俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮

文字の大きさ
51 / 288
第七章 二学期

第51話 チュートリアル:コスプレ

しおりを挟む
 十月末。東京・池袋。

 日常的に騒がしい池袋だが、この日はなおの事騒がしく、若者で溢れていた。

 右を向けば仮装。左も向けば仮装。世界的に有名なキャラクターの仮装からニッチな層のキャラクター。モデルガンを持った部隊の仮装も居れば色物枠な仮装も居る。

 時は年に一度の祭り、ハロウィン。

 古代アイルランドに住んでいたケルト人が起源の祭りで、現代ではアメリカの民事行事として定着。祝祭としての意味はほぼ皆無となり、若者の一大イベントとなっている。

 スマホで自撮りする者。カメラを持って配信する者。ポーズをとってサービスする者。

 世界よ、これが敗戦国の末路だ!!

 と、書いてあるプラカードをもつ色物も居る始末。

 時間は日が落ちてくる十七時頃。

 カメラを持つ人や、談笑する人。一人、また一人と、横に列を成す存在達に気づき始めた。

 エントリーナンバー1!

 派生作品を含めば那由他の数! 抜いた男も那由他の数! 人気は衰えないがそろそろ年齢がキツイストリートファイターからの登場!

 ジャッキー○ェンもコスプレした!!

 春○ィイイイイイ!!

「ごめんね!」

 エントリーナンバー2!

 快楽主義にして嗜虐性! その鋭い眼光は獲物を狙うジョロウグモ! 蠱惑的な雰囲気を隠さない妖艶さ故、一部のドMが抜きまくったストリートファイター!!

 後ろ蹴りでキンタマ蹴られたい!!

 ハンンンンン・○ュリィイイイイイ!!

「ほぉんと蹴られるのが好きだなぁ……お前」

 エントリーナンバー3!

 暗躍する秘密結社、ネスツ。その脅威の改造人間が今、この池袋に出現!
 ぴっちりスーツを着こなす無邪気な笑顔! 水色の髪は戦闘状態を意味! 幼さからかけ離れた抜群のスタイル! ゲーセンで抜きまくった男多数! キングオブファイターズからの登場!

 男子のココロもカッチコチ!!

 クー○ァアア・ダイアモンドオオオオオ!!

「ラ☆カチョーラ!」

 エントリーナンバー4!

 誘拐犯を叩きのめしたその快感……。以来、快感を求めて明け暮れるストリートファイト! 美人でお金持ちのお嬢様! 仕事を選ばずデジモンにも登場! 抜きまくったお嬢様厨は大多数! 鉄拳からの登場!

 モナコが生んだ金髪美女!!

 リィイイ○ィイイイイ!!

「あなたは何発で壊れるの?」

 エントリーナンバー5!

 小悪魔サーバントはキャッチコピー! 揺れる金髪ツインテは男の視線を奪う! 本業は召使だが侮るなかれ、近づいた男はシステマでボッコボコ! スク水バトルスーツで悩殺だ! 抜いた男は星の数! 合法ロリとは私の事だ! デッドオアアライブから登場!

 乳揺れは確かに存在する!!

 マリィイイイイ・○ォオオオズ!!

「血の薔薇、咲かせてあげる!」

 エントリーナンバー6!

 命を賭す愛国心は己の肉体を強くし、やがて世界が認めるヒーローになる!
 自由・平等・博愛を胸に戦い続ける! 持ち前の盾は象徴そのもの! アメリカによる、アメリカのためのアメリカ! 抜きまくった男は盾の構成組織以上! マー○ルVSカ○コンから登場!

 日本も守れよアメリカンスピリッツ!!

 キャ○テン! アメリカァアアアア!!

「アベンジャーズ……アッセンブル……!!」

 エントリーナンバー7!

 ハロウィンは代名詞? え? 違うの? でも私がハロウィンでしょ!
 ハロウィンも好きだがバレンタインも好き! 精神状態はカボチャ仮面でカバー! 理系的発想はマジで死ね! SNSでバズらせたポーズは伊達じゃない! 尻で抜いたらドラインされる! ギルティギアから登場!!

 ジャスティスも驚くドスケベ衣装!!

 ジャックッ・○ォオオオオオ!!

「ハッピー! ハロウィン!!」

 エントリーナンバー8!

 存在自体が謎。謎。謎。いや、アスカ君は知っている!? 陰気のようで軽快。だが人懐っこいようで破壊的! 中に沢山いすぎて逆に空っぽ! 知性は世界すら変えるあの男! 全次元的に抜かれた数は計り知れない! 同じくギルティギアから登場!

 格ゲーでシューティングするな!!

 ハッピィイイイイ・○イオスゥウウウウウ!!

「ドラマ……。ドラマだよ!!」

 うん。

 ここまで妄想した!! これが現実逃避したくなる陰キャの思考回路……。もう嫌だ。ゲームしたい。

「みんな見てるみんな見てる!」

「ツヤコいい仕事するぅ!」

「でしょ? 金貰ってるからねぇ」

「キャラ詳しくないけどかわいい!」

 春○とクー○とマ○ーがジュリを褒め称えている。ちなみにギャルたちの名前は知ってる。不本意だがグループラインに属してるからだ。白ギャルのジュリがツヤコ。

「大吾くんかっこいいね! 本当に映画の人みたい!」

「だろ? 今日の俺は蕾、もといリリを守るキャプテンなのさ!」

「素敵!!」

「っへへ!」

 なんだこのラブラブ空間は……。鉄拳のリリがキャプテンアメリカと腕絡めて歩いてるぞ……。見せつけてきやがって大吾。花田さんのリリはマジで美人だ。思わずおっふしてしまいそうになる。

「意外と見えやすいよコレ。息も苦しくないし」

「でしょー瀬那。結構力作だから、その仮面」

 ツヤコが制作したコスプレ衣装はマジでレベルが高い。特にジャック・オーのクオリティとハッピーケイオスがヤバい。

 外側が赤、内側が白のロングウィッグと、仕組みがわからない発光する欠けた天使の様な輪っか。特徴的な前が開いた衣装にまた特徴的な足の鉄球。

 もう、もう凄いとしか言いようが無い。

「ちょっと胸キツイかも」

「育ちすぎ」

 ジャック・オーのおっぱいが。

 コスプレ元のジャック・オーとはかけ離れたお瀬那さんの褐色お胸。今にもこぼれそうでひやひやする。って言うか、カメラのシャッター音がうるさい。仮面で顔は割れてないからいいが、いや良くは無いが非常に暴力的なおっぱいだ。

「萌もなんか凄いじゃん! 人間じゃないみたい!」

「……遠からずってとこだね」

 このジャック・オー、ノリだけでキャラの設定当てやがった……!

 今の俺は悪目立ちする真っ青な地肌。黒く光る天使の輪っかに頭の角。オレンジ色の×型メガネに二丁の拳銃が腰に下げられている。肌から直接着崩してる服、手のひらと足の裏は白色だ。

 そう、俺は裸足。裸足で現代社会を歩いている。

 ここまで行くともう俺はハッピーケイオスなんじゃないかとも思えてくる。普通に日本壊滅させたりできそうだ。

 既に言動がハッピーケイオス寄りになってる気がする……。

「イェーイピース!!」

 クーラが自撮り棒を伸ばして俺たちを撮った。瀬那……、ジャック・オー含む女性陣とキャプテンアメリカは瞬時に反応してポーズをとったが、俺は顔だけ向けた。場なれしてる奴らは早いこと。

「で? これからどうするんだい。まさかボスが無計画な訳無いよね」

 みんながワイワイとはしゃいでる束の間、隣のジュリに問うてみた。

 写真を撮ったり撮られたり、徘徊してはコスプレを楽しむのか、正直このイベントの終着点がわからない。そもそも終着点が有るのかさえ怪しい。

「は? そんなのは自分で決めるんだよ。インスタに載せて反応楽しんだり、そこら辺のカメラ持ってるブタに撮らせるのもいい。所詮は自己満した者勝ちなんだよ」

 このジュリ、僕と同じでキャラに似せてくる。

 色々と言葉並べたけど、まぁつまりは無計画って事だ。

「うぅうう! このポーズはキツ過ぎるぅぅうう!!」

「アッハッハ! 頑張れ頑張れ!」

「ジャック・オーなのにジャック・オーチャレンジ出来てないじゃん! ウケるんだけど~♪」

 春麗とクーラとマリーがジャック・オーを笑っている。つかジャック・オーチャレンジって体柔らかくないとできないだろ。また無理しちゃって……。

「リリは俺が守る!!」

「私も守られてばかりじゃないわ!!」

 カップル二人はよろしくやっている。カメラにポーズをとって背中合わせだ。もう放っておこう。

「……ちょっとそこらへんブラブラするよ。他のコスプレも見たいし」

「あそ。後で合流な」

 ジュリに一声かけてこの場を立ち去る。決してカメラに撮られたくないからじゃない。今はハッピーケイオスだし。
 ただ、平気で存在感アピールできる陽キャたちが眩しすぎたからだ。僕はそう、陰キャだから。実際に閉じこもってたし、ハッピーケイオス。

「ふんふ~ん♪」

 一応ハッピーケイオスらしい鼻歌を奏でながら徘徊する。さっきから思う事は、裸足だとやっぱり痛いだ。けっこうアスファルトって砂利とかあって痛いんだなコレが。

「ふ~ん」

 マリオファミリーだったり、APEXだったり、FGOだったり、みんな煌びやかだ。この日のために努力したんだろうなぁ。まぁ僕はお金だけだけどね。

 ユーチューバーだったりが配信しているのか、喋りながら徘徊してる人たちもいる。俺は関わらないぞと早足で移動。映るくらいなら別にいいや。

 そう思っていると、クオリティの高いコスプレをしている人が目に入った。

 淡い青色のボディにメガネの様な赤い目。背中にはフライトユニット、首に巻いている長い白のスカーフは後ろから二手に分かれている。

 この正体は、いや、このモンスターは、某メ蟹ックのエースモンスター。

「ジャンク・ウォリアーだ」

「ん?」

 俺の声が聞こえたのか、ジャンク・ウォリアーがこちらを向いた。

 お互いに近づき、止まる。

「……」

「……」

 無言。だが目は離さない。そして。

「かっこいいよね、ジャンク・ウォリアー」

「そっちこそ本物かと思った。ハッピーケイオス」

 互いに褒め合う。しかし、俺はジャンク・ウォリアーの声に聞き覚えがあった。
 それはジャンク・ウォリアーも同じの様で、首をかしげている。

 しばらく熟考した後、同時に言った。

「優星さん?」
「萌くん?」

 蟹が蟹のエースに擬態していた。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

うちの冷蔵庫がダンジョンになった

空志戸レミ
ファンタジー
一二三大賞3:コミカライズ賞受賞 ある日の事、突然世界中にモンスターの跋扈するダンジョンが現れたことで人々は戦慄。 そんななかしがないサラリーマンの住むアパートに置かれた古びた2ドア冷蔵庫もまた、なぜかダンジョンと繋がってしまう。部屋の借主である男は酷く困惑しつつもその魔性に惹かれ、このひとりしか知らないダンジョンの攻略に乗り出すのだった…。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

俺は普通の高校生なので、

雨ノ千雨
ファンタジー
普通の高校生として生きていく。その為の手段は問わない。

陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件

暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...