【完結】悪役令嬢はゲームに巻き込まれない為に攻略対象者の弟を連れて隣国に逃げます

kana

文字の大きさ
89 / 122
ウインティア王国編

89

しおりを挟む
学園が休みの今日、ゾルティーの要望を叶えるためエリーがランを連れて王宮に来た。

ウォルシュ家の馬車から先に降りてくるエリーに手を差し出す。

「ルフィおはよう」

今日もエリーが可愛い。

「おはようエリー」

次に降りてきたのはランだ。
俺にはチラリと目を向けただけで、エリーの横に並んで歩き出す。

ランの大きさに驚く門番や、すれ違う文官や使用人の前を堂々とした足踏みで歩くランは注目を集めている。

「ラン~」

後ろから珍しく大きな声でランを呼びながら走ってくるゾルティー。
呼ばれたランはゾルティーに向かって走っていく。
白くて少し長い毛を靡かせ走る姿は確かに綺麗な犬だ。

「ゾル様おはようございます」

「おはようエリー嬢。兄上私を置いて行くなんて酷いですよ!私もランの出迎えがしたかったのに!」

「すまない」

悪いなんて思ってないがな。

「エリー昼食が済んだら母上と婚礼衣装の打ち合わせだが、母上のことは気にせずエリーの気に入った衣装を作ればいいからな」

「ルフィありがとう。でも王妃様の意見も取り入れたいわ。あんなに喜んでくれているもの」

確かに母上は今日を楽しみにしていたが・・・

「嫌なことは嫌って言ってもいいからな」

エリーは大丈夫よっと笑っているが、娘が欲しいとずっと言っていたあの母上だ、エリーが可愛いのは分かるが、やり過ぎないように釘をさしておくか。



打ち合わせが終わったらエリーと2人きりの時間を絶対に過ごす!





「お待たせエリーちゃん」

母上もう来たのか・・・

「今日は私のためにお時間を取ってくださりありがとうございます」

「いいのよ~さっ行きましょう」

「ルフィまた後でね」

エリーは母上に手を引かれて連れて行かれたが、俺もその間に済ませてしまいたい事があるからな。




「失礼します」

父上の執務室には既にゾルティーも来ていて隣に座っている。
父上の左右には騎士団長のタイロン伯爵と、新しく宰相に任命されたノットー伯爵が立っている。

前のソファにはゾルティーの婚約者候補に上がっている令嬢とその父親。

「なぜ呼ばれたか分かっているか?」

父上の言葉に令嬢は素直に頷くが、父親バレル伯爵の方は訳が分からずオロオロしている。

先に口を開いたのは令嬢だった。

「申し訳ございません。わたくしはゾルティー殿下の婚約者候補に相応しくありません。候補からご辞退させていただきたく存じます」

頭を下げる令嬢に対し父親の方は目を見開いて娘を見ているだけだ。

「そうだね。お腹の子は彼の子かい?」

「っ!ご存知でしたか、そうです彼を心から愛しております」

「お前は何を言っているんだ!」

手を上げようとした父親を騎士団長が止めたが、怒りが収まらないのか足まで出そうとしているが宰相の言葉に項垂れた。

「王族との婚姻の条件に純潔であることは絶対です」

父親の野心のせいでバレル令嬢を無理矢理ゾルティーの婚約者候補に上げたが、彼女には子供の頃から想い合う子息がいた。

今回のことは王家から令嬢を咎めることはなかったが、娘の気持ちを考えず自分の野心のために娘を使おうとした父親には、厳重注意と娘とお腹の子の父親との結婚を認めさせた。

「幸せになってね」

「ありがとうございます」

結婚を認められたバレル令嬢は何度も頭を下げながら父上とゾルティーにお礼を言って部屋から退室した。

「さて、もう一つも終わらせようか」

次に入室したのはドクトル侯爵とその娘。

挨拶を済ませてソファに座る令嬢とその父親の顔には喜びが隠しきれていない。

「なぜ呼ばれたか分かるか?」

「娘がゾルティー殿下の婚約者に選ばれたからではないでしょうか」

嬉しそうな顔もここまでだ。

「なぜお前の愛人をゾルティーの嫁に貰わねばならない?」

2人とも一瞬で真っ青になり、ガタガタ震えだした。

「年齢も誤魔化しているな」

「い、いえ・・・こ、これはその・・・」

「実際は22歳だと調べはついている」

これは本当だ。
17歳だと偽って学園まで通っている。
いくら童顔でも無理がある。

「実の娘を修道院に入れてまで、自分の愛人を王家に嫁がせ簒奪でも狙っていたか?」

「め、滅相もございません!わ、わたしは」

「もういい!言い訳はできぬぞ。引っ捕らえろ!」

「ちょっと!なんで私まで!贅沢させてやるって言ったじゃない!」

コイツは自分の愛人が選ばれると本気で思っていたようだが、平民が王家に嫁げるわけが無い。
調べたところ女が13歳の時からの関係だ。

ギャーギャー騒ぐ愛人と元侯爵は衛兵に引きずられながら部屋から出て行った。

別宅に閉じ込められ虐げられてきた本妻と、修道院に入れられていた娘は侯爵家の財産を渡して妻の実家に引き取られることが決まっている。

コイツらは爵位剥奪のうえ王家簒奪を図った罪で処刑される。


ゾルティーの婚約者候補四家のうち二家は片付いたが、あとの二家が慎重に動かないと厄介だ。

なんで四家ともに問題があるのか・・・

ゾルティーも女運ないよな。



しおりを挟む
感想 317

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。

ねーさん
恋愛
 あ、私、悪役令嬢だ。  クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。  気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…

記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~

Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。 走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。

転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした

ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!? 容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。 「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」 ところが。 ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。 無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!? でも、よく考えたら―― 私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに) お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。 これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。 じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――! 本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。 アイデア提供者:ゆう(YuFidi) URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464

私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?

きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。 しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……

「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。

海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。 アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。 しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。 「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」 聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。 ※本編は全7話で完結します。 ※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。

『お前の顔は見飽きた!』内心ガッツポーズで辺境へ

夏乃みのり
恋愛
「リーナ・フォン・アトラス! 貴様との婚約を破棄する!」 華やかな王宮の夜会で、第一王子ジュリアンに突きつけられた非情な宣告。冤罪を被せられ、冷酷な悪役令嬢として追放を言い渡されたリーナだったが、彼女の内心は……「やったーーー! これでやっとトレーニングに専念できるわ!」と歓喜に震えていた!

婚約破棄で、おひとり様になれるはずだったのに!?

パリパリかぷちーの
恋愛
主人公ルシアン・ヴァイオレットは、「悪役令嬢」として振る舞う孤独愛好家の公爵令嬢。念願だった第一王子アランとの婚約破棄を言い渡されると、内心では歓喜し、大都会の喧騒から逃れて森の奥の廃墟同然の別荘へと引きこもる。ルシアンの目的は、誰にも邪魔されない至高の静寂ライフを満喫することだった。 しかし、彼女の理想郷にはすでに先客がいた。それは、無口で無愛想だがハイスペックな謎の男、キース。実は彼は、王国の裏社会を統べる『影の英雄』と呼ばれる辺境伯であり、ルシアンの孤高の姿に心奪われた重度の隠れファンだった。

全てを捨てて消え去ろうとしたのですが…なぜか殿下に執着されています

Karamimi
恋愛
侯爵令嬢のセーラは、1人崖から海を見つめていた。大好きだった父は、2ヶ月前に事故死。愛していた婚約者、ワイアームは、公爵令嬢のレイリスに夢中。 さらにレイリスに酷い事をしたという噂まで流されたセーラは、貴族世界で完全に孤立していた。独りぼっちになってしまった彼女は、絶望の中海を見つめる。 “私さえいなくなれば、皆幸せになれる” そう強く思ったセーラは、子供の頃から大好きだった歌を口ずさみながら、海に身を投げたのだった。 一方、婚約者でもあるワイアームもまた、一人孤独な戦いをしていた。それもこれも、愛するセーラを守るため。 そんなワイアームの気持ちなど全く知らないセーラは… 龍の血を受け継いだワイアームと、海神の娘の血を受け継いだセーラの恋の物語です。 ご都合主義全開、ファンタジー要素が強め?な作品です。 よろしくお願いいたします。 ※カクヨム、小説家になろうでも同時配信しています。

処理中です...