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第一部
ポチタロウと、トリックアートなおじいさん:1
しおりを挟む青い空に、雲みたいに白い、鯨が飛んでいた。
大きな大きな、大きな鯨が。
長い長い眉毛と、長い長い口ひげを生やし、悠然と空を漂っている。
「・・・!!!」(でかー! すごー!)
「おっきぃね、ポチ兄ぃ」
「うん・・・」
あまりの出来事に言葉を失っていた僕は、スーの声に意識を取り戻した。
決してスーの言葉がエッチに聞こえたからではない。・・・ホントだよ?
「・・・スー、たぶん、あの中だ」
「!? ・・・わかった」
スーは一瞬、息をのんだ後、理解を示してくれて、僕らはそのまま鯨へと進んだ。
鯨は巨大な口を開け、あくびをするように息を吸い込んだ。
僕とスーは、掃除機の前に転がった塵のように、クジラに吸引されていくのに身を任せた。
そうして僕らは、長い眉毛と、長い口ひげを生やした、とある、おじいさんと再開した。
■■■■■■
□□□□□□
ポチタロウとトリックアートなおじいさん:1
■■■■■■
□□□□□□
サファに挿れようとして、その前にピュルっと出ちゃって。
リリに挿れる前に、やっぱりピュルっと出ちゃって。
その次の日には、体がピュルっと? でっかくなっちゃって。
僕はちょっと途方に暮れていた。
ただでさえ挿れられてないのに、大きくなったら、もっと挿入が難しくなる。
体格差エッチとかもやってみたいと思うけど、そもそも入らなければ意味がない。
てか、このまま、さらにでっかくなる可能性だってある。
何これ? 魔王討伐より、挿入の方が大変じゃね?
鏡に映るのは、前世で15歳くらいだった時の僕そのものだ。(耳と尻尾を除いて)
今にも盗んだバイクで走りだしそうだ。
「あー、あー、あー・・・」
・・・声も低くなった。ダンディでカッコイイってところまではいかないけど。
ー チラッ ー
ズボンの前を引っ張って、中を確認してみると、息子も大きく育っていた。本来ならば嬉しいことのハズなんだけど、今は両手を上げて喜ぶ訳にもいかない。とにもかくにも僕は挿れたいのだ。
不意に訪れたこの体の変化は、大精霊が関係してるんじゃないかな? って僕は推測していた。魔王を倒して王都に滞在していた頃、大精霊を宿してくれた、おじいさんに、こんなことを言われていたからだ。
「これからの生活で、お主の体には、大きな変化が起こるかもしれん。何かあったら、いつでも訪ねておいで。・・・ほっほっほ」
その口調は意味深な感じだった。おじいさんの眉毛に隠されて良く見えない、瞳がキラリと光った気がした。あれは僕がこうなることを予期しての発言だったのかもしれない。
「わしは、普段、空を彷徨っておるからの・・・これを使って来ると良いぞ」
そう言って手渡されたのは、大きめの懐中時計みたいな物だった。なんか、てっぺんにボタンが付いている。「ポチッ」と押してみると地図と点が表示された。・・・ん? これってド○ゴンレーダー?
「わしがおる場所に、点が表示される。・・・わしは7人おらんから、集めて願いを叶えるのは無理じゃがな。 ・・・ほっほっほ」
「それってどういう・・・?」
「ほっほっほ、次回のお楽しみじゃ」
おじいさんは腰の後ろに手を回し、笑いながら、去って行った。
このおじいさんは、どこまで知っているんだろう? ドラゴン○ールを知っていることだけは確かだ。このおじいさんも異世界転生者だったりするのだろうか?
「話を聞きに行きたいな」とは思いながら、自治区作りに忙しくしていた僕は、結局今まで、おじいさんを訪ねることができずにいた。
いい機会だ。
おじいさんのところへ行ってみよう・・・。
ちょうど、飛行ユニットを作ったとこだし。
リフォームの終わった屋敷の中、僕はスーの元へと向かった。
ーーーーーー
僕は、スーの部屋まで行くと、スーをたたき起こ・・・すと大惨事になるので、頬に手を当てて、耳元でささやいた。
「お姫様、お目覚めの時間だよ」
「・・・」
「・・・お姫様?」
「・・・」
「・・・僕のお姫様」
「・・・誰?」
スーは寝覚めが悪い。
いつもはタレ目がちのスーが、ツリ目で、半分しか目が開いてなくて、おまけに目が据わってる感じで、ちょっと怖い。
「ポチタロウだよ・・・君の王子様の」
「・・・ポチ兄ぃはそんな声してない」
寝起きのスーはだいたい不機嫌だ。今もなんか周りに風をまとって、半分寝たまま攻撃態勢になっている。
「ほ、ほんとに僕だって! スー、ちゃんと目を開けてこっちを見て?」
「・・・・・・ん?・・・ポチ兄ぃ?・・・でもポチ兄ぃはそんなにおっきくない・・・」
「な、なんか成長期が来ちゃったっていうか、なんというか、まあ、急におっきくなっちゃったというか・・・」
「・・・・・・・・・そういう獣人もいるって本で読んだ・・・」
しどろもどろになった僕に、スーは、寝起きのスローな反応ながらに、まとった風を解いてくれた。急に成長する獣人がいてくれてよかった・・・。
「ホントにポチ兄ぃなら、いつもみたいに、お口に、チュッて、してくれる?」
「・・・ふふっ、そんなのしたことないだろ? でも、して欲しいなら、してあげるよ」
ー チュッ ー
目を閉じたスーの唇に、僕は自然と軽いキスをした。
リリに習って少し口を開けるのも忘れずに。
「・・・うん。ポチ兄ぃだ。ちゃんとボクの、やって欲しいことをしてくれた!」
パッと顔を輝かせたスーが、抱きついてくる。
・・・なんか流れで、自然にキスできちゃって、そんな自分にちょっとビックリした。
4人のお嫁さんの中で、スーとリリは、お姫様扱いをことさら喜んでくれる。
僕もその方がやりやすい。・・・チョロいとか思ってないよ?
ロールプレイングは得意なのだ。素の自分での恋愛よりはよっぽど。
とは言え、ちょっと前の僕ならスーの言葉をはぐらかしていたことだろう。「まだ、ほんの少しだけ早いよ、お姫様」なんて、ほっぺに口づけたりして。
挿れられなかったとはいえ、僕自身も、多少の経験を積んで、何かが変わったのかもしれない。あっけなくスーの唇への、初キスができてしまった。・・・よし!
(この調子で、挿れるところまでいけるといいな・・・)
・・・僕は切に願った。
ーーーーーー
スーが完全に目を覚ましたところで、僕は説明をした。
・体が急に大きくなっちゃったこと
・大精霊が関係しているかもしれないこと
・精霊を宿したおじいちゃんの所へ連れて行って欲しいこと
「おじいちゃんが、どこに、いるか・・・は、わかるの?」
「うん・・・。なんかおじいちゃんの位置がわかる道具をもらったから・・・そんで、空にいるって言ってたから、スーに連れてって欲しいんだ」
「把握、した。いいよ。ポチ兄ぃ」
「ありがとね、スー」
僕はスーの頭を撫でる。
スーは「むふん」と誇らしげだ。
さて。ここで、僕らの秘密飛行ユニットの出番だ。
ーーーーーー
ワフルがブランコで吹っ飛んだ、次の日。
僕とワフルは、こりもせず、ブランコの改良にいそしんでいた。
今回は、スーも一緒だ。飛行自由なスーがいてくれたら何かと楽だし、せっかくだし、スーとも共有したかったのだ。
壊れたブランコをスーに見せた後、僕はワフルと一緒に考えた改善案も、スーに話した。
スーは天才ちゃんなので、あっという間に理解を示して、僕らのブランコ制作を手伝ってくれた。
「ワフー♪♪♪」
僕は押す。ワフルの背中を。
「ワフフー♪♪♪」
ドンドン押す。水平を超えるまで。
「わーい!やっタ!」
「こえたー!」
ブランコはあっけなく水平超えを果たした。ポキリと折れたりすることもなく。
「やった!やった!」
「ワフーーー♪」
「・・・・・・」
手を叩いて喜び合うワフルと僕の横で、スーは何か考え込んでいた。
「スー? なんかあった?」
「スーが先にやりたかったカ?」
「これ、ボクがブランコの、ロープを持ったら、飛べるんじゃ、ないかな?」
「・・・おお、それだ!」
「なら、やってみるカ♪」
ーーーーーー
僕らは、魔王討伐へ向かう道中で「飛んでいけないかな?」と試行錯誤したことがある。乗り物だとか空中移動に、憧れてた時期があるのだ。
前にもちょっと書いたけど、僕らが飛んでみた結果はこうだ。
僕がジェットで飛ぶと、飛び火が危なかった。
サファが、水圧で飛ぶと、着地が危うかった。
ワフルが、土を勢いよく飛び出させて飛ぶのも、着地が危うかった。
スーに風を起こしてもらって飛ぼうとも思ったけど、とんでもない風圧じゃないと飛べなかった。台風でも「人が飛んでいく」なんて稀なので、どんくらい風が必要か? 少しは分かってもらえるんじゃないかな? あと、無理矢理、飛んだ後、やっぱり着地が危うかった。
単純にスーと手をつないで飛ぶことも思いついたんだけど、お互いの大精霊が干渉しあうのか? うまく飛べなかった。
スーだけは、風の大精霊を身にまとっているので、自然に飛べて・・・。
なんとかしてその風の精霊の力で、みんなで飛べないかなー? って考えながら、結局、歩きで、魔王討伐が終わってしまった。討伐が終わった今でも「飛んでいけなかったこと」は、ちょっとした心残りだった。
天才かつ凝り性のスーは、こっちへ帰ってきてからも、みんなで飛べる方法を模索していたし、僕も「解けないパズルを残してきた」感じでちょっとモヤモヤしていた。
このモヤモヤが解消される時が来たのかもしれない。
僕らはさっそく「ブランコで飛べるかな作戦」を試してみることにした。
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