【完結】悪役令嬢はゲームに巻き込まれない為に攻略対象者の弟を連れて隣国に逃げます

kana

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ウインティア王国編

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ウォルシュ家のメイドが俺たちを呼びに来た。
マイが到着したようだ。

俺たちが階段を降りているとエリーとライベルン嬢が先に迎えに出ていたようだ。

マイはエリーを見つけるなり睨みつけた。

エリーに何かするつもりか?
俺は慌てて走って間に入ろうとしたが、ガルの方が早かった。

「マイ、お前のその目はなんだ?」

ガルが俺たちが見たこともない鋭い目でマイを見下ろしている。

「あらガルザークもお呼ばれしていたの?私も楽しみにして来たの」

ガルの質問には答えず、俺たちを確認すると甘えた声で「今日は呼んでくれてありがとうございます~」なんて甘えた声で言っているが、エリーに向けたあんな目を見たあとでは誰も返事をしようとはしない。

「マイさん案内するわね。みんなも着いてきてね」

エリーはマイに優しく声をかけたが、俺の方をちらりと見て冷たく笑って見せた。
こんなエリー初めてだ。
いつも呑気なエリーだが、さすがにマイの悪意には気付いたようだ。

エリーに何かすれば俺は女だろうが加減なしで手をあげる自信がある。

通された部屋はテラスに直接出られるようになっていた。
そこにはバーベキューの用意がされていたが乗せているのは網ではなく鉄板だった。
それも同じ物が2つ・・・。
横のテーブルには混ぜ合わせた何か・・・
他にも肉や卵も用意されている。

「「エリー嬢何ができるのですか!」」

お好み焼きに興味津々なグレイとザックだが、マイの動き一つにも警戒している。

「それは出来てからのお楽しみ」

「あの何か私に手伝えることはありませんか」

「マイさんはお客様ですもの座って待っててね」

間違いない!エリーは怒っている。

「私は出来るまでランと遊んでいていいかな」

「お願い!ランも喜ぶわ」

ランを呼ぶなり真っ直ぐゾルティーに向かって走ってくるラン。

「なにあれデカすぎ奇形じゃないの」

マイは小さな声で言ったつもりかもしれないが、この部屋の全員に聞こえた。

エリーとゾルティーのこめかみに青筋が・・・
ガル、グレイ、ザックの顔からは表情が消えた。
アランとレイは・・・いつもの黒い笑顔だ。

ランはこのメンバーのマスコット的存在だ。
そんなランを馬鹿にするなんて、お前は本当にバカだな。

「か、かわいい!なんてかわいい子なの?この子はエリー様のワンちゃんですの?嫁ぐ時も王宮に連れて行きますよね?ランちゃんのお世話も私が致しますわ!」

いつも冷静なライベルン嬢が興奮している。
ゾルティーと気が合いそうだな。

「そ、そうね、かわいいわ」

お前は何も話すな!
これ以上皆をイラつかせるな!

いつもなら誰にでも(俺以外)愛想を振りまくランがマイに唸って威嚇している。
本能で危ないヤツだと分かるんだな。
賢いぞラン!
皆もそんなランを見て殺気立った雰囲気も落ち着いてきた。

その間もエリーはお好み焼きとやらを焼いている。



「さあ、出来たわよ」

ん?これはなんだ?

エリーが黒い?茶色い?ソースを塗って上からパラパラと何かを振っている。
皆も目が点になっているが、エリーの作ったものだ味に不安は無い。
エリーが切り分けてそれぞれの皿に盛っていく。

「まあ食べてから感想を聞かせて」

皿の横にはエリー特製のマヨネーズも付いているから、これに付けて食べるんだな。

「美味い!」

「「美味しいです!」」

「・・・マジ、お好み焼きじゃん」

凄い勢いで食べるガル、グレイ、ザック。
そりゃあ鉄板が2枚いるわ。

次々焼いていきながらも、"とんぺい焼き"なる物も出てきた。
これも美味しい。

「・・・やっぱりね」

何やらマイがブツブツ独り言を言っているが誰も相手にしない。

「ねえ、エリザベートさん。あとで2人で話がしたいんだけど」

何偉そうに言ってるんだ!

「おい!名前で呼ぶことを許してないぞ!」

「いいのよルフィ。これっきりだから、ね」

「じゃあ、わたしも話したいことがあるから一緒に話しましょう」

レイもいるなら安心か?

それにしても、この2人の顔・・・エリーいつからそんな黒い笑顔が出来るようになったんだ?

腹いっぱい食べたあとは、いつものようにレイがお茶を淹れて一息ついたところで、エリーから切り出した。

「マイさんお待たせしました。部屋を移動しましょうか」

「ええ、その方がエリザベートさんにも都合がいいでしょう」

生意気な口をきかれても全く動じないエリーはさすがだが、俺も着いて行こうと腰を上げるとアランに動かないよう目配せされた。

「じゃあ行きましょうかマイさん」

部屋から退室する3人の後ろ姿を見送るとアランが「何を聞いても絶対に声を出さないで下さい」と念を押おして俺とゾルティーだけが案内された部屋の窓からはエリーとレイそしてマイの姿が見えた。

「このガラスは特殊加工されているので向こうからこちらは見えません。でも声は聞こえるので気を付けて下さい」

頷く前にマイの声が聞こえた。

「もう分かっているのよ!あんた転生者でしょ?」

「・・・・・・だから何?」

無表情のエリーと、レイの冷めた目に一瞬怯んだマイだがエリーを睨みながら叫んだ。
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