントルムだよ。高いところをそのまま飛んでゆくんだよ。」



ロロはリリに、そう教えた。リリに低いところを飛ばせたら、いろんなものに興味を持ち、寄り道しすぎて、たどり着けないか、はたまた魔物に捕らわれてしまうだろう・・・。ロロは、それもわかっていた。



「道順を全部、覚えたら、ハチミツを持たせてあげるよ」と、アメ(蜜)を用意するのも忘れなかった。リリは、何度も何度も復唱して、ロロの説明を覚えた。そして、ハチミツの小瓶を片手に、鼻歌でセントルムへ繰り出したのだった。



街は見えているのに、実際に着くまで、3日かかった。だが新しい街のことを考えると、旅路は苦ではなかった。ちゃんと教えてもらったように、木の上で寝るのも忘れずにいられた。



小瓶にはロロの注意書きがちゃんと貼ってあった。



ー 木の上で寝ること ー



ーーー



セントルムは、高い壁で周囲を囲まれた六角形の街だった。リリが、そのまま飛んで壁を超えようとすると、壁上にいた兵士に「ピピピーーーッ!」と笛を吹かれた。



「こらー君!!ちゃんと正門から入る!!」
リリは、おっきな人におっきな声で、叱られたのは初めてだった。ちょっとシュンとして、道行く人に尋ね、正門に並び、門番にチェックされ街へ入った。



■■■■■■
□□□□□□



壁の内側の道は外側とはまるで違っていた。舗装され、馬車が行き交い、見たことのない、いろんな種族が歩いていた。



耳が獣みたいな種族や丸っこい種族がいたり。
体も大きかったり、小さかったり。
着ている服が派手な人、地味な人。
そこには、いろんな人がいた。



街道沿いには、見たことのない食べ物の屋台がたくさんあり、嗅いだことのない香りであふれていた。ルルレ村と違い、街は人で溢れ返り、声や音が飛び交って賑やかだった。



「こんだけ、いろんな人がいて、いろんな物があるところなら、あたしも受け入れられるわよね?」
リリは思った。



彼女は目に映る様々に、興味を引かれ、足を止めつつも、自分をピンポイントで、呼び寄せたかのような、求人募集への興味も、ギリギリ忘れていなかった。



「真ん中の一番大きな建物に行くんだよ。」
リリは、ロロのその言葉を思い出して飛び、セントルムのお城へ到着した。



お城へ着くとリリは、入り口で、求人募集の紙を門番に見せた。門番は、その小さな訪問者に最初、訝しそうな顔をした。普通、依頼は、ギルドを通してやり取りするものなのだ。



だが、その依頼書の優先レベルを見て、腰を抜かしそうになった。



ー 優先度SSS:世界存続に関わるレベル ー



門番はいくつか、リリに質問し、この妖精が募集要項に、合致してそうなのを知ると、手のひらを返したかのように、丁寧に城の中へと案内し、担当に取り次いだ。



リリは豪華な装飾の応接室に通され、そこで適性検査を受けることになった。



リリは文字を「読む」ことはある程度、出来たが、「書く」方は、自分の名前くらいしか、おぼつかなかった。なので担当した女性審査官が、口頭で質問をし、それにリリが答えていく形が取られた。担当官は、質問文を読み上げては、リリの言葉を、紙に書いていく。



それが終わると、リリはそのまま、そこで待つように言われた。お茶やお菓子が妖精用のカップとお皿に載せられ、次々と運ばれてきた。



待つのも、質問責めにあったのも、不服なリリだったが、お菓子が美味しかったので、すぐさま機嫌を直した。時折、部屋をフワフワ、飛び回って眺めた。



「あ、このお菓子、追加ね。」
メイドが食器を下げに来た際には、ちゃっかり、ハチミツ味のクッキーを追加でお願いするのも忘れなかった。



■■■■■■
□□□□□□



メガネの担当審査官が、机に向かって「むむむ」と唸りながら、リリの審査をしていると、上司の金髪男がやってきた。



「この子の適性はどうだい?」
「生理が来ていることを除けば、預言条件にマッチしています。」
「確か、妖精の生理って1年に一回だろ?・・・いけんじゃね?」
「妖精は経血も少ないですし、今まで来た中では群を抜いて適任かと・・・ただ、一つだけ問題が・・・。」



「なんだ?」
「この子は、脳の記憶機能にいささか問題が・・・まあ、端的に言ってしまえば・・・アホの子ですね・・・」



「なんだ、そんなことか!もう聖徒様達の出発も近いってのに!・・・この際だ!インストールの魔法で、地図と密命を脳にたたき込め。」
「し、しかし・・・!」



「他のチームは、ちゃんと聖徒様を見つけてきて成果をあげてるんだぞ? 俺たちだけ、案内役を見つけられませんでした、じゃあ、首が危ないぜ?」
「それは・・・」



「・・・なぁに・・・。本人に、契約書を書かせとけば、後から文句言われても何とかならぁな。インストールの魔法も緊急時申請を出して、判をもらえばいい。・・・だろ?・・・じゃ、あと、よろしくな。」
「・・・・・。」



長身の上司は、ピッと、右手で、キザなポーズを決めると去って行った。
担当審査官のメラルドは、天井をあおぎ、メガネのブリッジに指を当て、ため息をついた。



「いつも最後は、私の役目なんだから・・・。」



■■■■■■
□□□□□□



メラルドは、リリのところへ戻ると、愛想笑いを浮かべて、いかに、この使命が大切なものなのかを伝えた。



高価なツボが一つ割れていたが、この際、そんなことを追求している場合ではない。



「魔王を倒す為に、旅立たれる聖徒様達を案内する簡単な・・・でも、とても意義のあるお仕事です!」
「戻ってきたら何でも望みのものが与えられます!」
「これを出来るのは、あなただけなんです!」



そんなことを一気にまくしたてた。



ちなみにメラルドは、この時、リリを担当したのがきっかけで、魔王討伐後のリリの報酬交渉担当にもなり、また苦労することになる。(当の本人リリは、この時、会ったことを、もちろん覚えていなかった。)



「・・・ふーん。要するにあたしの力が必要ってことでしょ?」
「は、はい! あなたの素晴らしいお力をぜひ、お貸し、いただきたく!」



深くお辞儀をする審査官に、リリも悪い気はしなかった。



おだてられ、必要とされ、褒められて、褒美も出る・・・。特に断る理由はなかった。リリは軽く承諾した。リリはちょろいのだ。



リリは、契約書を読みもせず、気軽にシュシュッとサインをすると、魔王城までの地図と密命を頭にインストールされた。つくづく脳に、介入される妖精である。



その後、契約後の処遇等の、詳しい説明があったが、もうほとんど聞いてなかった。



「あたしが世界を救うみたいなもんね♪」



リリは、聖徒様(ポチタロウ達)の準備が整うまで、VIP待遇で過ごした。リリは(妖精なのに)天狗になって過ごした。



■■■■■■
□□□□□□



ポチタロウ達の特訓が終わると・・・。



「あたしにまっかせなさーいっ!無事に魔王のところまで、連れてってあげる!」



合流したリリは、第一声でそう、言い放ったのだった。


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