入れたいのに入れたいのに入れたいのに「ピュルッ」と出てしまう「元ショタ勇者」の物語

人外倫理

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第一部

スー=スレイプニル(12:スーとワフル。そして、みんな)

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 8ヶ月が過ぎた。それぞれが自分なりに役割を見つけていた。ちょっと前にあったギクシャク感は、なくなっていた。



 スーは、戦闘中に空を飛び、全体を俯瞰して見るようになった。ポチタロウの思考を先読みして、指示がある前に動くことすら、できるようになっていた。ただこれは、かなり疲れたので、いざという時の為、温存した。



 普段は50%くらいで過ごすようになり、怠惰さが増した。寝起きが悪くなった。



ーーーーーー



 サファは「みんなの役に立つ」と気負いすぎて、また空回りしかけたが「まずは自分のことをできるようになろう」と、思い直し、戦闘中のスーの指示に集中するようになった。



 サファは決して頭の悪い方ではなかったが、スーほどの天才ではなかったので、料理の煮込み時間等を使い、動きを何度も復習するようになった。



 スーからの指示の意図を理解したサファは、とある日、自分で戦ってみたいと、ポチタロウに志願した。



・・・
・・・
・・・。



守る水膜アクオスレイヤー!・・・屠る浄流パージストリーム!」



・・・
・・・
・・・。



「すごい! サファはもう、自分の判断で戦えてる♪」
「勇者様・・・」



「スー。サファへの指示出し任務完了だよ。今までご苦労様♪」
「うん、ポチにぃ。・・・サファ、ほんと、よく、頑張った」
「ありがと! スーちゃん!」
 サファがスーに抱きつき、スーがサファの頭をポンポンと叩いた。ポチタロウもそっとサファの頭をなでた。



 ポチタロウとスーに、お墨付きをもらえたサファは、死ぬほど嬉しかった。何も気にせず素直に、笑えて泣けたのは、いつ以来のことだったか? もう彼女には、わからなかった。



 サファは、これがきっかけで、心に少しゆとりが出来た。みんなの行き届いていないことを、影ながら、率先してやるようになった。小屋の片付けや身繕い、こまめな水分補給等、彼女は「小さなことをいっぱい」やるようになった。サファはパーティのお姉ちゃん的存在になっていった。



ーーーーーー



 一方、ワフルは、ポチタロウに「甘えて、甘えさせる」そんな存在になっていた。



 スーが昔を思い出して、泣いてしまうこともあれば、ワフルが、いろんなことが思い出せなくて、ポチタロウに、甘えて抱きつくこともあった。そんな時、ポチタロウはやさしく頭を撫でて、二人をなぐさめた。



 サファやリリが、あまりしゃべらなくなった時期には、ポチタロウは話題をふってみたり、相談に乗ろうとしたりと、悪戦苦闘をしたし、毎日毎日、どこまで進むか? 次の課題をどうするか? 等々、決めることが多かった。とにかく彼は、ずっと考え続けていた。



 全員の成長もあり、戦闘面でのポチタロウの負担は、減っているかに思われたが、敵も、どんどん強くなっていたので、実質、そんなに変わっていなかった。むしろ成長を考慮に入れた指示出しが必要になり、選択肢が多くなった分、集中力がいった。



 生活面でも戦闘面でも、ポチタロウの負担は大きかった。



 おまけにポチタロウ自身もみんなを好きになりすぎて、意識しすぎて、困るようになった。そんな時にワフルは「ポチタロだけ、甘える相手がいないナ」と気づいた。



 ワフル自身とスーは、先述のとおり、直接ポチタロウに甘えていた。サファとリリは直接、甘えることは、なかなか出来なかったが、ポチタロウを頼りにしていたし、二人は、何気にいろんなことを(主にポチタロウのことを)相談しあう仲になっていた。



 自分のことを話すのが苦手だったポチタロウ、ただ一人が、精神面での相談をする相手がいなかった。ワフルはそんな状況に、いち早く気づき、なんとかしようと思った。



 ワフルは、まっすぐなやり方しか思いつかなかったので、ポチタロウにそのまま「ポチタロ、頑張ってるかラ、ワフルが、甘えさせてやるゾ」と、宣言したのだった。



 その突然のダイレクトアタックに、(全米の)ポチタロウは涙を流した。彼がこの世界へ来て泣いたのは、初めてのことだった。



・・・
・・・
・・・。



 「甘えるのは下手なんだ」



 ・・・と言いつつも、たまにポチタロウは、ワフルに抱きついて、ふにゃっとするようになった。スーには60~80%でやるといいよ、などと言っていた彼は、この頃には、ほぼ100%で毎日を過ごしていた。そんなポチタロウの力を抜いたのはワフルだった。



 後々、とんでもない量の精子を、手こきでポチタロウから抜いたのもワフルだった。



ーーーーーー



 当のポチタロウは、その頃になって、ようやくナイフで魔物を突き刺す感覚を怖がらなくなっていた。特訓時代の課外授業で、一番魔物を刺すことをためらったのは、前世の記憶があるポチタロウだった。サファも少し苦戦したが、すぐに慣れたし、ワフルとスーに至っては最初から容赦がなかった。その無邪気さがポチタロウは最初、ちょっと怖かった。



 旅が始まっても、ポチタロウはなるべく「短剣物理」以外の攻撃方法を選択した。火球で倒したり、火の渦に巻き込んだり。誰も知らないのをいいことに、たまに短剣で、ア○ンストラッシュの真似事もしていた。その方が魔物を倒すのに、罪悪感が少なかった。



 敵がどんどん強くなりだすと「手札は多い方がいい」とポチタロウは頭を切り替え、半泣きになりながら、歯を食いしばり、短剣の刀身で最後のトドメを刺すのを練習するようになった。後には魔物の死体と手の感触が残り、彼は何度も吐き気をこらえた。


 
 ポチタロウがいろんな心労で倒れそうになっていた頃に、ちょうどワフルが「甘えさせてやるゾ」と言い出した。ポチタロウはワフルと二人きりの、土壁の囲いの中で、遠慮がちに抱きつくようになった。



 オーバーオールごしの、ワフルのお腹はポヨンポヨンの完璧なイカ腹で、ポチタロウはとてもとても、とーーーっても、癒やされたのだった。ポチタロウはエッチな気持ちになりそうなのを堪えながら「魔王を倒すまでは、紳士たれ!」と自分を戒めた。ワフルはそんなポチタロウを優しく優しく撫でた。



ーーーーーー



 リリも、少しだけ戦闘に参加するようになっていた。この頃には、空を飛ぶ魔物も増えていたので、ぴゅーーんと飛んで逃げると、空で「むんず」と掴まれた。リリは何故か毎回「むんず」としか表現できない感じに、掴まれた。



 リリは(自分の保身の為にも)空を飛ぶスーの、さらに少し上で、空からの敵を索敵するようになった。



「あっちから、敵! こっちからも!」



 索敵時のリリの語彙力は「あっち」と「こっち」しかなかった為、「敵が来たことがわかる」以外にあまり役には立たなかった。



 ただ、リリがポチタロウの性欲コントロールをしていなければ、魔王を倒す前に性的なToラブルが発生し、大精霊が離れ、この物語は、終わってしまっていたかもしれない。



■■■■■■
□□□□□□


スー=スレイプニル(12:スーとワフル。そして、みんな)


■■■■■■
□□□□□□



「やあぁぁーーーーッ!!!」



 雪の降る魔王城の城外で、ワフルは、石のカタパルトから、高く高く、空中へ飛び出し、巨大化した魔王に、ハンマーを振り上げていた。地の大精霊の力で、鉱石を集めて纏わせて、ハンマーの打突部をどんどんと、大きく、重く、硬くした。あとは「スーを信じて」それを思い切り魔王に振り下ろすだけだ!



「「いっけぇーーーーーーーっ!!!」」



 ワフルとスーの声が重なった。ワフルはただただ、魔王めがけてハンマーを全力で振り下ろした。スーは、魔王の脳天にワフルの巨大ハンマーがぶち当たるように、竜巻を操って、ワフルの位置を微調整した。風でワフルを下方向へ加速させながら、自らを庇おうとする魔王の腕を切り刻んでいった。



ー グワッシャーーーーーーーン!!! メキメキメキメキメキッ!!! ー



「グボァァァァァァーーーーッッッッ!!!!!」
 魔王の断末魔が大地を轟かした。



 魔王の足止めをしていた、ポチタロウとサファは、その断末魔を聞き届けると、そのままぶっ倒れた。



「「ポチタロ!(ポチにぃ!!!) サファ!」」
「あ、あんたたち、落ち着いて! と、とにかく回復よ! 回復!」



 戦術とかを、まるでわかっていないリリだったが、さすがにこの頃には「傷ついたら回復魔法」程度のことは理解していた。一番年上だったリリは、幼い二人を鼓舞するように、ぴたん、ぴたんと、小さなビンタを2つした。



 スーとワフルに全くダメージはなかったが、それでもそれをキッカケに、二人は動き出した。スーは両手でロッドを持つと、ポチタロウとサファの両方に、癒やしの風を発動した。「サファが動けない時は、とりあえず水!」ワフルはそう復唱して、水をくんできた。リリはまた、秘蔵のハチミツを取り出していた。



ーーーーーー



・・・
・・・
・・・。



 ポチタロウが目を覚ますと、灰色の石壁の天井が見えた。体は毛布にくるまれていた。額には、乾きかけの濡れタオルが置いてあった。心地よい風が、緑色の光を放って、自分の周囲を取り囲んでいた。口の周りが、ハチミツでベトベトだった。



「・・・ここは?」
「よかった、ポチにぃ、気づいた!」



 スーはポチタロウに抱きつこうとして、サファがまだ目覚めていないのを思い出した。慌てて癒やしの風を、発動し直した。
 


 ポチタロウが見回すと、小窓が2つ付けられた石壁作りの小屋の中だった。おそらくワフルが創ったのだろう。



 ポチタロウとサファの間にかがみ込んだスーが、ロッドを水平にし、二人へ癒やしの魔法をかけ続けていた。ポチタロウの右隣ではワフルがすやすや眠っている。そのすぐ隣で、リリも小さく丸まって眠っていた。



 小窓から見える外の瓦礫の山には、雪が降り積もり続けていた。なのに、小屋の中は、たき火の暖をこちらへ運んでくれる、スーの風で暖かかった。ポチタロウはみんなで暖炉のそばにでもいるような、心持ちがした。彼はそんな未来を願いながら、再びまた、眠りについたのだった。



・・・
・・・
・・・。



「やっっ・・・たぁーーー!」
「わふー!」
「おー」
「・・・勇者さま・・・」
「実質、あたしが、倒した感じ?」



 みんなが目覚めた後、ポチタロウは、みんなと一緒に小屋の外へ出た。魔王の体に積もった雪をかき分け、その死をしっかりと確認した。そして歓声をあげたのだった。



ーーーーーー



 実は、魔王城に着く少しぐらい前から、魔物達は強いだけじゃなく、どんどん狡猾になっていた。メインヒーラーのサファばかり狙う魔物がいた。魔法の効きにくいミスリルゴーレムがスーへ飛び道具を放ってきた。物理攻撃の効かないレイスがワフルを狙い、ポチタロウの周りには水属性の敵ばかりが集まった。



 前後からの挟み撃ちで、ポチタロウの職務(壁役)に、揺さぶりをかけてくる魔物集団もいたし、ポチタロウの指揮を、逆手にとったような動きをする魔物も現れた。毎回毎回、ギリギリの戦いになっていた。



 「こちらの手の内を読まれている」と感じたポチタロウは、一計を案じるべく、みんなに相談を持ちかけた。スーと話し合って魔王との戦いの対策を練り、みんなでそれを練習した。


 ギリギリの戦いを何度も何度も繰り返し、一行は、王座で魔王と、対峙した。



 魔王との戦いでは、相手の裏をかく為に、スーが司令塔になった。ポチタロウは、普通の炎は使わず、不完全燃焼の炎を作り、無理矢理、一酸化炭素を生成した。ポチタロウはそのくすぶった炎を火球にして、魔王の顔めがけて何度も放った。



できそこないの炎エンバースできそこないの炎エンバースできそこないの炎っエンバースッ!」
「効かんわ!」



 火球は魔王に、ことごとく潰されたが、一酸化炭素は少しずつ充満し、魔王の脳にダメージを与えていった。



清浄なる水プリスティーンキュア・・・守る水膜アクオスレイヤー!・・・減退する水っリキッドコラプションッ!」



 サファは、味方の回復や強化をしつつ、隙を見て、魔王の脳の水分を減らしていった。相手の魔法耐性が強かったので、ほんの少しずつしか、水分を除去できなかったが、サファはそれでも、それを何度も繰り返した。ポチタロウと同じように。



 この「一酸化炭素を作るため」の「不完全燃焼」や「干からびさせるため」の「水分除去」は、大精霊本来の「火を創る/操る」「水を創る/操る」という本分から、かけ離れた行為だった。その為か、使うと自身がどんどん疲弊していった。



 ポチタロウとサファが、身を削りながら、魔王(の脳)を削っていった。タンクを担当したワフルがその二人を守った。城には素材(城壁等)がいくらでもあったので、ワフルはそれらを使い、ポチタロウの見よう見まねで、魔王の攻撃をうまくしのいだ。ワフルは抜群の運動神経と天性のカンを存分に発揮した。魔王は苛立った様子を見せるようになった。



 このワフルの立ち回りには「壁で空間を狭くする」意図もあった。魔王城の広い王座で、魔王の周りに、一酸化炭素を留めておくために。



 スーは空中で、それら全部の指揮をしながら、切り裂く真空の刃や竜巻で、時折、魔王の注意を逸らした。それらをこなしながら、仲間の元へだけ、新鮮な空気を密かに送り出し続けた。



「こしゃくな!」



 スーが司令塔なのと、空気の異変に気づいた魔王は、頭を押さえながらも、何か呪文のようなものを唱え始めた。みるみる魔王の体が大きくなる。その巨大化した体で、城壁や屋根やワフルの創った壁が、ガラガラと大きな音を立てて、崩れ落ちていく。密閉空間が瓦解した。



 魔王はそのまま、その大きな手を伸ばし、スーを 握り潰そうとした! が、間一髪、スーはその手から逃れた。



「ワフル、サファを!」
「わかったゾ!」



 それだけ言ったポチタロウは崩れ落ちる瓦礫をよけながら魔王を追った。両足の炎で飛び立った彼は、短剣を両手に携えていた。ポチタロウはグルリと大きく旋回し、炎を纏いながら、空へと舞い上がった。スーは双剣で、踊るように戦った、ミドウを想起して、胸が熱くなった。



 ワフルは上から落ちてくる瓦礫を、粉々の砂まで分解して、サファを守った。すかさずスーから声が飛ぶ。



「ワフル、3歩右、1歩前で!」
「わかったゾ!」



 ワフルはすばやく位置を変えると、砂化した瓦礫を全部、魔王とポチタロウの間に向けて放った。サファは逆側から、それに水を加え、泥水にして、魔王とポチタロウの間の視界を遮った。ポチタロウは両足の炎で、加速しながら、両手の短剣にも炎を宿した。そして、そのまま泥水につっこんでいった。
 


 ポチタロウが泥水に突っ込む寸前に、サファが水を解除した。ワフルが砂の進行方向を魔王へと切り替えた。後ろからのスーの風で、それは砂嵐になった。魔王へ向かうポチタロウにとっては、追い風になった。ポチタロウはさらに加速した。炎に風も纏わせていく。



 砂嵐の目潰しを盾にして、ポチタロウは両手の短剣に纏わせた炎を、クロスして魔王に放った。



「いっけぇーーーーーーーっ!!!」



 ゴオオオオォォォオオオオオォオオ!!! 
「グワアアアアァアァァァァアアアア!!!!!」



 X文字の炎が魔王を包んだ。火柱がドゴォォオーーーン! と天へ昇った。



 ポチタロウは、アニメで見そうな技を、実際に放った自分に、どういう感情を抱いていいのか? 良くわからなくなった。あと、技の名前を考えておくべきだったかな? と、変なところで後悔した。



・・・
・・・
・・・。



「やったの?」



 ひょこっとサファのふところから、リリが出てきてそう言った。そのセリフがフラグになり、魔王はヨロヨロと、立ち上がった。魔王との戦いはその後、泥仕合になった。



 ヘロヘロのサファとヘロヘロのポチタロウが、意識が朦朧としてヨロヨロの魔王に、対峙して、足止めした。スタミナの切れたボクサー同士のように、その攻撃の手数は、どちらも少なくなっていた。そこに容赦なく、ワフルとスーのコンビが割り込み、魔王にトドメを刺したのだった。



「「いっけぇーーーーーーーっ!!!」」



 二人が、トドメのセリフにこれを選んだのは、もちろん「ポチタロウリスペクト」だったが、ポチタロウは少し、恥ずかしかった。



 こうして「頭脳戦を展開してきた、魔王の頭を狙う(ただし物理的に)作戦」は、なんとか成功したのだった。



・・・
・・・
・・・。



「・・・。あれ? 帰りも徒歩? ・・・」



「ポチタロ? どうした? お腹、減ったカ?」
 ワフルがポチタロウに問う。



「いこ。ポチにぃ。あったか、おふとん、待ってるよ」
 スーが手を差し出す。



「・・・帰ろっか」
 ポチタロウが言った。



「「「うん!」」」
「おー」



 みんなで歓声を上げた後「帰りも徒歩」だと気がついて、少し呆然としたポチタロウだったが、仲間の声に呼び戻されて「帰りの一歩」をみんなで踏み出した。



ーーーーーー



ー 行きは良い良い帰りは怖い ー



 ・・・なんてことはなく。スー達は軽快に、帰り道を(すごい速度で)歩いていった。



「僕らが倒れてる間にそんなことが、あったんだ・・・」
「うん。あの時の、ワフル、すごかった」
「そうカ?」
「ワフルがすごかったのは、あたしも保証する! まあ、あたしの次くらいに、だけど!」
「ふふっ。リリのその自信は、どこから来るのよ?」



 いろんなことを話しながら、帰路を歩いた。同じ朝日を見て、同じ夕日を見て、山や草原、遠くの街並み、そんないろんな景色を見て、スー達はそれを共有した。スーは、みんなとなら、どこまでも、どこまでも、歩いていけそうな気がした。



 首謀者への張り手はどうでもよくなっていた。みんなで一緒にいれればよかった。フリイ達の思い出があればよかった。スーは野営地での食事終わりに「張り手は、もう、しなくていい」と、みんなに告げた。



「そっカ♪」
 ワフルは軽くそう言って、ニカッと笑った。



「それがスーちゃんの決めたことなら」
 サファも笑って、うなずいた。



「勝手にすれば?」
 奔放なリリはそう言った。だが、それは最初の頃に言った「勝手にすれば?」とは違う、柔らかい口調だった。



 ポチタロウは特に何も言わず、微笑んでいた。素晴らしい仲間に出会えたなぁ、と感慨にふけっていた。このうちの何人かとは、旅が終わったらお別れすることになるのかな? と少し哀しくなった。



「これからもずっと、みんなと一緒にいたいな・・・」
 ポチタロウはたき火の明かりを見つめながら、自然と、そうつぶやいていた。



「私も。勇者様やみんなと一緒にいたい・・・です」
 改心したサファは「二人」ではなく「みんな」との未来を想像するようになっていた。



「ワフルはポチタロと、ずっと一緒にいるゾ」
 最初の頃から、ワフルはなんとなく、そう決めていた。



「ボクも・・・。ボクも、ポチにぃとずっと、いる」
 もう行く場所のなかった、スーもそう言った。ただ、もしスーに行く場所があっても、彼女は、もうポチタロウと一緒にいることを、選んだだろう。



「あ、あたしもいてあげるわよ! ポチはあたしがいないと、どうしようもないんだから!」
 リリは、リリだった。照れ隠しで、つい、そう言ってしまう。やっぱりどこか素直になれないままだった。それでもポチタロウが大好きで、みんなも好きで、ずっと一緒にいるつもりだった。



 ともあれ・・・。



 「一緒にいたい」という気持ちは、みんな同じだった。改めてそれをお互いが認識しあって、わいわいキャイキャイと、はしゃぎあった。スーは、暖かくて嬉しくて、言葉にしきれない想いでいっぱいになった。



「僕は・・・僕は、みんなのことが、とってもとっても、大好きです!!!」



 突然、ポチタロウが立ち上がって、そう告白した。



ーーーーーー



 それまで、自分の気持ちをうまく伝えられなかったポチタロウは、その反動もあったのだろう。みんなが大好きで、すぐにでも結婚したいし、正直エッチなこともしたい、自分たちの居場所が欲しい・・・といったような内容を、一気にまくしたてた。



 他の4人はキョトンとした。引いてしまった訳ではなく、4人で話し合って「こうなったらいいな」と思ってたことを、ほぼそのまま、ポチタロウが口にしたことに、驚いていたのだ。また、わいわいキャイキャイと、はしゃぎ合うことになった。



・・・
・・・
・・・。



「たとえどこにいても、いつも、僕が、君の居場所になるよ。・・・スー、大好きだよ」
「ポチにぃ・・・」



 そんなことがあった後、スーは、ポチタロウからちゃんとした(一人ずつの)告白を受けた。瞳が潤み、股がじっとりと湿ってしまった。スーはポチタロウに「おまたを触って欲しい」と思った。でもそれは、何故か言い出せなかった。



・・・
・・・
・・・。



 歩きながら、それぞれの「欲しいもの」を発表しあったりもした。すでに「みんなでいれること」が最優先事項になっていたので「欲しいもの」は「王様達を怒らせない範囲」で選ぶことにした。「国を創る」という構想は「自治区」へと下方修正した。



 これ以上「欲しいもの」を多く望むつもりはなかった。一緒にいられるならば、それでよかった。スー達は5人で「みんな」になっていた。



 旅も終わりにさしかかり、セントルムが近づくと、これからの生活にわくわくして、ついついみんなの歩くペースはさらに上がってしまった。これまでペース配分をしてきたポチタロウも、エッチな妄想をしながら、気がはやり、止めるどころか、自らも早足になった。



 ここまで頑張ってきてはいたが、彼はまだ、童貞で早漏だった。



 セントルムへ着いた頃には、彼らは疲れ果てていた。王座までたどり着くと同時に、へたりこんだ。そのまま、泥のように3日間眠り続けた。



ーーーーーー



(きっと、あっちがいいよ)
 スーの頭の中で声がした。



・・・
・・・
・・・。



 いろいろバタバタしながらも、自治区がもらえることが正式に決定した。スーはいろんなところへ飛び、自分たちの住む自治区の候補を探していた。その時に、スーの頭の中でそんな声がしたのだ。「誰?」と、問いかけると返事があった。スーはその声としばらく対話をした。



 声の正体は、大精霊で、まだ自分と同じような背丈の少女だと知った。しばらく話を聞き続けると、満足したかのように、その少女は、口を閉ざした。



 スーは精霊の導きで、自分たちの「居場所」を発見した。



ーーーーーー



 スーの見つけた場所を、全員が気に入り、そこにあった家を改修して住むことになった。家の改修が終わって、そこに住みだしたら、今度はポチタロウの体が大きくなった。平和な日常に戻ったハズが、毎日のように、いろんなハプニングが起こった。



 原因究明の為、スーはポチタロウと一緒に、大精霊を宿してくれた老人のところへ行くことになった。スーはてっきり、みんなで行くものと思っていたが、他の女の子達3人はこう言った。



「スー、行ってこイ♪」
「スーちゃん、頑張ってね!」
「二人っきりのチャンス! モノにしなさいよ!」



 セントルムへ戻ってきてから、他の3人は、挿入にまでは、到ってなかったが、なんだかんだで、ポチタロウと性的な体験を「共有」していた。それらの情報は、女の子達の間で「共有」されていた。



「ボクだけ、まだ、なにも、してもらって、ない・・・」
 スーは、みんなの話を聞きながら、少し落ち込んでいたのだ。



 ポチタロウに他意はなく、ただ、スーの幼さと儚さに、躊躇していただけなのだが、それはスーの知るところではなかった。



 他の3人は、まだ経験のないスーを、二人きりにしてあげることを選んだ。


 
 こうして、スーはポチタロウと一緒に小さな旅に出た。



 大きなクジラの中でおじいちゃんに会った。エッチな本を見つけて、エッチな気持ちになった。ポチタロウにおまたを押しつけようとしたら「おじいちゃんの前だから」と、おあずけを喰らった。スーは少し、欲求不満になった。



 「スーちゃん。恥ずかしいところも、見せちゃえばいいよ! きっとポチくんも、興奮してくれる!」



 スーは旅立つ前にサファから、そんなアドバイスも、もらっていた。サファとしては胸や性器やパンチラを見せるように言ったつもりだったが、スーは、よりにもよって、ポチタロウにおしっこを見せることを選んだ。



 魔王討伐の途中に、ポチタロウにおしっこを見られて、初めて「(性的に)恥ずかしい」という感情を覚えたのが原因だった。



 自分としては「恥ずかしいところ」を見せたつもりだったスーだったが、ポチタロウにエッチな気持ちになったか? 尋ねると「ならなかった」と返答された。ポチタロウとしては、夜のオカズにしたいくらいだったのだが、それをそのまま言う勇気は、彼にはなかったし、まだどこか「紳士たれ」で、やってきたクセが抜けきっていなかった。



 ポチタロウと二人きりなのに、いろいろとうまくいかなかったスーは少し、イライラしてしまった。スーの恋心に対しては、ポチタロウは鈍感だった。戦ってる時の意思疎通はあんなにも出来たというのに・・・。



 こうして、スーは、強硬手段でポチタロウを、ラブホテルの前まで連れて行ったのだった。「ラブホテル」なるものの存在についても、サファから教えられていた。



「ポチにぃは、ボクには、エッチなこと、してくれないの?」
 ホテルの前で、スーはそう尋ねた。



 ポチタロウは「尻尾マイスター」のスーですら、見たことのない尻尾の動きと、表情を見せた後、「勇気を奮い立たせた時の尻尾」になり、スーの手を引いて、ホテルの中まで連れて行ってくれた。



 そうして、ようやく今。スーは、ホテルのベッドの上で、ポチタロウにキスをしてもらい、押し倒されていた。


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