俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮

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第二十一章 刻々と迫る

第272話 チュートリアル:お前は当分出入り禁止だ!

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「――なんだなんだ? 今日はえらく集まりがいいじゃねぇか。どいつもこいつも暇でござ~いって顔しやがってよぉ!」

 白の世界――ホワイト・ディビジョン。

 扇状に広がった椅子に座るのは赤色に青色、黄色に桃色、そして金色と灰色、黒の俺と白の白鎧だ。

 みな等しく同等の存在であり、その存在の傍らには家臣の姿もぽつぽつと見えている。

 今し方、ニヤニヤしながら全員を煽った赤い存在――クリムゾンフリードさん。炎の様に燃えている髪を揺らしながら、舐め回す様に俺たちを見渡した。

「暇なのはお前だけだ。私を含む良識あるルーラーは、いずれ訪れる本能のルーラーに対抗する術を模索している」

 水流の様に流れる青い髪をしたネクロスさん。腕を組みながらフリードさんを睨み煽る。

「ほぉ言うじゃねーか。まるで俺に良識が無いと言いたげだなぁ?」

「言いたげではない。そう言っている」

「あん? 迫る本能《あいつら》に対して対抗する術を模索するぅ? 俺みたいにドンと構えれなくて弱い存在だって自分で言ってやがる。これだから優男は……」

「己が強かろうが弱かろうが関係ない。例えどんな相手でも、対策を怠るのは愚の骨頂だ。……ん? ああすまない。おつむが足りないお前には難しい話だったな。素直に謝るとしよう」

「なんだよ……。本能《あいつら》より先に死にたいなら俺が相手になってやるぞぉ?」

 と言う風に。

「――このロン毛!」

「――バカ丸出し」

 フリードさんとネクロスさんの痴話げんかはいつものこと。

「あらあら、仲がいいのか悪いのか……」

「どうなんだろ……」

 やんややんやとポカポカ殴り合ってる二人に対し、ヴェーラさんとガスタくんは困惑。

「若いっていいねぇ。酒飲みのおじさんにはそんな元気無いわ」

「……」

 相変わらず酒を飲んでいるエルドラドと、相変わらず何考えてるか分からないバルムンクさん。二人は特に干渉しない模様。

「アイヤー☆ いつまで続くんだろうネ☆」

「さあな。やらせておけばいいんじゃない?」

 俺が座っている椅子の斜め後ろに居る我が家臣――リャンリャンが呆れた様子で俺に聞いて来たけど、最初の頃は珍しかったからドキマギしたこの言い争いは、俺も呆れている模様。つか普通に――

「――そこまでにしろ」

 重圧を感じさせる言葉を放つ白鎧が止めに来るまでが定番だったり。

「フリード。血気盛んなのは咎めんが落ち着きが足りないようだ」

「へーい」(ぶっきらぼう)

「ネクロス。落ち着きが足りないのは貴殿もだ」

「認めよう……」

 さすがにホワイト・ディビジョンにお世話になってるから白鎧の言葉には弱い印象。ぶっきらぼうだけどフリードさんは謝ってるし、ネクロスさんも落ち着きが足らないと認めている。

 深く被ったフードの奥で俺は二人を目配りする。上司に窘めれらる構図だけど、気まずい雰囲気に成らないのはここの良いところだ。

「では、落ち着いた所で宰相」

「御意」

 マッシブな白の鎧を着こなす白鎧。その傍らに華奢だけど同じ白の鎧を着こなす宰相のサイが二歩前に出てきた。

 BAR~黄金の風~でテンダーをしているのが印象的だけど、本当の仕事はこっちというね。相変わらず五〇悟ばりのイケメンで俺の嫉妬乳首が嫉妬してる。

「先の戦いであった傀儡君主《マリオネットルーラー》カルーディの討伐――通称マリオネットレイドを踏破し、そこで捕らわれたヒューマン型の生命体をこのホワイト・ディビジョンで匿う事に成功したのは、各ルーラーの皆さま、そして家臣の皆さまのご協力があってのことで、無事に受け入れを完遂できました。ありがとうございます」

 そう言って深々と頭を下げるサイ。その際に釣られてお辞儀を返してしまう俺は、ガチの日本人だと再確認した。

 マリオネットレイド。かの邪知暴虐のルーラー――カルーディを屠った後に巻き起こった移民問題。各ルーラーとその家臣の協力のもと、その例に漏れず俺の家臣であるリャンリャンの協力のもと速やかに対処されたのはいいけど、こっちも問題があったわけで……。

 なんとどっかのお隣のお国みたいに訳の分からん文句を言いつけてきた民族が居た訳で。そしてその対処はうちのリャンリャンがした訳で……。

 そりゃあもうしつこすぎるケ〇ン・コスギ並みにしつこかったのは一種の思い出だ。無敵将軍ですら裸足で逃げ出すレベルだったけど、俺の猫ミーム米津〇師で突破したのも思い出。

「そして今日、皆さまにお集まりいただいたのは他でもありません。本能のルーラーの一角――刹利《クシャトリヤ》の件でございます」

「――」

 一瞬だけ、冷たい空気が流れたのを感じる。

「我々が干渉している地球。次元規模でダンジョン覚醒に至ったばかりの世界ではあるものの、緩やかにダンジョンが広がる多次元世界とは違い、異様なスピードでダンジョンが生成する世界。そして、我々の干渉と人間たちにより、本能のルーラーから生き残った稀に見る世界であります」

「……」

 俺は腕を組む。

「その世界に、刹利《クシャトリヤ》が現れた現状、我々は協力者としてどう動くべきか、意見交換の機会をいただきたいのです」

 移民問題の解決の報告と思いきや、突然の白鎧に呼びだされたのは、刹利《クシャトリヤ》の対処をこちら側はどうするかとの意見を聞きたいらしい。

「あ、ちょっといい?」

「どうぞ、ティアーウロングさま」

 挙手する俺。目を合わせてきたサイと同じ、俺の待った! に様子を伺ってくるルーラーたち。

「カルーディから聞き出した時の刹利。世間を賑わせたスタンピードのバックに居た奴。それは同じ存在ってことでいいんだよな」

「同じ存在というより、スタンピードを引き起こしたのはその一種です」

「知っての通り俺、聞き出した現場にいたけど、そいつらの事全然知らないんだよね。いい機会だから教えてくれよ」

「……」

 当然クシャトリヤの事に関してはマジで知らない。それこそ本能側の抑止力的存在ってくらいしか知らない。そして家臣のオーガの存在しか知らない。

 というか、議題について行くための前提条件を教えてくれという俺の質問に、何故かサイが驚く様に無言。そしてサイは黄金の椅子に座った酒を飲むエルドラド見た。

「……エルドラドさま。クシャトリヤに関する情報をティアーウロングさまと共有するという話をどちらに?」

 サイの言葉に全員がエルドラドを見た。

 当の本人、黄金の椅子にふんぞり返り、机に脚を乗せている始末。

「あちゃ~! 俺としたことが忘れちった! テヘペロ!」

「……」

 サイ、無能を見る眼を向ける。

「……」

 俺、だらしないおっさんを見る眼を向ける。

「休暇でベガス行ってたからんなもん忘れるって!」

「ベガスに行く前に俺のところ寄れたろ! そっからベガスでもどこでも行けばいいだろ!!」

 開き直る黄金《あほ》にキレていしまうのは仕方ないのでは?

「あ、思い出した。そう言えば旅行から帰って来た俺に会いに来いって、途中で合流したリャンリャンに伝言伝えてたぞ」

「ひょ?」

 頭の上に電球を灯したエルドラド。そんな事聞いてないでやんす。

「アイヤー☆ そんな事言ってたような気ガ☆ お酒に酔ってたから忘れてたネ☆」

「ツルツルなのは股間だけじゃなくて頭の中もか!? お前は当分エルドラドの酒禁止だ!!」

「アイヤー☆☆」

 磯野家の一本ハゲな感じで飲酒を禁止した。ちなみに語尾に☆を増やしてるから全然反省してない模様。

「あ~飲み仲間が減っちゃったかぁ~。こりゃこっそりも飲めないなぁ~」

「アイヤー☆」

 点の様な赤い眼が執拗にぱちくりしているのをリャンリャンに送っている辺り、完全に嘘である。

「ん゛ん。では皆さまには復習も兼ねて、ティアーウロングさまに説明します」

 咳払いしたサイによる、なぜなにクシャトリヤが始まる。

 隣にお姉さんとウサギさんが居ないのは残念だったり。
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