愛する人は、貴方だけ

月(ユエ)/久瀬まりか

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月夜の兄妹

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 公爵家の門をくぐってからも、まだ馬車は止まる様子がない。

(何これ……門の中に公園があるの?)

 美しく整えられた緑の庭園にケイトは目を奪われていた。途中に噴水も見える。

 長いドライブの末ようやく屋敷に到着し、モースに手を取られて恐る恐る馬車から足を踏み出した。ふと顔を上げて正面を見ると、大きな扉が開け放されていて屋敷の中を見渡すことが出来た。広くて天井の高い玄関ホールには手前から奥に向かってズラリとメイドや使用人が並び、一番奥に恰幅のいい男性とスラリとした少年がこちらを向いて立っている。

「さあ、ケイト様。お進み下さい」

 モースが促し、ケイトは自分がその場に立ちすくんでいたことに気付いた。慌てて歩き出そうとしたが、緊張のためか上手く歩けていない気がする。ここにいる自分のあまりの場違いさに足が震え、両側に居並ぶメイド達の視線が気になって仕方がない。

 半分くらい進んだ所で、奥に立っていた男性が待ちきれないとばかりにこちらへ向かって来るのが見えた。彼の顔には明らかに喜びが浮かんでいた。

「ケイト! よく来てくれた! 会いたかったぞ!」

 男性に思い切りハグされ、ケイトは驚きで目を白黒させていた。

「なんと、ハンナにそっくりではないか。美しい金髪、エメラルドのごとき緑の瞳……」

 目を潤ませて見つめてくる。

(この人が私のお父さん? 優しそうな茶色い目だわ。こんなに喜んでくれるなんて、私、本当に歓迎されてるのかも……?)

「あの、アークライト公爵様、ケイトです。よろしくお願いします」

「何を他人行儀なことを言うのだ! 私は父親だぞ? お父様と呼んでくれ、お父様と」

 ニコニコしながら圧を掛けてくる。その圧に押され、蚊の鳴くような声で答えた。

「お、お父様……」

 公爵はワッハッハと大きな声で笑うともう一度ケイトを抱き締めた。

「いい子だ! さあ、向こうで話をしよう。ブライアンも行くぞ!」

 ブライアンと呼ばれた少年は公爵とは対照的に無表情で、軽く頭を下げて従った。

 廊下だけでも下町の路地より広い。案内された部屋はさらに広く、美しい壁紙、美しい調度品、見た事もない綺麗な物で溢れていた。

「さあケイト、座りなさい。積もる話でもしよう」

 ふかふかのソファに座るよう促され、硬い椅子しか座った事の無いケイトはあまりの心地良さにうっとりした。
 公爵は正面のソファに、少年は右側の一人掛け椅子に座った。

「ケイト、ハンナのことは残念だった。病にかかっていたとは知らなかったのだ。知っていたら、良い医者に診せていたのだが……。いつ、病気になったのだ?」

「半年ほど前です。何の病気かはわからなかったのですが、とにかく栄養のあるものを食べさせて薬を飲むようにと」

「ふむ、下町の医者だからな。大して効き目のない薬を処方していたに違いない。もう少し早くわかっていれば……」

「あの、公爵様」

「ケイト、お父様と呼ぶように言っただろう?」

 笑顔ではあるが、二度と言わせるなという顔に見えた。

「ごめんなさい。お父様、母とは時々会ってらしたたんですか?」

「いや、ケイトが生まれてからは一度も会っていないのだ。その代わり、毎年、ケイトの誕生日の頃に使いの者を通じて生活費を渡していた。二人が路頭に迷うことが無いようにな。ところでケイト、どうやらハンナは私のことを全く話していなかったようだな?」

「はい。死ぬ間際に少しだけ話してくれました。そしてこの手紙を持ってアークライト公爵家を訪ねるようにと」

 ケイトは鞄を開けて手紙とブローチを取り出し、公爵に手渡した。その手紙は昔公爵が母に宛てて書いた物で、『愛しいハンナ、いつか必ずお前とケイトを迎えに行く。それまで待っていてくれ』と書かれてあった。

「おお、懐かしい……ハンナは、ずっと大切に持っていてくれたのだな」

 手紙とブローチを抱きしめるようにして涙ぐむ公爵を見ていると、二人の間には本当に愛があったのだな、と思えた。

「ケイト。私にはマリアという妻がいた。伯爵令嬢であったマリアは親同士が決めた相手として嫁いできた。私との間に子供が出来ないことを悩んでいた彼女は、元々きつい性格であり段々と苛立ちを隠さなくなったため、夫婦間はギスギスしてしまっていた。そうして五年が過ぎた頃、メイドとして雇われてきたのがハンナだったのだ」

 公爵は美しいハンナに一目で惹かれてしまったそうだ。いけないとは思いつつ好きになってしまい、やがてハンナもその想いに応えてくれるようになった。
 その後ハンナの妊娠が発覚し、二人の仲はマリアに知られてしまった。マリアは荒れ狂い心を病んでしまい、このままではハンナを殺すか、もしくは自ら命を絶ちかねなかったため、公爵はハンナを解雇して遠ざけたのだ。
 
 マリアに対して負い目を感じていた公爵だが、男児が生まれたら何と言われようと子供を引き取るつもりだった。しかし、生まれたのは女児だったため、二人がちゃんと暮らしていけるよう手配だけはしつつ、会うことはなかった。マリアの心の平穏を保つため、配慮したのである。

 それから四年が過ぎ、その間も子供が出来なかった夫妻はもう子作りは諦め、直系の血を引く遠縁の六歳男児を引き取って跡継ぎとして育てることにした。

 心の病もだいぶ落ち着いてきていたマリアは、子育てに夢中になった。その男児を自分の子供として慈しんで育てていたが、去年突然の病気で亡くなってしまった。
 十七年間の結婚生活で、マリアに対し激しい愛は無くとも確かな情愛を感じていた公爵は、彼女のために一年間の喪に服した。それが明けた時、ようやく自分の血を引く子供であるケイトと、かつて愛したハンナを引き取ることを決意したのである。

「やっと、ちゃんとした暮らしをさせてやれると思っていたのにまさかハンナまで亡くなっているとは。運命とは皮肉なものだ」

 公爵は眉間に指を当てて目をつむり、考え込む様子を見せた。

「あの、お父様。それでは私にはお兄様がいらっしゃるということですか?」

 ケイトの言葉にパッと顔を上げた公爵は嬉しそうな顔をした。

「私としたことが、すまない、紹介し忘れていた。ここにいるブライアンが、その時引き取った子供だ。あれから九年経ち、もう十五歳になった。私が言うのもなんだが、随分と出来の良い子に育ってくれたよ」

 ようやく紹介された少年は黒髪に青い瞳の美しい顔をしていた。

「ブライアン・アークライトです」

 ペコっと頭を下げてそれだけ言うと、すぐにケイトから視線を逸らした。

「ケイトです。よろしくお願いします。これからはお兄様とお呼びしたらいいですか?」

「いや、ケイト。兄ではなくブライアンと呼びなさい。私は、いずれお前達を結婚させたいと思っているのだよ。そうすれば、我がアークライト公爵家に私の血を引く後継者が生まれるわけだからね」

「え……?」

 ケイトは驚いて言葉が出てこなかった。

(結婚? 兄妹で? いやでも直接血は繋がってないからいいのかな……? だけどまだ会ったばかりなのに)

 困惑しているケイトの様子を見た公爵は、少し気まずそうな顔をした。

「まあ必ずということでもないから気にしないでくれ。二人が嫌でなければ、だから」

 事前に聞かされていたのだろう、ブライアンには動揺した様子は見えなかった。

「さあさあ、疲れただろうケイト。部屋を案内させるから、夕食まで休むといい。女の子らしい可愛い部屋にしたから気に入ると思うぞ」

「はい、ありがとうございます、お父様」

 公爵は満面の笑みを浮かべると、部屋の隅にいるメイドを呼び、ケイトを連れて行くように指示をした。

「ベスをケイト付きのメイドに任命してある。わからないことは何でも彼女に聞くといい」

「ベスと申します。ケイトお嬢様、何なりとお申し付けくださいませ」

 ベスに頭を下げられ恐縮したケイトはさらに低く頭を下げようとした。

「ケイト、あまり軽々しくへり下るものではないぞ。今日からはお前は公爵令嬢なのだからな。今までの身分とは違うのだ。そのあたりのマナーも今後家庭教師を付けて学んでもらうからな」

「では参りましょう、お嬢様」

 ベスはケイトの鞄を持って歩き出した。

「ああっ、そんな古い鞄を持たせるの申し訳ないです……」

 慌てたケイトが鞄を取ろうとするが、ベスに手で制されてしまった。

「お嬢様は荷物などお持ちになってはいけません。これは私共の仕事でございます」

「は、はい……」

 ついにケイトは諦めて大人しくベスの後をついて行った。またしても広い廊下を歩き、何回か曲がった先にその部屋はあった。

「わあ……」

 さっきの部屋ほどの広さは無かったが、それでもケイトが母と住んでいた部屋の三倍はあった。可愛らしい花柄の壁紙、薄いピンク色でまとめられたカーテンやカーペット。大きなベッドにはレースのベッドカバーが掛けられている。中庭に通じる窓はガラスがはめられ、明るい日差しを部屋に呼び込んでいた。乙女の憧れがすべて詰まったような部屋である。

「昨年までこの部屋はブライアン様の部屋だったのですよ。その時は青を基調とした部屋でしたが、ケイト様のためにこのように模様替えいたしました」

「ではブライアン様は今はどちらに?」

「十五歳になられましたので、旦那様の近くの広い部屋に移られました。と言っても、中庭を挟んで反対側ですが」

 ベスはケイトの鞄をクローゼットに置き、そこから一枚のドレスを選んだ。

「お嬢様の背格好がわかりませんでしたので、年齢からいってこのくらいというサイズのものをとりあえずご用意いたしました。こちらにお召し替えをしていただきます」

「着替え、ですか? 今からどこかへ出掛けるのですか?」

「いえ、夕食前のお召し替えです。レディは、一日に何度もドレスを着替えるものなのです」

「ええっ! そうなんですか?」

(なんて大変なの……出来れば、今着ている一張羅も脱ぎ捨てて楽な普段着になりたいくらいなのに)

 しかし、そんな事は言えない。仕方なくドレスを受け取って自分で着替えようとしたが、着替えもメイドの仕事だと言われて泣く泣く任せることにした。

(着替えを人にやってもらうなんて、恥ずかしい……)

 だが着替えてみて分かった。これは、一人では難しい。このたくさんのボタンと言ったら!

 着替え終わると髪をセットして、リボンをつけてくれた。

「とてもお可愛らしいですわ。今後は、もっとお嬢様にお似合いの色や形のドレスをご用意いたしますね」

「い、いえ! これで充分です。こんな素敵なドレス、初めて着ました」

 ベスはフッと微笑んで、すぐに顔を戻した。

「では、夕食の時間にまた参ります。十五歳になるまでは大人の方とは別にしますので、お一人での食事となります。それまでお寛ぎ下さい」

 ベスが部屋を辞した後、ケイトは大きくため息をついて小ぶりのソファに倒れ込んだ。

(母さんが死んでまだ三日。それなのにこんなに生活が激変してしまった。もしかして夢ではないのかしら? 目が覚めたらまだあの懐かしい部屋にいて、母さんが優しく笑ってご飯を作ってくれてて……)

 そうであってほしい、と願いながらいつの間にかケイトは眠りに落ちていた。

「ケイト様。夕食のお時間です」

 ベスに起こされてケイトはハッと目覚めた。

「ごめんなさい。寝てしまってたわ」

「お疲れだったのですよ。さあ、こちらへ」

 案内されたのはケイトの部屋の隣の小さなダイニングだった。(とはいえ、充分に広いのだが。)大きなテーブルに椅子は六脚あり、子供がたくさんいたら賑やかな食卓なんだろうな、と思った。

 たった一人で食べる食事は初めてで、しかも一品ずつ運ばれてくるし、ベスがじっと見ているしで実に落ち着かない。美味しそうな食べ物もなかなか喉を通らなかった。

「お口に合いませんでしたか?」

「いえ! とっても美味しいです! ただ、なんだか喉を通らなくて。マナーも出来てないと思うし……」

「家庭教師がいらっしゃるのは明日からですからね、今日はお行儀が悪くても大丈夫ですよ」

 そう言ってベスは部屋から退出して行った。

(私のために、食べている所を見ないようにしてくれたのね)

 気遣いをしてくれたベスのためにもちゃんと食べよう、と思いケイトは再び食べ始めた。お腹はそもそも空いていたので、食べ始めたら一気に平らげることが出来た。

(食べたことないものばかりだったし、品数が多くてもの凄く満腹になったわ。パンは、真っ白でフワフワしてた。トムおじさんのパンも美味しかったけど、こんな柔らかいのは初めて)

 食事が終わると部屋に戻って湯を使い、髪と身体をきれいにしてもらった。そして肌触りの良い寝間着を着せられてベッドに入った。

「危ないので蠟燭は消しますからね。よくお休みなさいませ」

 ベスがドアを閉めると部屋は真っ暗になった。だが今晩は満月なのか、中庭に面した窓からはカーテンを通しても月明かりが差し込んでいた。

 疲れていたし、おなかもいっぱいですぐ眠れそうな気がしていたのだがやはり興奮しているのだろうか。目が冴えてまったく眠れない。

 どのくらい時間が経ったのか、ずっと目をきょろきょろさせていたケイトの耳に木の枝を踏むようなパキンという小さな音が聞こえてきた。

(誰か庭にいるのかしら)

 よく耳を澄ますとわずかだが人の足音がしている。気になってベッドから抜け出すと、ガウンを羽織って窓から中庭を見た。すると月に照らされて誰かが立っている。向こうを向いているようで顔は見えない。

 ケイトは音を出さないように気を付けながら中庭に面する窓を開けた。この窓は掃き出し窓なのでこのまま庭に出ることが出来る。
 そっと中庭を進み、池のそばに立っている後ろ姿を見て、それがブライアンだとわかった。その時、ケイトも枝を踏んでしまい、パキッと音が鳴ってしまった。

「誰?」

 ブライアンがすぐさま振り向いて尋ねた。

「……ケイトです」

「ああ。お嬢様か」

 その言い方に、ケイトは自分がブライアンに良く思われていないことを感じた。

「なんだか眠れなくてずっと目を開けていたら、庭に人がいるような気がしたので……」

「そうか。悪かった」

「いえ、そんな」

 気まずい沈黙が流れる。何かしゃべらなくては、とケイトは焦った。

「あ、あの、ブライアン様は本当のお父様お母様と別れてお寂しいですか?」

(……しまった、焦って不躾な質問をしてしまったかも)
 
 ブライアンは首を捻り、少しの間考えていた。

「別に寂しくはないな。僕には兄が二人いて、実家の伯爵家を継ぐのは長男だし、あとはスペアとして次男がいればいいみたいでね。僕はずっと放っておかれてたから、ここに来てからの方が幸せだったよ」

「そうなんですね。私は、まだ母と別れたばかりで寂しくてたまらないです」

「その気持ちは僕にも分かるよ。母上……育ての親であるマリア・アークライト様のことだけどね。母上を亡くした時は本当に辛かった。だから……」

 ブライアンは少し強い口調で言った。

「母上を悲しませてきた君の母親と君には、少しばかり反感を持っているんだ」

 ケイトはその言葉にショックを受けた。自分の存在を不快に思う人がいるのだ、と初めて認識したからだ。

「だからって君に辛く当たるつもりはないけれど、父上が言うみたいに結婚となると嫌だなって思う。君だってそうだろう? 急に会ったばかりの男と結婚しろなんて言われて面食らっただろう」

「は、はい……それは」

「でも、君と結婚しなかった場合、僕はお払い箱なんだ。僕にはアークライト家の血は入っているけれど、父上、ベンジャミン・アークライトの血は流れていない。父上はどうしても自分の直系に家を継がせたいのだから、いずれ僕を追い出して君が生んだ男児を後継者にするだろう」

「そんな! 私よりブライアン様の方が相応しいのに」

「貴族とはそういうものさ。僕は父上と母上の期待に応えるべく今まで頑張ってきたけれど、それが無駄な努力だって気づいた。だからいっそ自分から出て行こうかと考えていたんだ」

「待って下さい! それなら私が出て行きます! 今さら私にこんな貴族的な生活は出来そうにないし、きっと息が詰まってしまいます。私が出て行けばブライアン様が出て行く必要ないです!」

 ブライアンはやっとケイトの顔を真っすぐに見た。彼の顔は月の光で妖しく輝き、ケイトには絵本に出てくる美しい魔法使いのように見えた。

「君はせっかく掴んだ幸運を捨てるつもりなのかい? 今ここを出て行っても、子供が一人で生きていけるほど世の中は甘くないだろう」

 ケイトは言葉に詰まった。下町のみんなに言われたことが脳裏に浮かんだのだ。みんなを頼りにして戻ることは出来る。でもそれは本当は迷惑なのだ。みんな、一生懸命自分の家族を食べさせるために働いているのだから、甘えて厄介になるわけにはいかない。

 泣きそうな表情で考え込むケイトを見たブライアンは、少し表情を和らげた。

「済まない。君に八つ当たりした僕が悪かったよ。君は気にせずにここで当然の権利を受け取ればいいんだ。僕も、未来に備えてもう少し頑張っていくよ」

「未来?」

「ああ。いつか追い出されることになっても生きていけるように、仕事を得て人脈を作っておこうと思う。もっと心も鍛えなければならないな。年下の女の子に当たり散らすようじゃあ、紳士とはいえない」

 ブライアンは庭に咲いていた花を摘み、ケイトに手渡した。

「この花の香りは安眠作用があると言われている。枕元に置いておくと眠れるかもしれない」

「あ……ありがとう、ございます」

「僕も初めてこの屋敷に来た日の夜は眠れなかったのを思い出したよ」

 そう言ってケイトの頭をポンと軽く叩くと

「お休み」

と言って去って行った。ケイトは暗がりで見えなくなるまで彼の後ろ姿を見つめていた。
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