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だが、そんなカミラの自信と淡い期待も即座に崩れ去ることとなってしまった。
「五月蝿いな……。今、僕はお前と話してないんだ。話の邪魔をするな、しつこい。」
うざったそうに手を振ってカミラを追い払おうとする。そのあまりにも突然な手のひら
返しに、カミラに絶句するしかなかった。
「なぁ、フェリア。やり直そう。ちゃんとお前を大事に扱ってやるから…………。」
そう言ってリオルはカミラの手を取ろうとした。しかしその一瞬前、彼女はひらりと
身を翻すと、その手から逃れた。
「気安く触れないでくださる?気分悪いですわ。」
そう冷たく言い放つフェリアに、リオルは困惑したような表情を浮かべる。思っていた反応と違ったのだろうということが見て取れる。
「な……どうしたんだ、フェリア?照れているのか?」
リオルはそう言いながら再びフェリアに向かって手を伸ばす。しかし。
「その呼び方もやめてくださいませ、なれなれしい。一体何のつもりですの?」
フェリアは手に持っていた扇そばたんと閉じると、ぴくりと自分に向かって伸ばされた
リオルの手を叩き落とした。
「一度僕に振られたんだ、信用出来ないのかもしれないがそこまで冷たくしなくたっていいだろう!!」
「何をこの期に及んで勘違いなさっているの?なれなれしくしないで、と言ったのにまだそんな態度でいるんですの?無礼にも程がありますわ。」
フェリアの声は決して大きい訳ではない。だが、言葉の一つ一つが持つトゲと毅然とした態度には、有無を言わさぬ迫力があった。
「ぶ……無礼だと……?この俺が…………!?」
「ええ。間違いなく無礼ですわ。あなたの自己評価がどれ程のものか知りませんけれど、一度ご自身を客観視なさったら?」
伯爵令息ごときが公爵令嬢たる自分に取る態度ではない。
直接そこまでは言わずとも、言葉の端々からそう読み取れた。
だが、そんなカミラの自信と淡い期待も即座に崩れ去ることとなってしまった。
「五月蝿いな……。今、僕はお前と話してないんだ。話の邪魔をするな、しつこい。」
うざったそうに手を振ってカミラを追い払おうとする。そのあまりにも突然な手のひら
返しに、カミラに絶句するしかなかった。
「なぁ、フェリア。やり直そう。ちゃんとお前を大事に扱ってやるから…………。」
そう言ってリオルはカミラの手を取ろうとした。しかしその一瞬前、彼女はひらりと
身を翻すと、その手から逃れた。
「気安く触れないでくださる?気分悪いですわ。」
そう冷たく言い放つフェリアに、リオルは困惑したような表情を浮かべる。思っていた反応と違ったのだろうということが見て取れる。
「な……どうしたんだ、フェリア?照れているのか?」
リオルはそう言いながら再びフェリアに向かって手を伸ばす。しかし。
「その呼び方もやめてくださいませ、なれなれしい。一体何のつもりですの?」
フェリアは手に持っていた扇そばたんと閉じると、ぴくりと自分に向かって伸ばされた
リオルの手を叩き落とした。
「一度僕に振られたんだ、信用出来ないのかもしれないがそこまで冷たくしなくたっていいだろう!!」
「何をこの期に及んで勘違いなさっているの?なれなれしくしないで、と言ったのにまだそんな態度でいるんですの?無礼にも程がありますわ。」
フェリアの声は決して大きい訳ではない。だが、言葉の一つ一つが持つトゲと毅然とした態度には、有無を言わさぬ迫力があった。
「ぶ……無礼だと……?この俺が…………!?」
「ええ。間違いなく無礼ですわ。あなたの自己評価がどれ程のものか知りませんけれど、一度ご自身を客観視なさったら?」
伯爵令息ごときが公爵令嬢たる自分に取る態度ではない。
直接そこまでは言わずとも、言葉の端々からそう読み取れた。
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