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第一部
ポチタロウと、トリックアートなおじいさん:6
しおりを挟むクジラに吸引された後、グルグル回って、きゅーばたん。僕らは転がっていた。古い漫画とかで「ズコー!」って表現されるような体勢で、転がっていた。
もっとこう・・・スーのぺったんこな胸を揉んでる体勢とかになってれば、よかったのに・・・。あ。ヒザは、スーのおまたのあたりに当たってる感じでお願いしますm(_ _)m
「ラッキースケベ待ち、なんてしない」って決めたのに、帆布とロープに絡まった惨状の中、僕はついつい、そんなことを思ってしまった。
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ポチタロウと、トリックアートなおじいさん:6
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「ん・・・」
「大丈夫、スー?」
「うん。ポチ兄ぃは?」
「僕も大丈夫」
そう答えながら、僕は飛行ユニットとリュックを分離した。何かの時の為に、荷物は持って行かねば・・・。
そのまま自然と二人で、身を寄せあって立ち上がる。吸い込まれた先は、大人一人が立って歩けるくらい大きな、パイプ状のトンネルだった。鈍い銀色の材質で、触れてみると、冷たく滑らかな感じだった。ん? アルミの合金か? これ?
クジラの内部に入ったせいか、風の音はほとんど聞こえなくなっていた。かなり静かになったけど、よくよく耳を済ますと、かすかにゴウゴウ、ゴウンゴウンと鈍い音が響いている。音のする方、短いトンネルの先には、木で出来た壁と扉があった。
扉の右脇には、宅配品箱みたいな木箱が置いてあり、そのまんま「宅配品箱」と書かれていた。誰か、ここまで届けに来る人があるんだろうか? この世界のAmaz○nさんとかが来るんだろうか?
・・・というか。僕はもっとこう、ブヨンブヨンでヌルヌルした食道を通って、胃液に溶かされ大ピンチ! みたいな展開を予想してたよ。これは、クジラであって、クジラじゃない。クジラを模した飛行船の類だ!
「大きいクジラが飛んでる」ってだけでも十分驚いたのに、それが人工建造物ときた。外から見た感じ、300メートルくらいはあったと思う。明らかにこの世界の技術レベルを超えている。
ケモ耳から尻尾まで、全身がブルッと震えた。
ー この世界にはまだまだ僕の知らない謎が隠されている! ー
改めてそう、自覚させられた。・・・行かなきゃ。だって大精霊を宿してくれた、おじいさんに聞きたいことが、また増えたから。これ以上、増えると、僕は何かしら聞きそびれる自信がある。
「いくよ、スー」
「うん。ポチ兄ぃ」
僕は扉へと手を伸ばした。宅配箱の生活感とかが、若干、気になりながら・・・。
・・・
・・・
・・・。
ーーーーーー
ー ガチャッ ー
ドアを開けると、蒸気をまとった暖かい風が外へ飛び出してきた。上の方が少し、白くモクモクしている。
中は木造の小部屋で、これまた木で出来た、縦に細長いロッカーみたいのが4つ置かれていた。まるで銭湯の脱衣所を思わせる造りだ。入ってきた扉の向こう側にも扉があり、そこには、こんな貼り紙がしてあった。
ー 脱衣所。服はここで脱いでね ー
なんだろうか・・・。宅配品箱といい、脱衣所といい「僕が思ったまんま」が書いてあって、若干イラッとした。思考を読まれでもしてるのか、ただの親切か? 良くわかんないけど、なんかモヤモヤが残った。
「・・・スー、どうする?」
「よく、わかんない。けど、ここで裸になるのは、危険な気が、する」
「おっけ、ならこのまま行こう」
「がってん!」
「がってん、て(笑)」
僕らはそのまま進むことにした。ここまで来たら、さらなる扉の先が何であろうが、かまやしない。なんかあったら開けてから、また考える!
ーーーーーー
「あっつ!!!」
「っっっっっっ!!!」
次の扉の先は灼熱だった。一寸先の地獄、とはよく言ったものだ。火属性の僕でも結構、熱かったのだから、スーは相当のものだったろう。
ドアを開けたまま、しばらく待つ。中からは、あっためられた木のニオイが漂ってくる。今度はまるでサウナだ。少しずつ足を踏み入れると、最初に感じた程の熱さはなくなってきた。温度差に慣れてきたのだろう。
「いくよ。大丈夫? スー?」
「うん」
うなずきながら、服の裾をつかんでくるスーが、ちょっと可愛い。
踏み出した扉の先は、縦にだだっ広い空間で、はるか上空を見上げるとクジラの骨を模したかのような木組みが見えた。さらに上にはパンパンに膨らんだ白い外皮がある。
地面には、通路用であろう幅1メートル程度の板が、奥へ続いて並べられている。板1枚おきに矢印が描いてあって、わかりやすい。
敵地ならワナか? と疑うところだけど、おじいさんのいる場所だろうし、とりあえず案内に従って歩いて行く。50mほど進むと、ぽっかりと丸い穴が開いていて、下向きの矢印と、ハシゴが見えた。矢印には、こう添えてあった。
ー ワナじゃないよ。下へゴー! ー
前言撤回。ある意味ここは敵地だ。ちょくちょくイラモヤさせられる。
「(ぐぬぬ・・・)スー、何かあるかもだし、僕が先に降りるね。」
「うん。ありがと、ポチ兄ぃ」
スーがいてくれてよかった。僕一人なら叫んでたかもしれない。
怒りはお腹の中に収めて、僕らはクジラのお腹の中、深いところへと沈んでいった。
ーーーーーー
ー カン、カン・・・・・・カン、カン・・・・・・ ー
金属的なリズムを刻みながら、無言で円柱の中を、底の見えない闇へと降りていく。
100段ほど下ると、横穴がいくつも開いている場所に出た。それぞれの穴の中にはストーブと薪が置いてあった。聞こえていた「ゴウゴウ」はここからだったみたいだ。薪ストーブ達は煌々と火を作りながら、おのおので炎の音を奏でていた。
「ポチ兄ぃ、何かいるよ」
「ん? どこだい、スー?」
「ほらあっち」
スーの指し示す方向を見ようと、上を見上げる。(僕がハシゴを先に降りたから、スーはおのずと僕の頭上にいた)スーの動きに合わせて揺れるローブの内側に、パンツがチラッと見えた。久々に見えたそれは水色だった。
(白もいいけど、スーには水色も悪くない)
「ポチ兄ぃ?」
「ああ。ごめんごめん」
今は、スーじゃなくて、スーの見たものに集中だ。集中。集中・・・。パンツは、後でまた、降りていく時にチラチラ見せてもらおう・・・。裸も何度も見てきたけど、これはこれで別物だ。僕はチラリと見えるものには、ほんと弱いのだ。
改めて。スーの指の先を見ると、たしかに何かがいた。とても小さい。スーの半分くらいのサイズだ。茶色い粘土細工のロボみたいなそれは、ストーブに薪をくべていた。ゴーレム的な何かかな?
「おーい」
「こんちは・・・」
返事がない。ただのしかばね・・・では、なさそうだけど、返事がない。こうして返答を待っていてるだけでも、汗がふきだしてくる。すでに服もビショビショだ。
もくもくと作業を続けるそれを見ながら、僕は言った。
「言葉は通じなそうだね・・・」
「うん」
「先へ進もうか・・・」
「うん」
スーの元気がなくなってきた。返事にバリエーションがない。スーは僕らの中では一番、体力がないので、限界が近いのかもしれない。サラマンダーの加護がある僕ですら、この熱気で消耗している。当然だろう。
「スー、おいで」
「ん?」
「ほら、肩車」
「ポチ兄ぃ・・・」
僕はスーと合体した。合体と言っても挿入的なやつではない。ハシゴの上で、スーのまたの間に頭を通し、肩にかついだ状態になった。スーのローブが邪魔になってちょっと苦労した。
「落ちると危ないから、ちゃんと、僕につかまっておいてね」
「・・・わかった。ポチ兄ぃ。ありがと」
ギュッとスーが頭に抱きついてくる。きっとちゃんとこの「ギュッ」には、親愛の情や、ありがとうの気持ちもこめられている。
スーのパンチラを拝む機会は逃したけど、こうして、抱きつかれるのも悪くない。太ももの感触も楽しめるしね・・・。
僕は自分にそう言い聞かせると、再びハシゴを下りはじめた。
・・・コンッ・・・。
・・・カンッ・・・。
・・・カツッ・・・。
ー ・・・機会があったら、スーにローブをたくしあげてもらって、ほんのちょっとだけ、パンツが見える状態になって貰おう。 ー
階段を降りながら、一応、心の中に、そうメモしておくことにした。
僕はチラリと見えるものが、大好きなのだ。
ーーーーーー
ー トン、テン・・・・・・カン、トン・・・・・・スタッ・・・ ー
まもなくしてハシゴを下り終えた。熱さも少し、ましになってきた。着いた先は、また、板張りの床で、今度のそれは下から、せり上げる形で固定されていた。両脇に手すりがあり、橋みたいな状態で先へと続いている。矢印も健在だ。
どこまで続いているんだろうか? この熱さで、目的地までの距離がわからないと、さすがに焦れてくる。肩車からおんぶに切り替え、僕の背中にいるスーもぐったりしている。
二人の汗が混じり合ったこの感じは、情事を連想させてくれて悪くないけど、今はスーの容態が心配だ。せめて水分を補給してあげたい・・・。
そう思いながら、少し早足で矢印の示す方へと、辛抱強く橋を渡っていった。
ー コツ・・・コツ・・・コツ・・・コツ・・・ギシッ・・・ ー
歩いた先に8畳間くらいに開けた広間があった。これにも手すりがしてあり、さながら展望台といった様相だ。寝転べるタイプのデッキチェアが2つあり、3m四方くらいのお風呂と、銭湯によくあるタイプのウォーターサーバーを見つけた。足で押して、水が出るアレだ。すぐ横の看板には「水風呂 ※かけ湯してから入ってね」と記してある。
(サウナかよ!!!)
僕は心の中で、心の底からつっこんだ。
ーーーーーー
「ふー・・・この一杯のために生きてきた・・・」
抱きかかえて、サーバーで水分補給をさせると、スーがそんなことを言った。どこで覚えてくるんだろう? そういうの? 僕も水を飲み、一息ついた。
「・・・あそこかな?」
「たぶん」
少し休んで、周囲を見渡した後、僕らは、ある同じ一点を見つめていた。
広間の先にも、まだ橋がしばらく続いていたけど、そのすぐ先に建物が見えたのだ。ドラゴンレ○ダーもどきは、まっすぐそこへ向けて、赤い光を放っている。
「きっと、あと少し。頑張れるかい? お姫様」
「うん。ポチ兄ぃが、いてくれるなら」
僕の差し出した汗ばんだ手を、スーは同じく、じっとり濡れた手で、握りしめた。空いた手で、今回は串焼きじゃなくて、手すりを握りながら、二人で歩いて行く。スーのぬくもりを感じる。大丈夫。僕ら二人なら大丈夫・・・。
ー ギシッ・・・ギシッ・・・ギシッ・・・ギシッ・・・ ー
きしむ橋の上を、少しずつ歩いていく。建物のある広間まで来ると、余韻も風情もなく「ガチャッ、バタン」と扉が開く音がした。
「ほっほっほ、よう来たのぉ・・・」
そうして僕らは、長い眉毛と、長い口ひげを生やした、大精霊を宿してくれた、おじいさんと再開した。
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