俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮

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第二十一章 刻々と迫る

第271話 チュートリアル:おばか

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「――はあ? フリーで攻略者ぁ? バッカじゃねーのお前ぇ?」

 瀬那とのデートから翌日。今日も今日とて平日の学校生活をし、昼食を食べ終えてからの担任とマンツーマンの進路相談。俺が決めた進路を阿久津先生に伝えたところ、クッソ眠たそうな目をしながら秒でバカにされた。

「あの、進路相談しに来てる生徒に向かってバカってのはどうかと思います。PTAとかにチクリますよ?」

「バカが如何様に喚こうがバカだから相手されんぞ~このおバカ」

「バカバカ言わないで!! 泣くぞ!?」

 この担当教師なんだよ!? 自分の担当生徒をバカ呼ばわりするし、しかもお前なんて言われた!! PTAだぞおい!! PTAが黙ってないぞオイ!!

 PTAに謎の全幅の信頼がある前提で内心抗議しまくった今もなお、阿久津先生は可哀そうな眼で俺を見ている。

「ヤマトサークル、パンサーダンサー、ディメンションフォース、そして銀獅子。日本が代表する大手が挙って君を指名している事実と、攻略者の卵なら羨ましく是が非でも欲しいその指名。花房くんはそれを蹴ると?」

「うすッ!!」

「もう一回言ってやる。花房くんはおバカです」

「バカじゃないです!!」

「じゃあ愚か者だ」

「無限の可能性を秘める愚者です!!」

「ゲームのやりすぎ……」

 棒読みでそんな事を言われた。つか俺のこれにツッコむという事は、先生はこっち側の人間……?

「はぁ……ズズ」

 ため息をついてコーヒーを飲む先生。

「ふう。……本当は三者面談でみっちり話し合うのが筋だけど、君のお父さんとお母さん――有栖さんは相変わらず忙しいってのは知ってるから、こうしてタイマンで話してる訳だが、ご両親は納得してんの?」

「え、はい。親子喧嘩の末、理解を示してくれたんで納得してくれてます。その時に国連で働かないかって誘われましたけど、俺の意志は固いんで断りました!!」ッキリ

 ……ん? 疑問。

「担当教師だから俺の家事情知ってるとは思いますけど、何で母さんの名前を……?」

「俺が教師になる前は今でいう国連で務めてたってのはあまりにも有名じゃん」

 "乾巧って奴の仕業なんだ"って感じであまりにも有名なセリフみたいに実は言ってない感じの有名具合。まぁ阿久津先生が国連員から教師になったのは確かにあまりにも有名。

「詳しい事は言えないがな? 別部隊に仕事ができる女が居るってのでさ、その正体が有栖さんだったんだよ」

「へぇー。母さんあんまり仕事の話しとかしないから新鮮な話です」

「仕事できるわ容姿もいいわでモテモテだったなぁ。それこそ振った男の数が多いのなんの」

「そ、そんなにモテたんだ……」

 生真面目で要領がいいザ☆できる女だったのか。告って来た男を薙ぎ倒していったのに、何であのガチムチの父さんと結婚したんだろうか……。いや、むしろそのおかげで俺が生まれてる訳で。父さんナイス~。

「っと、昔話は置いといて。まぁそのーなんだ。親御さんの有栖さんと蓮司さんが容認してるなら、もう俺からは何も言わん」

 ふぁ~。と大きく欠伸をする先生。

「え、フリーでやって行くのに、もっと具体的にどうするかとか、計画性とか聞かないんですか?」

 俺が逆の立場だったら根掘り葉掘り聞きだすのに、この教師ときたら眠たいからってめんどくさがってるんじゃないだろうなぁ……。

「どーせ次元ポケットに物言わせて寄生虫の様にサークルから金という栄養分を取る算段だろ? はいはいワロス」

「合ってるけど言い方!? 寄生虫はよくない!!」

「デュエリストでもねぇのにインセクター羽蛾みたいな考えだなぁ。こりゃ俺の財布に寄生虫パラサイド仕込まれてるわ」

「仕込むのはサイフじゃなくてデッキなんですけど!? あと普通に犯罪だから!!」


 ――って感じで進路相談を終え無事帰宅。

 デンデデン♪

『チュートリアル:帰宅しよう』

『チュートリアルクリア』

『クリア報酬:力+』

「ただいまー」

 ――カチッ。

 玄関のドアを閉めて渡り廊下を歩く。

 お手てをキレイキレイ♪してからリビングのドアを開けると。

「「――おかえり~」」

 我が家の仙人ことリャンリャンの他に、人間体のエルドラドが俺を出迎えた。

 テレビを垂れ流しにし、二人はテーブルを囲んでお茶を濁していた。というか、エルドラドはいつもの金色の杯で酒を飲んでいる。

「お、エルドラドじゃん。久しぶりに顔見た気がする」

「気がするんじゃなくてホントに久しぶりなんだよ」

 冷蔵庫から常備してあるミネラルウォーターを取り出してそれを飲みながらエルドラドを見た。

「途中で合流したリャンリャンとベガスを満喫してからというもの、休暇が終わった途端に有栖くんから鬼電だぜ?」

「ンク、ンク」

「萌くんの母ちゃん人使い荒すぎだろぉ。マジで勘弁してくれよったくよぉ」

 そう文句垂れながら酒を煽るエルドラド。今日はやけに母さんの名前が出てくる日だ。

「母さんもエルドラドも仕事なんだから仕方ないだろ」

「ハッキリ言ってやる。この世界の労働時間はおかしい! 特に日本! ジャパン!! 何が楽しくて仕事しまくってんだよ……」

 室内でも外さないサングラスの奥から純粋な疑問の眼差しが俺を射る。

「普通に生活のためじゃね? なあリャンリャン」

 突然話をフラれたリャンリャンは一瞬驚く。

「世の中には純粋にやり甲斐を持って仕事をしている人もいるヨ☆ それこそ私が大哥に仕えている様に、大哥のお母様が使命を持って仕事をしている様にネ☆」

「ふ~ん」

 俺は首を縦に振ってうんうんと肯定。エルドラドはテーブルに肩肘をついて手で顎を支えている。

「エルドラドも理性のルーラーとして、この仕事にやり甲斐を感じてるんだよネ☆? 本能のルーラーから人々を守る仕事☆」

「いや全然」

「「ええええええええええ!?!?」」

 まさかの即答に俺とリャンリャン驚愕。

「俺の知らない所でも暗躍してたんだろ!? じゃあ普通に使命感あるじゃん!?」

「使命感? ねーよそんなもん」

「マーメイドレイド! 混血派との協定! マリオネットレイド! その他諸々! 全部お前関わってんだぞ!? なのにやり甲斐を感じていないなんて……!」

 重要な場面で絶対に関わってるのが目の前の金髪オヤジ。コメディありからシリアスありのなんでもござれ! そんなおっさんなのに何故……。

「あのなぁ。如何に荘厳な鎧着てようが、如何に力を振るおうが、俺って所詮は酒のみのおっさんだぜ?」

「まぁそこはそうだけども……」

「俺が第一に優先したいのは、酒を飲むことだ」

 ゆらゆらと杯を揺らして中の液体を回す。

「しかもただの酒じゃない。美味い酒だ。ンク」

 喉仏が動く。

「――仲間と飲む酒。一期一会の酒。一夜限りの情熱的な酒。そんな酒を飲みたいがために、俺はやりたくも無い仕事をしてるし訳だし、少しでも後味の良い仕事終わりで酒を飲むんだ……」

「……」

 どこかの誰かが言っていた。

 良い仕事終わりの酒ならば大金叩いてでも飲みたい、と。

 その言葉の意味は、まだ酒を飲めない俺にはわかりかねる。でも、居酒屋とかで陽気に飲んでいる吞兵衛たちを見ていると、何となくだけど、わかる気がする。

 エルドラドの仕事はサラリーマンとは違うけど、一人のサラリーマンが享受する酒の味とエルドラドがのむお酒の味、辛い時も楽しい時も、きっと同じような味なんだろうな。

 知らんけど。

「っと、なんか柄にもない事言ったけど萌くん。早く支度してくれ」

「支度?」

「アイヤー☆」

 ひょ?

 と俺が羽蛾をしていると、めんどくさそうな顔をするエルドラド。

「白鎧がお呼びだ」

 予定の無い急な呼び出しを喰らった。
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