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彼女の口から語られたのは、ここ数日のクラリスの様子だった。
「姉のアイリーンはどんなに大変なことでもそつなくこなせるようになるまで努力する根性があったのに、あの子は挨拶も満足に出来ないのね?外交云々のまえに、この国の歴史さえ満足に理解していない。その上この国の貴族すら顔と名前を把握出来ていないと来た。完全なる力不足にも関わらず、少しでも注意するとすぐ泣いて『王妃殿下は私が気に入らないからいじめるのですね……!』と来た……。どうにもならないわ。あんなのを王室に迎え入れたりなどしたらこの国が終わってしまうわ。」
「あぁ。アイリーンが事故にあってしまったから妹を、と侯爵が頼み込んで来たから様子見してみたものの、あそこまで酷いと話にならん。どれほど我々が手を尽くしたところで直ぐにボロを出すだろうさ。そもそもあれは我々の話に耳を貸さない。血縁者だから流石に噂ほど酷くはないだろうと高を括ったのが間違いだった。まさか社交界に流れる噂が抑えられてあれだったとは……。」
そう言うと、彼らは深い溜息をついて、再び頭を抱えて静かに項垂れてしまった。
妹のあまりのやらかしっぷりに、アイリーンは真っ青な顔で震えることしか出来ない。本来ならば、今すぐにでも項垂れる国王夫妻の前に馳せ参じて、額を地面に擦り付けて謝りたい位なのだが、ギルバートに止められているため、唇を噛み締めて、飛び出していくのを仕方なく堪えていた。
アイリーンが国王夫妻の会話を聞いたことを確認すると、ギルバートは静かにアイリーンの手を引いてその場を離れた。そうして彼に連れてこられたのは、ギルバートと話す為に王宮を訪れた時によく使っていた、彼の部屋と続きの間になっている場所だった。
彼女の口から語られたのは、ここ数日のクラリスの様子だった。
「姉のアイリーンはどんなに大変なことでもそつなくこなせるようになるまで努力する根性があったのに、あの子は挨拶も満足に出来ないのね?外交云々のまえに、この国の歴史さえ満足に理解していない。その上この国の貴族すら顔と名前を把握出来ていないと来た。完全なる力不足にも関わらず、少しでも注意するとすぐ泣いて『王妃殿下は私が気に入らないからいじめるのですね……!』と来た……。どうにもならないわ。あんなのを王室に迎え入れたりなどしたらこの国が終わってしまうわ。」
「あぁ。アイリーンが事故にあってしまったから妹を、と侯爵が頼み込んで来たから様子見してみたものの、あそこまで酷いと話にならん。どれほど我々が手を尽くしたところで直ぐにボロを出すだろうさ。そもそもあれは我々の話に耳を貸さない。血縁者だから流石に噂ほど酷くはないだろうと高を括ったのが間違いだった。まさか社交界に流れる噂が抑えられてあれだったとは……。」
そう言うと、彼らは深い溜息をついて、再び頭を抱えて静かに項垂れてしまった。
妹のあまりのやらかしっぷりに、アイリーンは真っ青な顔で震えることしか出来ない。本来ならば、今すぐにでも項垂れる国王夫妻の前に馳せ参じて、額を地面に擦り付けて謝りたい位なのだが、ギルバートに止められているため、唇を噛み締めて、飛び出していくのを仕方なく堪えていた。
アイリーンが国王夫妻の会話を聞いたことを確認すると、ギルバートは静かにアイリーンの手を引いてその場を離れた。そうして彼に連れてこられたのは、ギルバートと話す為に王宮を訪れた時によく使っていた、彼の部屋と続きの間になっている場所だった。
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