お望み通り、別れて差し上げます!

珊瑚

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「い、いや…………でも僕とフェリアは再び…………。」
「あなたへの気持ちなんて、一切残っておりませんの、あそこまではっきり伝えてもまだ分かりませんの?こちら側に一切メリットの無い婚約がやっと無くなったのに復活させて、地獄のような結婚生活を送る必要がどこにあって?」

リオルがもごもごと反論したのを言い終わる前に、フェリアがキッパリと切り捨てた。リオルはまだ何か言おうとしているが、全ての反論材料を奪われた今、はくはく
と口を開閉することしか出来なかった。
「本来ならばそれで終わるはずだったのだが……。」

リオルが静かになったのを見計らってファルコが話を続ける。直前まで旗色が悪かったリオルは、それがひっくり返されることにわずかな希望を見出していた。

「婚約を白紙に戻す際、貴様はその理由に偽りを述べたな。」

リオルのわずかばかりの希望は即座に打ち砕かれた。

「婚約破棄の際、嘘を述べた場合は、支払う倍償金が倍額になる。そういう契約であったな。」

反論される隙を作らないよう、淡々と話を進めていく。今までの様子から、途中でリオルが割り込んでくることは容易に予測できた。そうなれば彼を黙らせるために労力を割かざるを得ないので、それまでに出来るだけ話を進めておきたいと考えたのだ。

「お前がこのことについてどこまで伯爵から聞いているかは正直なところ全く知らない。だが、もし疑うのならこの場で、今ここにいる者全員を証人として契約書を公開することも可能だ。」

このまま終わらせられれば戦果としては上々なのだが、後々難癖をつけられても困るので、リオルが何か言いたげにしているものが形になるまで待ってみることにした。事実は勿論、周囲の状態も含め今が一番、彼をやり込めるのに丁度良い状況なのだ。しばしの沈黙がその場を支配した。

「……我々が婚約破棄の理由について嘘をついた、というのは一体どういうことでしょうか。」
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