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誕生日の悲鳴
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次の日、学園では二人の婚約話で大騒ぎだった。
「まさかあの残念姫が本当に婚約するなんて!」
登校してきたアンジェリカはクラスメイトに囲まれてしまった。少し身構えたアンジェリカだったが、意外にも祝福の言葉が多かった。
「おめでとう、アンジェリカ。良かったわね」
クリスティンですらお祝いの言葉をくれた。
「まあ、ヴィンセント殿下の好みにたまたま合ってたってことだから。本当に良かったわよ」
「ありがとう、クリスティン」
ウォルターはこの日も休みだった。
「ショックで出て来られないのかもなあ」
などと、男子達は噂をしていた。
ヴィンセントは、この日は学園を休むとアンジェリカは聞いていた。国の用事があるのだそうだ。リアを護衛に置いてくれているので、アンジェリカは安心して過ごすことが出来ている。
(明日の誕生日は一緒に過ごそうって言って下さった。こんなに誕生日が待ち遠しかったことはないわ)
その日の夜、アンジェリカは念入りに顔の手入れをした。いつも通りの顔だけどツヤが増した気がする、と思いながらすぐに眠りに落ちた。
翌朝、クスバート家の屋敷に悲鳴が響き渡った。
「何だ? どうしたんだ」
「アンジェ? アンジェの部屋だわ」
父と母は寝間着のままで使用人を連れてアンジェリカの部屋に急いだ。まさか強盗でも?
部屋に入ると、アンジェリカが鏡の前で顔を覆って震えていた。
「アンジェ! どうしたの? 何があったの?」
母が、アンジェリカを抱き締める。顔を覆い隠そうとするアンジェリカの両手を、父が強引に開こうとした。
「やめて……! 私の顔が、変なの……!」
アンジェリカは泣き叫んでいる。
「変とはどういうことだ。見せてみろ、アンジェリカ!」
アンジェリカの力が抜けた。母がゆっくりと、両手を顔から引き離すと、そこには昨日までのアンジェリカとは違う顔があった。
「アンジェ……?」
父も母も使用人達も、呆気に取られた。なぜなら、ロバのように長い鼻の下、左右に離れた小さな目、そして大きな鼻はそこには無かった。
代わりにあるのは、長いまつ毛に縁取られた美しい菫色の大きな瞳、形の良い鼻、そして花びらを重ねたような愛らしい桜色の唇。
肌はシミもそばかすもなくすべすべとして陶器のようで、それらが全てスッとした面長の輪郭の中にバランス良く収まっていた。
くすんでいた金髪は輝きを取り戻し、柔らかなウェーブがふわふわと背中を覆っていた。
「アンジェ! 急に美人になって、どうしたの?!」
「絶世の美女じゃないか! 一体全体、どうしてこんな事に?」
「わからないわ! ゆうべ、念入りに顔のお手入れはしたけれど、それだけよ! 私、全く別人の顔になってしまったわ!」
「でもアンジェ、六歳までのあなたの面影そのままだわ? そうよ、あのまま育ったらきっとこんな風になると思っていたのよ」
「そうだぞ、アンジェリカ。美しくなったのだからいいではないか」
「だって……! ヴィンセント殿下は、昨日までの私を好きだと言って下さっていたのよ! それなのに、こんなに顔が変わってしまったら、もう好きでいてもらえない……!」
アンジェリカは泣き崩れた。
「そんな、アンジェ……そんな事ないわよ、殿下なら」
「だって、殿下はいつもの顔を褒めて下さっていたの。この顔が殿下の好みじゃなかったらどうしよう、お母様……!」
母は娘をただただ抱き締める事しか出来なかった。それにしても、これは一体どういう事なのか?どうして一晩でこんなに顔が変わってしまったのだろうか。
「まさかあの残念姫が本当に婚約するなんて!」
登校してきたアンジェリカはクラスメイトに囲まれてしまった。少し身構えたアンジェリカだったが、意外にも祝福の言葉が多かった。
「おめでとう、アンジェリカ。良かったわね」
クリスティンですらお祝いの言葉をくれた。
「まあ、ヴィンセント殿下の好みにたまたま合ってたってことだから。本当に良かったわよ」
「ありがとう、クリスティン」
ウォルターはこの日も休みだった。
「ショックで出て来られないのかもなあ」
などと、男子達は噂をしていた。
ヴィンセントは、この日は学園を休むとアンジェリカは聞いていた。国の用事があるのだそうだ。リアを護衛に置いてくれているので、アンジェリカは安心して過ごすことが出来ている。
(明日の誕生日は一緒に過ごそうって言って下さった。こんなに誕生日が待ち遠しかったことはないわ)
その日の夜、アンジェリカは念入りに顔の手入れをした。いつも通りの顔だけどツヤが増した気がする、と思いながらすぐに眠りに落ちた。
翌朝、クスバート家の屋敷に悲鳴が響き渡った。
「何だ? どうしたんだ」
「アンジェ? アンジェの部屋だわ」
父と母は寝間着のままで使用人を連れてアンジェリカの部屋に急いだ。まさか強盗でも?
部屋に入ると、アンジェリカが鏡の前で顔を覆って震えていた。
「アンジェ! どうしたの? 何があったの?」
母が、アンジェリカを抱き締める。顔を覆い隠そうとするアンジェリカの両手を、父が強引に開こうとした。
「やめて……! 私の顔が、変なの……!」
アンジェリカは泣き叫んでいる。
「変とはどういうことだ。見せてみろ、アンジェリカ!」
アンジェリカの力が抜けた。母がゆっくりと、両手を顔から引き離すと、そこには昨日までのアンジェリカとは違う顔があった。
「アンジェ……?」
父も母も使用人達も、呆気に取られた。なぜなら、ロバのように長い鼻の下、左右に離れた小さな目、そして大きな鼻はそこには無かった。
代わりにあるのは、長いまつ毛に縁取られた美しい菫色の大きな瞳、形の良い鼻、そして花びらを重ねたような愛らしい桜色の唇。
肌はシミもそばかすもなくすべすべとして陶器のようで、それらが全てスッとした面長の輪郭の中にバランス良く収まっていた。
くすんでいた金髪は輝きを取り戻し、柔らかなウェーブがふわふわと背中を覆っていた。
「アンジェ! 急に美人になって、どうしたの?!」
「絶世の美女じゃないか! 一体全体、どうしてこんな事に?」
「わからないわ! ゆうべ、念入りに顔のお手入れはしたけれど、それだけよ! 私、全く別人の顔になってしまったわ!」
「でもアンジェ、六歳までのあなたの面影そのままだわ? そうよ、あのまま育ったらきっとこんな風になると思っていたのよ」
「そうだぞ、アンジェリカ。美しくなったのだからいいではないか」
「だって……! ヴィンセント殿下は、昨日までの私を好きだと言って下さっていたのよ! それなのに、こんなに顔が変わってしまったら、もう好きでいてもらえない……!」
アンジェリカは泣き崩れた。
「そんな、アンジェ……そんな事ないわよ、殿下なら」
「だって、殿下はいつもの顔を褒めて下さっていたの。この顔が殿下の好みじゃなかったらどうしよう、お母様……!」
母は娘をただただ抱き締める事しか出来なかった。それにしても、これは一体どういう事なのか?どうして一晩でこんなに顔が変わってしまったのだろうか。
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