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マダム・リンド
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ヴィンセントはハンカチを差し出し、優しい声で語りかけた。
「キツいことを言ってすまない。だけど、僕はウォルターの考えは間違っていると思う。君はもっと評価されるべき人間だし、もっと人生を楽しむべきだと思う。何よりも、君には自分自身を好きになって欲しいし、結婚するなら君が尊敬できる、愛せる人とするべきだと思うんだ」
「殿下……」
ヴィンセントはリア、と女の護衛を呼んで何か耳打ちしてからアンジェリカに告げた。
「アンジェリカ、この後少し時間あるかな」
「……はい、大丈夫です」
「君を連れて行きたい所があるんだ」
そう言って立ち上がり、アンジェリカをエスコートして店を出た。
「どちらに寄るのですか?」
「すぐ近くだから歩いて行けるよ。でもまだ内緒」
やがて足を止めたのは、有名なドレスメイカー、マダム・リンドの店だった。
「殿下、ここは……」
この店は王族御用達であり、もちろんお金さえ払えば誰でも買うことは出来るのだが、とにかく目が飛び出すほどの金額である。クスバート家でも母が年に二着作るくらいが精一杯だ。
尻込みするアンジェリカの手を少し強めに引いて、ヴィンセントは中へ入って行く。
「いらっしゃいませ、ヴィンセント王子殿下。お待ちしておりました」
従業員が居並ぶ中、奥のVIPルームに通された。リアも中にいたので、彼女が先に話を通しておいたのだろう。
「ようこそいらっしゃいました」
上品なマダムが現れた。彼女がこの店の主、マダム・リンドらしい。
「先日は母が世話になったな。緑の夜会服は殊の外気に入っていたぞ」
「ありがたきお言葉でございます、ヴィンセント殿下。本日はこちらのご令嬢の採寸でございますね」
「ああ。彼女の背筋が伸びるような、そして彼女にぴったりのドレスを作って欲しい」
「……殿下!」
アンジェリカは慌ててヴィンセントに駆け寄った。
「とんでもありません! マダム・リンドのドレスを私になんて、ドレスが可哀想すぎますわ!」
「いいんだよ。僕が君に贈りたいんだから。君にはそれだけの価値があると思ってるんだ。さあ、まずは採寸だ。マダムに任せておけばすぐに済むよ」
「さあ、お嬢様こちらへ」
アンジェリカはマダムに手を引かれて採寸室へ入った。そして制服を脱ぐように指示をされた。とても丁重な態度を取ってくれているが、こんなロバみたいな顔の娘の採寸なんてやりたくないに決まっている。アンジェリカは半分泣きそうになりながら従った。
「キツいことを言ってすまない。だけど、僕はウォルターの考えは間違っていると思う。君はもっと評価されるべき人間だし、もっと人生を楽しむべきだと思う。何よりも、君には自分自身を好きになって欲しいし、結婚するなら君が尊敬できる、愛せる人とするべきだと思うんだ」
「殿下……」
ヴィンセントはリア、と女の護衛を呼んで何か耳打ちしてからアンジェリカに告げた。
「アンジェリカ、この後少し時間あるかな」
「……はい、大丈夫です」
「君を連れて行きたい所があるんだ」
そう言って立ち上がり、アンジェリカをエスコートして店を出た。
「どちらに寄るのですか?」
「すぐ近くだから歩いて行けるよ。でもまだ内緒」
やがて足を止めたのは、有名なドレスメイカー、マダム・リンドの店だった。
「殿下、ここは……」
この店は王族御用達であり、もちろんお金さえ払えば誰でも買うことは出来るのだが、とにかく目が飛び出すほどの金額である。クスバート家でも母が年に二着作るくらいが精一杯だ。
尻込みするアンジェリカの手を少し強めに引いて、ヴィンセントは中へ入って行く。
「いらっしゃいませ、ヴィンセント王子殿下。お待ちしておりました」
従業員が居並ぶ中、奥のVIPルームに通された。リアも中にいたので、彼女が先に話を通しておいたのだろう。
「ようこそいらっしゃいました」
上品なマダムが現れた。彼女がこの店の主、マダム・リンドらしい。
「先日は母が世話になったな。緑の夜会服は殊の外気に入っていたぞ」
「ありがたきお言葉でございます、ヴィンセント殿下。本日はこちらのご令嬢の採寸でございますね」
「ああ。彼女の背筋が伸びるような、そして彼女にぴったりのドレスを作って欲しい」
「……殿下!」
アンジェリカは慌ててヴィンセントに駆け寄った。
「とんでもありません! マダム・リンドのドレスを私になんて、ドレスが可哀想すぎますわ!」
「いいんだよ。僕が君に贈りたいんだから。君にはそれだけの価値があると思ってるんだ。さあ、まずは採寸だ。マダムに任せておけばすぐに済むよ」
「さあ、お嬢様こちらへ」
アンジェリカはマダムに手を引かれて採寸室へ入った。そして制服を脱ぐように指示をされた。とても丁重な態度を取ってくれているが、こんなロバみたいな顔の娘の採寸なんてやりたくないに決まっている。アンジェリカは半分泣きそうになりながら従った。
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