木を叩いただけでレベルアップ⁉︎生まれついての豪運さんの豪快無敵な冒険譚!

神崎あら

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12話 エイドリアンの正体

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「こ、ここは……」

 気がつくと見慣れない草原に俺はいた。

「あ、ベヒモス!」
「……」
「良かったぁ、なんとか間に合ったみたいだな」

 起き上がり辺りを見渡すと、すぐ近くにベヒモスがいた。
 どうやら俺は異空間の扉にうまく入れたらしく、デリアリの外へと飛ばされずに済んだようだ。
 にしてもなんて広い草原なんだ、デリアリの半分くらいありそうだ。
 それに奥には山も見える。
 なんだかとんでもないものを俺は創ったらしい。
 にしても赤毛のティアナがあんなに強いとは、アビリティもどうやら豊富そうだけど一番厄介なのはギフトスキルだよなぁ。
 仕方ないアレを使うか。

「よし、そうと決まればもう一回リベンジといこう」

 俺は入ってきた扉をもう一度開け、現実世界に戻ることにした。

「行ってくるよベヒモス」
「……」

 あ、相変わらずこいつは無愛想だな……。


「見つけた」

 王都デリアリに戻ると早速俺は広域知覚センサーによりティアナの位置を特定した。
 場所はスラムと呼ばれている場所だった。

「お、いたいた」 

 ティアナの近くに瞬間移動すると彼女が家らしき建物に入って行くのが見えた。

「ティアナおかえりー」
「ただいまー」

 ティアナが家に入ると小さな女の子が抱きついた。
 え、子供?
 いやいやまさか、俺とそんなに歳変わらなそうだし妹とかだよな。

「誰?いるのはわかってるから出てきなさい」

 げっ、バレたのか。
 そう言ってティアナは家の奥を睨んだ。
 ん?なんだどうやら俺ではないようだが……。

「やぁティアナ」
「……エイドリアン」

 ティアナがそう言うと家の奥から男が出てきた。
 あれがエイドリアンか。
 つかなんでティアナの家にいるんだ?

「困るんだよティアナ、私の友達を襲ってもらっては」
「ふっ、なにさっきのおデブちゃんあんたの友達なの?」
「ええまぁね、私の大切な取引相手なんだよ」
「へー、あんたももっと友達選んだ方がいいと思うよ、あのおデブちゃん人身売買関連のお偉いさんだから」
「よく知ってるねティアナ、その通りだよ」

 エイドリアンはそう言って、ティアナと妹に近づいた。
 人身売買?なんか俺が心配していた事とエイドリアンが繋がりそうだな。
 タマキさん……。

「き、貴族のあんたが関わっていい相手では無さそうだけど」
「ほぉ私の心配をしてくれるのか嬉しいねぇ、でも心配無用だよだって……」
「……しまった」
「私が彼の会社のオーナーだから」

 気がつくと家の周りはなにやら物騒な物を持った男達に囲まれていた。
 なるほど、これがエイドリアンの正体か。
 表では第二区画を預かる貴族、裏では人身売買関連を取り仕切る悪党。
 これはタマキさんが心配だな。

「さぁてどうするティアナ、君の強さは知っているからこっちとしては戦う事なく殺されて欲しいのだけれど」
「はは、何言ってんだかせっかくここまで来たんだ私はもっと生きる」

 取り囲んでるのは15人ほどか……結構な人数だな。
 まぁでも彼女にはあの強いギフトスキルがあるし大丈夫だとは思うけど……ちょっと念のため解析してみるか。
 俺は少し気になる事があった為、彼女のスキルを改めて解析したみた。
 解析は基本、俺が喰らった攻撃や能力なんかを解析できるのでギフトスキルもいけると良いんだけど。
 お、どうやらできたようだな……やっぱり彼女のスキルには回数制限があったのか。
 ギフトスキルー力操作、1日2回のみしか発動できないがその能力は絶大でありとあらゆる力のコントロールを可能にする。
 ティアナは今日少なくとも俺に一回は使用しているから撃ててあと一回か。
 仕方ない助けるか。

「ほぉ、この人数相手にやる気があるとはさすがは元王族直下のエリート兵士さんだな」
「……うるさい」
「でもさすがの君でもこれは辛いのではないかな?」

 そう言ってエイドリアンはポッケからなにやら黒い石を取り出した。
 にしても王族直下とは、なるほどだからあんなに強いのか。

「そ、それは」
「知ってるのか大したものだねティアナ、そうこれは渇望石さ、偽造石や希望石とならぶ3石の一つでその効果は特定の異能力の封印」
「くっ、なんであんたがそれを」
「おいおい私も貴族だよ、護身用に王から貰ったんだよ、別に奪ったりとかはしてないさ」

 渇望石なるものを見るや否やティアナにそれまでの余裕が無くなり、なにやら動揺しているように見えた。
 つか渇望石とか初めて聞いたな偽造石みたいものかな、ていうかそれよりも異能力の封印って結構まずくないか。
 もう迷ってる暇は無さそうだな。

「おい!そこまでだお前ら」
「ん?なんだね君は」
「……オルクスさん⁉︎」
「俺は国営ギルド天……」
「天?」

 エイドリアンを止めるべく勢いよく出たが、な、名乗りたくねぇ。
 天神会所属の冒険者であることを名乗ってしまったら、もう社会という歯車の一つになったと認めてしまうことになる。
 そんなの嫌だ!俺はもっと自由がいいんだ。

「いや失礼、俺は国営ギルドに転職したいと思っている冒険者だ」
『は?』

 俺がそう言うとエイドリアンとティアナ両方からヤバい奴を見る目をされた。
 なんか間違っている気がするが、他に思いつくものが何もなかったのでこれで良しとしよう。
 とにかくこいつを、エイドリアンを捕らえて色々教えてもらわないとな。

 

 
 




 
 

 


 


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